ドクターヘリ連携で協定 石川が中部7県と締結



https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200330-00843573-hokkoku-l17

石川県が大災害発生時にドクターヘリ派遣で連携するために中部地方7県と協定を結んだと発表したそうです。

 ドクターヘリが他県と協定を結ぶ場合、有効なのは自分の県のドクターヘリが飛んでくるよりもはるかに早く他県のドクターヘリが着くような配置になっている場合だけでしょう。

 そのほかに有効な場合があるとしたら、自分の県のドクターヘリが出動中で隣の県のドクターヘリに頼んだ場合の方がはるかに早く着く場合です。

 大災害時にドクターヘリが有効かどうかはすでに何回かの災害でどの程度の活動ができたかを検証すればわかると思いますが、大災害時にヘリが必要なのは、おおむね被災地区の病院の重症患者を他の地域の病院へ転院させることしかないと思われます。

 大災害時にドクターヘリでしかできない活動は、災害による外傷で救命処置が必要な場合なのですが、このような出動のコントロールをできる体制は発災から相当時間がすぎないと連絡体制が出来ず、本来のドクターヘリの受け持つ救急出動指令は出来ないことが普通です。

 つまり大災害地で有効に飛行するヘリの中にはドクターヘリは用途不向きで、数多い出動が見込める、防災ヘリや自衛隊ヘリで対応するべきでしょう。

 各県各地域にほぼ1機しか配備されていないドクターヘリがその本来の任務を捨てて他の県へ飛んでいくと、その地域の救急体制に穴が開き、失われる命が出る可能性が高くなります。

 県によってはドクターヘリの普段からの出動回数が極端に少ないところもありますので、そのように暇で仕方がないドクターヘリはどこへでも飛んでいけばよいでしょう。

 地方ごとに複数のドクターヘリから半分程度を災害地に派遣して、残ったドクターヘリで隣県もカバする方法がありますが、そのようなことをしてまで災害地に飛んで行っても、有効なフライトは出来ないでしょう。

 災害地で活躍するべきヘリは普段の任務で余裕のあるヘリで、防災ヘリや自衛隊ヘリが本来の任務を離れて災害地へ出向いてもあまり影響がないほど、本来の任務に緊急性がありません。

 その点ドクターヘリが本来の持ち場を離れると、5分離陸体制で守っている県民の命を見捨てることになります。

 絵にかいた餅はどんなにおいしそうに見えても食べることは出来ません。
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35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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