性能が上がれば楽かな??

ヘリコプターを飛ばす軍、運航会社、パイロット、顧客などすべての関係者はよりヘリコプターの性能が上がって、より重い荷物を、より多くの乗客を、そしてより早く、より遠くへ、より長い時間とその要求は際限がありません。
その結果、確か550馬力くらいで始まったAS350は900馬力以上のエンジンを積み、重量も1950キロから2800キロと初期型から倍に近い値まで発展していますが、胴体とローターの直径は同じという、いわゆる改良に改良を重ねて進化しています。
もともとの設計が2800キロや900馬力を想定して設計されているとは思えませんがどこまで持つのか心配になります。
パイロットにとって馬力や搭載重量の制限が拡大しても、以前と同じ条件で飛ばすのなら、ずいぶんと余裕のある性能で、余った余剰部分はすべて安全性の向上や、操縦操作の失敗からの回復に余裕があるということになり助かるのですが、実は性能が口授した分をパイロットにもらえることはほとんどありません。
良く昔から先輩が嘆いていましたが、性能が向上した分はすべてが顧客のために使うので、荷物の重量が増え、燃料を多く入れ、より遠くへ飛ぶことになり、パイロットが楽になることはありません。
楽になって、性能が向上したと実感できるのは、軽い状態で飛べる訓練の時ぐらいなものとなります。
例えばエンジンを強化し、ローターの翼型を改良し、搭載重量を増やした場合に何が起きるかと言えば、高出力ホバリングの時に、反トルクが大きくなり、ヘリは回される力が大きくなり、特に、ピーク時のトルク変化が急激になってテールローターの性能が着いていかない状態になることがあります。
確か350系統はこのように起きる半トルクに対応できるように何をしたかというと、テールローターの羽の後縁に板状のタブを着けて間に合わしたことがあったと思います。
つまり根本的な設計変更はせず、薄い板をプロペラの公園に張り付けただけのパッチあてで済ましています。
ベル205Bを開発した時もエンジンを強化してローターの翼型を変えて揚力を拡大した時もテールローターは変更せず、重量いっぱいで馬力が急激にピークなる時のテールロータに過大な馬力が入ってエンジンが悲鳴を上げるようになってしまい、結果的に1000時間でタービンが壊れてしまいました。
先日の135荒い着陸と秦野のBKの墜落は結局ローターとテールロータの性能のアンバランスが片方はローターに、片方はテールロータに十分な馬力が入らなくて起きた事例と言えるでしょう。
一般に性能向上型が運航に余裕が出て良い効果があるとしか評価されませんが、パイロットにとっては性能向上で犠牲になる部分があるということをよく認識して飛ばす必要があります。
航空機の性能は一般的に、こちらを立てればあちらが立たずという大原則があることを忘れてはなりません。
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