ダウンウオッシュのコントロール、、、

朝日時代 (4)

 ヘリコプターが離着陸するときに強い吹きおろしの風が発生して、いろいろと不具合なことが起こります。

 ドクターヘリクラスの総重量3トン程度のヘリでは、吹きおろしの風は最大風速で15メートル程度ではないかと思いますが、日本の民間最大クラスの8.5トンの332の場合は最大風速は20メートルを超え、条件によっては30メートルにもなり、人は身構えないと立っていられなくなるほか、離れた場所にあったドラム缶が空中を飛んで駐車中の車のドアを大きくへこましたことがありました。

 ヘリパイロットがダウンウオッシュをコントロールしながら離着陸できるようになると一流ですが、地上の様子を見ながら離着陸経路を微妙に変えたり、エンジンの出力をうまくコントロールして、被害が及ばないようにすることもある程度可能です。

 ヘリがホバリング状態で静止ているときは、ダウンウオッシュが真下に流れて、周りに均等に飛ぶのですが、地上に風があると、風の分だけ流れ、エンジンのパワーの入れ方と風の強弱が合わさると、とんでもない強い風が一部に集中して当たることがあるので、そのような恐れはなるべくコントロールして避ける必要がある場合があります。

 問題は着陸の時で、地上で周りにいる人たちは、どのような風が来るか想像ができないことがよくあり、ヘリから車のドアを閉めろとか、遠くへ離れろという指示を出す時がありますが、うまく通じなくていつまでたっても着陸できないこともあります。

 いったん着陸すれば離陸の場合は強い風に当たった人たちは自然と離れるので問題は少ないようです。

 パイロットは普通経験が浅かったりよく考えないで飛ぶ連中は、自分の吹き下ろす風のことなど、眼中にない場合も多く、又ダウンウオッシュは後方へ飛ぶ場合も多く、又風は見えないので、ダウンウオッシュがどのように飛ぶかを知らないものも少なくありません。

 ヘリのパイロットでダウンウオッシュが重要だとわかる場面はそれほど多くはなく、積雪中の離着陸と、農薬散布飛行で自分が吐出した農薬がダウンウオッシュに乗ってどこへ落ちるかを確実にわからないなど、本当の限られた場面しかありません。

 深く積もった雪の離着陸の場合はダウンウオッシュをいかに小さくして、ホワイトアウトをしないで安全に飛ぶかどのように操縦するべきかは大変に高度な技術で、一歩間違えば横転するという事故にもつながります。

 洗濯物を飛ばしたり、家や校舎を砂だらけにしたり、海岸の干物を砂だらけにしたり、海水浴場でパラソルを飛ばしたりといろいろな不安全が起きるものですが、飛び方によってはかなりこのようなことを少なくすることは可能なので、ヘリパイロットは結構頭を使う仕事です。

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Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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