ドクターヘリ 劇的救命は世界記録と同じ、、、












 ドクターヘリが導入当初から、救急時の医療介入の時間が劇的に短縮されることを売り込んで、あたかも救世主のような期待を世の中へ与えて、このことがドクターヘリの導入に大きな影響を与えたことは確かです。

 ヘリが飛べさえすればいとも簡単にこのようなことが達成されるような過大な期待感を与えてしまったことはあまり良いことではなかったかも知れません。

 救急時の医療介入までの時間が劇的に短縮されるかというと、やはり一定の条件がないとそれすら十分に達成されない可能性を否定できません。

 時間の短縮にはやはりランデブーポイントの適切な準備設置が必須条件で、小さな町村でも通常数十箇所程度は必要で、これが防災ヘリを飛ばすときのような10キロ四方に1、2所程度では患者さんを収容した救急車が近隣の病院へ向かった方がはるかに早いとなるとドクターヘリは殆ど意味がなくなってしまいます。

 少なくとも町村のどの位置からでも直近のドクターヘリランデブーポイントまで3分5分程度の位置にないとドクターヘリは意味がないといえるかもしれません。

 そういう観点からドクターヘリは最終的にはランデブーポイントに着陸することは極力さけ、患者さんの位置からドクターが数分徒歩で着ける様な場所へ直接着陸することが一番の時間短縮ですが、これとて、パイロットが上空から着陸地点の安全確認に5分もかければ、殆ど意味のないことにもなりかねません。

 このようなドクターヘリ運航上の利点を最大限生かす、現場着陸や、救急車とヘリ、ヘリと患者さん直近着陸などは日本の公的ヘリの運航にはまったくなかった方式でもちろん航空法上のヘリの安全性の常識からも大きくかけ離れています。

 このような一般常識の中での運航で、ヘリがなせる劇的救命は限りないほど多く飛ばす中でも、20件に一件以下程度の救命事例は発生しませんので、これはあたかも、世界一流ランナーが世界記録を達成するような場面に近い状況と言えるでしょう。

 9,8秒の世界記録を持つランナーは普通に10秒くらいでいつもで走れる実力を持つ中でこそ、世界記録を出せるのですから、10,2秒くらい以上が劇的救命の最低記録とするならいつも10秒くらいで走り、最強条件の良いときに世界記録を出せると言うものです。

 ドクターヘリは何回も何回も飛び続けて10,2秒 10秒程度の実力をつけるには、それこそ多くの実績が必要で、一日一回くらいしか飛ばないドクターヘリは10,5秒の記録か11秒の記録しかでるはずもなく、劇的救命がなせるかどうか、大変確率が下がることでしょう。

 ランデブーポイントに漫然と着陸する運航を一日1回程度やっているようではとても劇的救命の感激を味わう頻度はそれほど多くはないでしょう。

 それでも救急車搬送に1時間、2時間掛かるところではドクターヘリの時間短縮機能は生きていると言えば言えますがそれはドクターへ本来の機能ではない言うことも言え、とにかくどんどん飛んで鍛えて鍛えて、能力を向上させることが必要で、その数多い出動の中で、軽症、オーバートリアージが少しくらい含まれていてもなんら問題はないでしょう。

 それより100件の中の1件の劇的救命を自らの能力の不足で取りこぼさないようにドンドン飛んで能力向上に挑戦し続けることでしょう。
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Secre

No title

管理人様

海外、とくにヨーロッパなどでは、救急ヘリが平気で市街地に着陸し、その場で患者さんを収容している映像などを見ますが、どのようにパイロットの訓練などをしているのでしょう。

ロンドンのトラファルガー広場前にも救急ヘリが着陸しているようですが、平時は訓練で着陸することは難しいような気がします。

そういえばロンドンの場合、理由はわかりませんが、内因性の急病では救急ヘリは出動しないようですね。

No title

世界の常識では着陸する、できるはパイロットがヘリと自分の性能を判断して決めますが、日本ではずっとお上が決めて来ました。ドクターヘリが飛び出していきなりパイロットが決めろと変りましたが、救助以外は今でもお上が決めています。市街地に着陸する場合の固定物障害物や線状障害物などからの距離の判断は山岳地、一般地域 市街地などの区別はありませんので、世界の常識で経験を積んだヘリパイロットにはそれほどの困難はありません。日本でお上の指示で守られていたパイロットはどれほど経験を積んできても無理と言うことになります。しかも訓練すら許されていませんので、日本の民間ヘリパイロットは世界的に見るとカタワということになります

No title

日本は、電線が多すぎるって、ある講習会で言っておられました。 ロンドンは、すべて地中埋設だそうです。

No title

すべて地中だと安心していたら引っかかります。ワイヤーカッターをつけているのはそのためです

No title

内因性疾患と外傷では重症度の判定が比較的容易だと言うことがあるでしょうね。内因性疾患はむつかしいでしょうね

No title

大震災の大津波で、埋設ケーブルの殆どがダメになりました。
埋設溝に詰まった泥の排除から何やら、復旧に相当の手間と時間が掛りました。

電柱と電線、日常では大変見苦しく邪魔ですが、整備性と言う面では比較的良好で、痛し痒しと言う感があります。

ま、100年に一度ですから、気にしなくても良いのでしょうけどね。

No title

密集市街地の電線の張り具合を見ると日本の電力会社の美的感覚を疑わざるを得ないです。もうすこし何とかきれいに張れないかといつも思います。 電話やその他のケーブルもあるのでしょうがあまりにもひどいですね、傾いている電柱などは無数にあります。

No title

電線の地中化など100年早いですね 傾いている電柱ぐらい直せよと言いたくなります

No title

No title

http://www.yomiuri.co.jp/local/miyagi/news/20150708-OYTNT50332.html

どこもキツイ運行なんですね、、

民間自主運行のヘリの場合 ”ドクターヘリ”の”特権”である
”基本的にどこでも着陸OK”ができないのではと思いますが
そうなるとこのようなヘリの存在の意義、意味はあるのか?
と思ってしまいます どうなんでしょうか?


http://www.rbbtoday.com/article/2015/07/09/133139.html

大混乱している時に これ 本当に運行できるのか疑問です

燃料は確保できるのか?

着陸場所の状況把握は?

他の用途が優先ってな事にはならないのか?

などなど いろいろ疑問です
プロフィール

bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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