農薬散布 実機から無人ヘリさらにドローンへ













 昭和60年ごろから農薬散布ヘリはほとんどは無人のラジコンヘリにとって代わりましたが、最近のドロ-ンの発達でついにドローンにとって代わりそうになったようです。

 ヘリコプターで始まった水田などの農薬散布は当初は粉剤の農薬で、1ヘクタール当たり30キロも投下するため、一日に100ヘクタールも撒くには3トンもの農薬を3時間程度で散布しました。

 その後農薬は液剤に代わったものの、当初はヘクタール30リッターで搭載投下重量は同じだったのですが、だんだんと面積当たりの投下量が少なくなり、最終的にはヘクタール1,2リットル程度まで低下しました。

 つまりは少量のいわゆる濃い農薬を正確に散布するようになり、無人ヘリ つまり搭載量のごく小さなラジコンヘリでも十分作業ができるようになり、経費が安いということもあって一挙に実機はいらなくなってしまいました。

 経費が安いと言っても無人ヘリは1機1000万円以上もしましたがそれでも十分実機に対して優位性があって、実機のヘリは飛ばなくなってしまい、一挙にヘリのパイロットが職場を奪われてパイロットは育たなくなってしまいました。

 ここへきて最近大発展のドローンですがやはり無人ヘリに比べてさらに機体価格が安いうえ、GPSとコンピューターの連携できわめて正確に散布出来るようになりそうです。

 農薬が原体散布と言って、有効成分が濃縮されていますので、散布むらが薬害を引き起こしたり、有効な効果が薄いところが出ることを防ぐことが一番難しく、実機の場合でもこれがパイロットの腕の見せ所でした。

 ただ水田の農薬散布の場合、小型で安価で手軽に正確に散布できるからいいかというと必ずしもそうは言えない面があります。

 というのは農薬がウンカ ヨコバイのような害虫を対象とする場合、小さな面積に散布すると、彼ら害虫は農薬のかかっていない隣の田圃へ避難し、1週間もして農薬の効果が落ちてくるとまた戻ってくるという習性があります。

 一つの町村に実機のヘリを5機も10機も投入して、一気に一日3000ヘクタールも散布するのは、害虫の行動範囲を一挙に殲滅するという広域防除の効果もあったそうです。

 技術的な進歩は一方通行で絶対にもとに戻ることなく、10年もすればドローンばかりが農村地帯を飛び回り、エンジン仕様の無人ヘリ一挙になくなりそうです。

 そういえば日本国中、50機以上のドクターヘリが飛び回っていたけれど、いつの間にか飛ばなくなったねーー

 というような、技術の進歩は日進月歩何が起こるかわかりませんので、何らかの技術革新が起こり得ることも十分考えられそうです。

 
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Secre

No title

いざと言う時に実機でなければ出来ない事の為に操縦技術も含めて残して欲しいです。

No title

レスキューにドローンを活用しようという動きもあるそうです。

「豊後ピートのブログ
ドローンで遭難者の捜索という話がいくつか出ているので寸評
http://blog.goo.ne.jp/bongo-pete/e/133e69094d97b99e6c8ddce88daf8fbb

有人機に比べて脚が短いとはいえ、北アルプスや八ヶ岳のように高密度で有人の山小屋がある地域なら山小屋ごとに配置・運用すれば、現在でもかなりの部分有人ヘリコプターの業務を代替できるように感じます。

No title

No title

雑な散布と横柄な航空会社(パイロット)でいやになったところに代替手段ができてやめたらしい。百姓を客とも思っていなかったらしいからね。ちなみに親戚の宮城県の米農家のつぶやき。
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bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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