共同運航 費用負担はどうするのかな、、、


 余計な詮索ですが複数県が共同でドクターヘリを運航する場合、その運航にかかる費用はどのように負担するのでしょうか。県民でなくても気にかかるところです。

 http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tottori/news/20091119-OYT8T01193.htm

 鳥取県は県の西部が兵庫県京都府と共同運航するドクターヘリが拠点病院の豊岡病院より遠いために、別に防災ヘリに医療機器を積んでドクターヘリの運航範囲から除外することにしたそうです。

 つまり、当初共同運航のエリアに入れようとしていた地域を除外したのですから、当然出動回数は減るでしょうし、別に除外した区域を防災ヘリでカバーするための予算5000万円を来年度の県予算に計上することにしたそうですから、普通なら共同運航のドクターヘリへ支払う金額を減らすというでしょう。

 もし減らすということになれば残った京都府と兵庫県の支払うべき金額は当然増えてしまうということにならざるをえないでしょう。

 このようなことが共同運航では難しい問題点となります。

 共同運航に合意した時点では、どのような割合で何に対する支出まで等分して負担するか決めいたでしょうから、前提の条件が変われば当然負担割合が変わるのでしょうが、このような交渉ごとは最終的に運航会社の犠牲ということにならなければ良いのですが。

 やはり運航主体は1県が責任を持って、共同運航の他県への出動1件に付き一定金額、40万円などと非常に明快な協定とすることが良いように思えます。

 ヘリに搭乗するドクターナースの人件費、運航基地の設備の整備費などが共同運航の各県がどの程度負担するか、運航回数が極端にばらつきがあった場合はどのような費用負担にするか、などなど、どう考えても割り振りは困難なように見えますが、どんぶりで3分の1づつということも各県の県民の理解を得ることが出来るかどうか難しいところでしょう。

 ドクターヘリで30分以上かかる地域は防災ヘリでカバーしたほうが10分早く着けるということもかなり実績を積んで検証してみないことには正確にはわからない面もありそうです。

 また防災ヘリに常時、医療機器を積むということも問題点がありそうです。日日の点検は防災航空隊でやるのでしょうが、その機器を使う医療クルーははるか離れた都市の病院に勤務しているとなると、果たしてそれで大丈夫なのでしょうか。また医療クルーと運航クルーの日常的なコミュニケーションは大丈夫なのでしょうか。

 日常的に別のヘリポートで医療クルーをピックアップする体制は思ったほどの機動性は期待できないという危惧もあるようです。

 このようなことを考えるとき10分の遅延はそれほど致命的なことでもなさそうにも思えます。

 この地域はドクターヘリ、この地域は防災ヘリというように分けることに5000万円も新たに支出することまでするならば、県内全域を防災ヘリでカバーするということにしたほうが明快で出動回数も多くなり、体制がうまく機能するためには早道であるようにも思えるでしょう。

 もっと言えば、米子にドクターヘリを配置し、県内全域と島根県東部をカバーすることのほうがより効率的で確実な運航を見込めるようにも思います。

 しかしあれこれ方策は後出しじゃんけんでなんとでもいえるという面もあって、県の担当者の方も難しい問題を抱えたもので、ある意味同情してしまいます。
 

スポンサーサイト



コメントの投稿

Secre

No title

実際に要請があってから現場に着くまで、防災ヘリの方が早いとは運航クルーは誰も思っていないでしょう!
ほとんどの防災ヘリは格納庫内で待機しているし、要請を受けて医療器材を搭載するにしても、県の職員である防災隊員がトーイングの動きながらの機内で作業するとは思えません。 結局離陸までの数十分かかり、1時間近く経ってから現場に到着と言ったことは容易に想像できます。

現在のドクヘリに対する補助金が適正とは思えませんが、4分の1の支出で済む今の県の現状を見れば、国からの4分の3と合計で2億円になる補助金を出して運航を担ってもらう病院の選定作業をしたほうがよっぽど現実的だと思います。

No title

ドクターヘリが自らの訓練で飛ぶことはまったくなく、消防機関などの合同訓練などに参加することは年間10回程度あるだけです。ですから年中救急要請に5分以内に離陸と言う体制が取れます。方や防災ヘリはいわゆる緊急出動する回数が少ないのですが、年間150時間程度、自隊訓練尾ために飛行しています。週日はほぼ毎日飛行しているようです。この間は救急要請に対応するには、待機しているときよりもさらに出動離陸に時間がかかるようです。救急要請に対応するヘリはほかの目的で飛ぶことは控えるべきでしょう。

No title

行政事務の世界では(最近あまり良い話が出てきませんが)公的な活動をされる団体に対して複数の市町村が補助金を出す場合によく費用負担割合の話が出てきますが、今回のような場合は固定費部分と変動費部分(出動回数によって変化する経費)に分けて積算したほうが無難なように感じます。

ただ、固定費部分は3県で等分とすると納得しない県が出てきますから、基地病院からの飛行時間30分以内(ホントは15分といきたいですが難しいので)の対象面積按分などとする方法くらいしかないのかもしれません。

1回出動で単価設定して負担金を取るのは出動がなかった場合のことを考えると「共同運航」という責任を果たしていないようにも思いますので。

No title

連コメ失礼します。

それにしても皆さんおっしゃられているように防災ヘリでの救急対応はうちの県でもやっていますが、効果が薄いように見受けられます。

要請から離陸まで20分近くかかるようではある程度の容態の安定化を図った後の「転院搬送」か「山岳(というほどの山はないですが)急患対応」位しか有効性が見受けられません。

年間実績件数が多くても2桁前半(普通は1桁!)は「ドクヘリ的運用をやってます」というポーズだけにしか見えません。

まあ、来年度は正式導入を計画していますがどうなることやら。。。
プロフィール

bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
08 | 2023/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
ジャンルランキング
[ジャンルランキング]
その他
6位
ジャンルランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
その他
6位
サブジャンルランキングを見る>>
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

訪問者数
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR