患者さんの元へ早く着くために、、、、

和歌山ドクターヘリ1 (171)

 ドクターヘリは救急患者さんの命を繋ぐために飛ぶので、できるだけ早く着くことが大切と言うことになります。

 そのためにドクターヘリパイロットは様々な工夫をして、日々、自分の手順や飛び方を見直して理想に近づいていく努力が必要となります。

 航空の世界には様々な標語や言い回しがあって、有名なものは「遅れても着かないよりはずっとまし」と言う言葉があり、事故で墜落するより少し遅れても確実に到着することが大切であるという意味なのですが、ドクターヘリの場合は遅くなったことで救命出来なかったらそのフライトは無駄であったという可能性もあって辛いところです。

 出動要請から現場へ到着し、医療介入までの時間を最大限短縮するためにパイロットは間違った操作や手順をすることによってやり直しをすることを防ぐことが肝要で、いかに緊急出動であると言っても慌てて行動することは避けるべきでしょう。

 間違わないということと同じように大切なことは、無駄なことはしないということもあります。

 そして次に来るのがやはり操作手順の標準化で、できるだけ同じようにするということが間違いを少なくし、無駄を少なくすることになります。

 離着陸のパターンなどはその中でも大変重要なことで、着陸場所によって障害物や着陸場所の広さなどが違うのでどうしてもパス角や進入速度を場所に合わせて変えることが必要となるのですが、自分は最終の障害物を超える高度を一定にするように心がけていました。

 この技術は木材搬出で最終的に木材を接地させるための重要な技で、いつも同じ高度で障害物を超えて場内へ入ると、接地までの時間が短縮できるだけでなく、吊り荷が安定し、しかも速度も一定に減速しやすくなり、最終的には何も考えなくても毎回同じように接地させることが出来るようになります。

 同じ手順で同じようにパターンを飛ぶような習性を付けると、ほとんど何も考えなくても正しい飛び方ができるようになり、毎回毎回手順を変えたり、パターンを変えたりする癖があるパイロットは罠にはまる確率が高くなります。

 正しい飛び方、正しい手順にいかに標準化できるか、またその標準化したものをいかに守るか、また長い間によりその標準化のパターンをより良いものに変えていくかがパイロットの腕の見せ所です。

 患者さんの腕が2本引きちぎれていても、動揺せず標準化した飛び方が出来れば一人前ですが道は遠いことでしょう。

  
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ドクターヘリパイロット(元)奮闘記 防災ヘリ新安全基準 航空法の精神を無視!!
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35年間のヘリパイロット生活 
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