ヘリパイロットの飛行時間、、、
ヘリコプターのパイロットの選定において飛行経歴時間を問うようになったのはそれほど古いことではないと思います。
昔は電力会社などが自社の社員を搭乗させて、送電線パトロールなどで飛ぶ必要があり、事故などが起きたのでパイロットの経験飛行時間を決めて運航会社に要求したのが始まりです。
ドクターヘリが始まって2000時間の基準を設けたのは、安全性にかこつけて、小規模会社の参入を防ぐためですが、ヘリパイロットの飛行時間とは何かと言うことから決めないとだめだと言うことになります。
もともと小型のものが多いヘリコプターは一人操縦の機種がほとんどで、パイロットの飛行時間はほぼ機長飛行時間と同じでしたので、いちいち飛行時間を区分けすることは無かったのですが、航空局がパイロットの飛行時間を詳しく分けて記録するように指導したことから、少し不具合が出て来ました。
イギリスのウイリアム王子は海軍でのヘリコプターの1300時間の飛行経験で退役後民間会社で救急ヘリの副操縦士として勤務しているようです。
王子の飛行経歴を想像するに、海軍ではパイロットの資格を取るために200時間程度の訓練を受け、資格を取った後は副操縦士としてたぶん800時間程度の経験の後、機長としての資格を取って300時間程度勤務していたように思います。
その後民間会社に就職してから民間資格の取得のために100時間程度訓練を受け、ライセンス取得後は副操縦士として救急ヘリに乗っているようです。
彼の飛行経歴から飛行時間の区分けを日本方式で現すと、同乗教育飛行時間が300時間、副操縦士飛行時間800時間、そして、機長時間が300時間となります。
この飛行時間を日本の方式でカウントする場合、王子が海軍で乗っていたのはたぶんリンクスと言うイギリス製のヘリだと思いますが、このヘリの設計が一人乗り操縦である場合は副操縦士としての時間は認められませんので、800時間の飛行時間は経歴に入らないと言うことになります。
さらに現在救急ヘリはMD902かEC135だと思いますがこのヘリも一人乗り操縦ですから飛行時間経歴にはカウントされないことになります。
ということで王子の飛行経歴時間は300時間の機長時間と同乗教育時間300時間の計600時間のパイロットという事になります。
600時間しか飛んでいないヘリパイロットは見習い副操縦士として救急ヘリに何年間にも渡って何千回も出動し、何千時間も飛んだとしても日本のドクターヘリの2000時間の飛行経験は満たさないことになります。
日本で2人乗り操縦が必要な機種は民間ではBV107だけなので、ドクターヘリのEC135はじめ、どの機種に乗って、副操縦士のように飛んで飛行経験を積んでも、正式にはパイロットとしての飛行経歴に加算することが出来ないような制度となっています。
しかし1000時間しか飛行経歴の無い、若い操縦士を副操縦士をかねて業務の見習いをしながら経験を積んで、5年後には晴れて機長として飛べるような制度はパイロット不足の今に時代にはぜひとも必要な制度でしょう。
イギリスではそうやっているようですし、他の国でどのようにやっているか調査してきた人がいるようですが報告は無いようです。
ドイツの1000時間パイロットなどこのような方式で経験を積ませて、飛行時間を稼ぐと共に現場に精通し、なおかつ適性や技量を十分に確認して晴れて機長として飛ばすようにしているとしか思えないのですがいかがでしょう。
自衛隊も海上保安庁も県警ヘリやその他公的ヘリも人員を育成して、優秀な戦力を確保するにはこの方法しかないと思うのですが、民間のヘリパイにはなぜそれが出来ないのでしょうか。
民間のヘリパイは1000時間さえあれば十分に要求をこなせる優秀な粒そろいという事ならば、もう少しは優遇してもよさそうですが、見たところそれほど優秀なのはどうもいないような気がします。
さてどうしますか、、、
スポンサーサイト