TA級の重要度、運送事業他、、、、




 厳冬の北海で石油開発に従事する作業員が遥か沖合いのリグへの足としてヘリコプターが利用される中、ヘリコプターが故障やトラブルで、洋上で墜落したり、着水すればほぼ死亡する事が確実な中、絶対に命を守るためのヘリコプターの性能基準が厳しく設定されたのがTA級の考え方です。

 ヘリコプターにエンジンが1基だと、故障したりすると不時着水するしかなく、流氷の中では30分もしないうちに凍死してしまいます。

 エンジンを複数装備すると片方がもし止まっても、残ったエンジンで安全に飛行を継続できれば、死ぬことは防げますので、基本的に残ったエンジンで離陸から着陸完了まで、すべての領域で飛行を継続できることが条件となります。

 ヘリコプターのすべての飛行領域で、一番馬力が必要な領域はホバリング=速度ゼロからほほ20ノット程度まで加速するところの10秒間程度がこの領域になり、この領域で片方のエンジンが停止しても、残ったエンジンの許容されたオーバーパワー、通常30秒使用可能最大パワーを使って20ノット程度まで加速できれば後は楽勝です。

 エンジンが止まってから加速のためにパワーを増加させるのに一定の時間がかかり、また増加させたパワーが効いていて来るまでは、降下しながら加速することになります。

 あるいはりりくを中止し、30秒パワーを使って離陸したところへ、軟着陸するために離陸中は30度後方へ下がりながら、着陸点を視界にいれてたままホバリング上昇します。

 TA級の要点はこの20秒くらいの一番馬力を使う領域でも、残ったエンジンの30秒制限最大馬力で軟着陸できるか、離陸を継続する事が出来ることを、申請する全備重量で安全に出来ると言うことを証明された性能と言えます。

 もちろんエンジンの通常の限界を大きく超える、ぎりぎりの最大馬力を手順どおりうまく使えば生還できますが、加速が遅れたり、最大可能パワーをうまく使えなければ墜落し、エンジンの制限を超えれば残ったエンジンも壊れて墜落する可能性があります。

 TA級はこの20秒だけが味噌で、ヘリコプターはこの20秒以外のすべての領域ではこのような大きな出力は必要がないので、TA級でない機種のヘリは、この部分の安全性は無視し、より大きな重量で運航することを可能とした、規格の耐空類別で飛行しています。

 と言うことで今ドクターヘリとして飛んでいるすべての機種は、離陸直後にエンジンが止まれば、うまく不時着する必要があり、屋上へリポートなどでは、付近の場所に不時着場の設定が運航許可上必要となっています。

 しかし、理論的にはある一定以上の高さの屋上へリポートでは、離陸直後にダイブすれば、安全速度を獲得できるため、実際に不時着する必要はありませんが、認可された運航規程にはそのような項目がないので、屋上の高さが何メートルなら安全に飛行を継続できるかと言う証明がありまん。

 このため、実際には通常は要らない不時着場が書類上設定できないと屋上へリポートには、TA級以外のヘリは着陸できないことになります。

 TA級のヘリの限定変更訓練や試験ではTA級最大重量での離陸訓練は危険すぎてやりませんし、軽い状態ならタダ形式的なものです。

 またそのようなときでも下手をするとオーバーパワーになりそうになったりして、結構危険性のある訓練となります。

 このような単発エンジンでのぎりぎりの性能を使ってでも不時着水しないという考え方は理解できますが、ドクターヘリの実際の運航での着眼点は、大昔ベル47の農薬散布で目一杯の重量で、必要最小限のパワーで離陸するテクニックと同じで、無駄なパワーを使わない、最小馬力でスムーズに危険速度から加速すると言うことに尽きるでしょう。

 必要がないのに、いつもいつも、最大パワーで、ホバリング垂直上昇などしていると、片発故障になると確実に墜落するのですが、何故あのような離陸をするのか、誰も注意するのがいないのか不思議でなりません。

 TA級のヘリであってもあのような離陸は自殺行為だと思うのですが、、、
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コメントの投稿

Secre

No title

何か繰り返しですいません
ドクヘリは不時着場が設定できない場所において、TA手順をふむ必要の有無はどうなっているのでしょうか
CABは運航事業者がTA手順を行う行わないは関知していないのでしょうか

No title

ドクターヘリ運航全般に限らず日本ではTA運航という概念はないと思います。規程上不時着場が取れない離着陸場でTAが満足できるなら許可になりますが、取れない場所でも無理やり不時着場を設定すす事が出来ます。不時着場の明確な基準がないためどのようにもなり、ドクターヘリなら許可を出すでしょう。TA運航を強制すれば今の機種では不可能となるでしょう。多くは救助事例の適用も出来ますが、基地病院だけは出来ないので、不時着場を設定し、TA運航は求めないと言うようになっているようです。> ham**yuriさん

No title

接地帯中心が捉えられずに、20秒も30秒もフラフラとホバリングで右往左往してるのはヤハリ危ないんでしょうか。
上がる時もスキッド片後端でグラグラしたり、見てて危なっかしいです最近。

No title

そのような状態はヘリに乗せられていると言う状態ですね。パイロットがヘリに乗せられているようではちょっと心もとないですね。> ku0*****さん

No title

TAについて御回答ありがとうございます
ただ何のためのTAの訓練だったりCAB試験だったのか
規定に記載されてるので何かの目的があるからと思っていました
エアラインの離着陸は見た目普通ですがTA手順をふんでいるはずで、それに基づき重量や滑走路長の制約があると思います
ヘリはほっとかれてるのでしょうか
運航の自由度があり、何もなければそれに越したことはないのですが、安全上は『えっ!』という感想です
確かに神奈川ドクターヘリの事故調でもTAはもちろんデトマンズカーブについても触れられてなかったので、やはりそうなのでしょう
いいような悪いような なんかモヤモヤです とにかく御安全に
プロフィール

bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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