難しいか?ドクターヘリの着陸、、、
ドクターヘリが飛び始めた15年程度前は、2000時間程度の飛行経験があればほぼ大丈夫、こなせるだろうとパイロットを選任しました。
ヘリコプターのフライトの様々なフェイズで特有の危険性と、判断操作の難易度と言うものがあって、ドクターヘリの運航は民間ヘリの運航の中では下から数えたほうが早い程度の難易度と判定されていました。
運航中の様々なフェイズの中で、着陸はやはり難しいほうで、危険性もあり現実的にも事故第一号が着陸中の事故になりました。
ではドクターヘリの着陸にはどのような危険性があり、どのようなテクニックや判断が難しいのでしょう。
根底にあるのはドクターヘリの運航がすべて時間的な制約を受けるということがあり、無駄にもたもたしていてはだめという事になりますが、危険を冒してまで早く着陸しろというような明らかなプレッシャーは無いでしょう。
パイロットが安全に着陸できるかどうか判断する上で、重要な材料のうち一番はその場所が事前に調査されていて安全性が確認されているかどうかが重要となるでしょう。
調査されたことが無く、誰も着陸したことがない場所なら、パイロットはよほど慎重に確認をする必要があります。
地上で誰かがここに着陸しろと合図をしていても、進入経路に電線がないか、ローターやテールローターが障害物に接近しないか注意する必要があります。
どこかで、ロンドンでは電線がすべて地中にあるので、どこにでも着陸できると言っていましたが、それを信じて隠れた電線にぶつかって墜落しても誰も褒めてくれませんので、最終的にはパイロットが確認する必要があります。まして電線が地中に無い日本ではなおさらです。
狭い場所へ着陸するには障害物に当たらないようにすることも重要ですが、もっと基本的には、患者を収容して離陸しようと、パワーを入れたら上がれなかったなどと言うことも普通に起きます。
進入中や離陸中に激しい砂塵が飛んで、洗濯物を汚したり、窓から砂塵が飛び込んで家中が砂だらけになったと叱られたり、うるさいと通報されたりしないような配慮も必要でしょう。
ヘリコプターを接地させるときには、消防の誘導者が、なぜ誘導した場所へ着陸しないのだとクレームをつけることもありますし、傾斜で不安定になって地上共振を起こしたり、小さな石ころや切り株につまずいて3トンのヘリが横転する危険性もあります。
学校などで散水して泥んこになった真ん中へ着陸すると、グランドをぐちゃぐちゃにしたと叱られることもありえるでしょう。
着陸前には風がどちらの方向からどの程度の強さで吹いているか、息があるか、建物や地形の影響を受けていないかなどを瞬時に判断する必要がありますが、吹流しや旗など明瞭に判断できるものがないかも知れませんし、消防から無線で通報されてくる数値が正反対である可能性もあるでしょう。
誘導する隊員は、原則風を背にして立つのですが、間違って逆かもしれませんし、パイロットは地形などのために逆方向の着陸を選択することもあるでしょう。
着陸だけが難しいというわけではありませんが、パイロットはほとんど瞬間的にすべてを判断し、進入開始後新たな情報で修正を加えながら、安全確実に着陸するということになります。
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