オスプレイの操縦は難しいか?、、、
航空機は一般に新しいほど、また大きいほど操縦がやさしいと言えます。
なぜかと言うと、一般には自動化が進み、安定性は人間よりはるかに優秀な自動安定装置が組み込まれ、自動操縦で安定して飛べるため、離着陸などより複雑な場面でも、人の操縦を助けてくれ、より容易に操縦できるようになっているからです。
この面で固定翼航空機に遅れをとってきたヘリコプターも今ではちょっとしたヘリなら自動安定装置がついていて、オートパイロットも装備されているものが多く、2地点間のフライトなら殆ど手放しで行えるようになっていますので、自由に地図を見たり、外部の天候や周辺の他の航空機への見張りに十分な時間を取れるようになっています。
さてこのような面でオスプレイも同じように自動化が進み、巡航中には手放しで飛べるのですが、一番リスクがある、垂直離着陸や、ローターを少し前方に傾けた、短距離離着陸は最新のヘリコプターと同等以上のリスクと操縦の難しさがあるように思います。
マニュアルを見たわけではないので詳しい数値は想像するしかありませんが、致命的なことは同等の大きさのヘリに比較して、ローターの直径が、固定翼のプロペラとしての性能との兼ね合いで、きわめて小さくなっていると言うことです。
一般にヘリコプターのホバリング時の性能はエンジンの出力が同じなら、直径の大きなローターをゆっくりと回すほうがより、大きな揚力が得られ、前後左右のホバリングの操縦性能もより有利となります。
ただローターの直径をあまり大きくすると、前進飛行のときに、回転中のローターが前進方向と反対方向の、の後ろへ進むときに、失速しやすく、速度が出せないと言う、兼ね合いであまりに大きくは出来ません。
オスプレイはプロペラとしての効率の関係と機体の構造上、左右のローターが回転中に当たらないと言う制限で、ヘリコプターとしての性能は同等の馬力のヘリと比較して大きく劣ると言えるでしょう。
もちろんホバリング時の操縦性、自由度も劣ることになります。
これはどの程度の差になるかと想像するに、短距離離着陸で、ローターを30度ほど前に傾けて離着陸するときの最大搭載量が10トン程度積めるとすると、たぶんヘリモードでの離着陸なら5トン程度と半分以下になってしまうのではないかと思います。 正確にはマニュアルが見れるとわかるのですが。
そのマニュアルの数値自体もいわゆるセールストークのような要素もあり、いつも、必ず離陸できると言うわけではなく、気温や風向風速になどの条件によって必ず減額しなければいけないのは、ヘリパイロットの常識です。
富士ベル205Bは売込みでは2トン300キロつれると言うことでしたが、1トン600キロがいいところで、横風になるとテールローター馬力を食われてアップアップしていました。
このことは何を意味するのかと言うと、たとえば小笠原へ急患輸送で飛ぶ場合、東京付近の基地を離陸する場合は木更津、立川などの飛行場を飛び立ちますので、短距離離陸モードの30度前傾で十分な燃料を積んで飛びたてますが、現地小笠原で給油し、ヘリモードで飛び立てるかということが問題となり、ヘリモードで離陸できるとしても、制限重量がかなりいっぱいで、より高度で慎重な離陸操作が必要となるでしょう。
このあたりを考えると、ヘリのパイロットが最大限の重量物を吊り下げて離陸していくような限界の操作を常に想定したパイロットの訓練選抜が必要となることでしょう。
オスプレイの想定される事故ではやはりこのようなヘリモードでのぎりぎりの状態での離着陸に熟練していることが理想なのでやはり、ヘリでこのこのような操縦経験の多いパイロットが有利となることでしょう。
これを裏付ける事実として、オスプレイには1分間に300リットル以上の燃料を投棄するシステムが装備されているそうですが、10分で2トン以上も投棄できます。
離陸してすぐに、何かのトラブルが起こりヘリモードでしか着陸できない場合、すぐに燃料を投棄して軽くする必要があるからでしょう。
と言うことはオスプレイは垂直離着陸が可能な航空機とはいえ、実際にヘリモードで離着陸できるのはごく限られた軽い状態であり、しかもその限界値付近でのヘリモードでのの操縦はかなり手ごわいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
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