ドクターヘリは2億5千万円もらわないと合わない、、、、、


 この言葉はあるヘリコプター運航会社の運航担当役員が、もう2年も前、わたしに言った言葉です。その会社はまだドクターヘリの運航には参入できていない小規模のヘリ会社です。

 いまはおおむね1億7千万円程度が厚生省の補助金と県の負担をあわせて、出費される年間の契約料金となっていますが、実際はすべて入札で運航会社が決まることになっていますので、たぶん年間にこの金額をもらっている運航会社はないでしょう。

 この2億5千万円が現実離れした途方もなく高い金額であるかどうかは、それぞれの立場によって判断が分かれるところですが、いま現実に支払われている金額とはかなりの差があります。

 いま現実に最大1億7千万円の契約で飛ばしている会社にあっても、厚生省と協議し、自ら設定した運航回数年間200回を大きく超える飛行回数となり、固定費と変動費による変動金額契約としないで、金額固定契約をしたため、少なくすんだ場合にそのままポケットに入れようとした目論見がはずれて、もっとよこせと泣きついている実態があります。

 年間の運航経費で大きく変動するのは昨日取り上げた、ヘリコプターの整備にかかる費用くらいで、後は飛行回数が増えても変動費として読めないものではなく、400回飛べば、プラス200回分2千万円から3000万円程度の増加となるだけでしょう。

 つまり倍の仕事をしてもこの程度の変動にしかなりませんが、不意の故障などによる、運航原価の変動はこの程度ではすまないことは予想しないといけないでしょう。

 このような費用と、365日休むことなく飛べる体制を維持するために、予備のヘリを持つことが義務付けられる契約条件があるので、2億5千万円もらわないと十分な体制を組めないという意味の発言であったのでしょう。

 しかし、運が良くて不意の故障がまったく発生しなくて、さらに、予備機として持っているヘリが飾っておくだけでなく、まったくほかの仕事で年間に5千万円、1億円の売り上げ上げることを許されるのならば、今の最大1億7千万円の契約料金でも十分に引き合うでしょうし、あるいはぼろもうけであるかもわかりません。

 さて、大きな不意の故障が発生し、さらに予備機がある程度の収入を得ることが出来ない一番悪い状態にはまったとき、かの運航担当役員の言う金額が正しいとすれば、最大の1億7千万円もらっていても、単年度では8千万円の大赤字になってしまうでしょう。

 まあ 話半分にしても5千万円程度の赤字は食らう可能性があるでしょう。このような状態になったら、何が起こるかというとそれは恐ろしいことになるでしょう。

 整備にまともな費用をかけることはかなり難しいこととなるでしょうし、パイロットその他従事者の訓練の費用や、処遇が切り詰められることは確実でしょう。

 あるいは大会社で余裕が十分あって他の部門からの収入を横流しできたり、まったく他の事業部門から回すことが出来れば非常に良いでしょうが、この厳しい経済状況の時期なかなかそうも行かないでしょう。

 このように取り上げたのは最悪の場合で、現実にはそれほどのところまではいっていませんしそうあってはならないことです。

 なぜこのようなことを取り上げたというかというと、ドクターヘリを飛ばす事業は、ヘリコプターの運航事業の中でも相当に厳しい分野で、多少多く契約金額をもらっていたとしてもリスクが大きすぎる面があるということです。

 それは365日ほとんど十分整備できることのない環境で、しかも飛ばないからといって日中整備することは不可能ですし、故障したから10日間止めますということが出来ない契約となっていて、予備機を24時間以内に投入しないと許されませんし、予備機は予備機である程度の収入はどこかで得ないと運航経費がまかなえないようになっています。

 ドクターヘリが50機体制となって、年間500回ずつ飛んでそれぞれ50機がこのような不安定な経営の元で飛び続けることは、リスクを全国へばら撒いているようなものといえるかもしれません。

 しかし、これが民間活力の活用の不具合の最たるものなのですが、何か良い解決方法はないものでしょうか。

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Secre

No title

ちょっと思ったこと。
長文になったのでTBさせていただきましたm(_ _)m

No title

2億5千万円を200回の飛行回数で割ると、1フライト125万円となりますね。民生旅客飛行の場合、この金額だとどんなフライトが出来るのでしょうか?

当地の状況を見ると、遠い所で下北半島突端付近、及び弘前方面等の往復200km越の遠方から、近い所では直線距離で5km足らずの場所まで満遍なくあり、約半年で150回程のフライトを行ったようです。

通常の旅客運航と違い、近距離を短時間で往復しフライトカウントだけ伸びる状況は、燃費や人件費以上にgo-stopを繰り返すマシンストレス、そのメンテナンス費用の方が甚大かと思います。

1社で複数県のドクヘリ運行を受託するような場合ならば、数県に1機の割合で予備機を用意する事も可能でしょうが、それも資力があってこそ可能であり、受託金額以上にフライト回数が延びてしまえばそれも出来ず、常に綱渡り的状況に陥らざるを得ないでしょう。

まぁ、役人とすれば、とりあえず配備した実績だけあれば良い、と言うのでしょうね。
公園と同じ、公園を造って終わり、後はジャングルになろうが不良のたまり場になろうがお構いなし、って事で。

No title

しがないサラリーマンさん 適切なトラックバックありがとうございました。
恥の戸市民さん お説のとおり ドクターヘリは短い時間での離着陸を繰り返すので、メーカーが飛行時間で想定した不具合の回数よりはるかに上回るトラブルが予想されます。さてこれに対して適切なタオ言うが取れるかどうかが、安全上の大きな決め手ととなりそうなのです。さてうまく乗り切れるでしょうか。
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bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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