アメリカで医療用ヘリ 屋上で墜落、、、
読者の方の書き込みのユーチューブの映像は屋上へリポートでの衝撃的なものです。
4月9日の映像と言うことで少し古いものですが、乗員が軽症で救出され、ニュースバリューがあまりなかったと言うことで、大きく取り扱われることがなかったようです。
しかしドクターヘリ関係者にはあまりにもショックな映像で、特に屋上ヘリポートを常時使用している方々には大変、気になる事故でしょう。
患者を運んできて、卸してから、離陸しようとして、テールローターのコントロールが効かずに、回転を始め、止めることが出来なくて、ヘリポートと建物最上階の床面の間に墜落し、ヘリは全壊したようですが、運よく地上まで落ちなかったので乗員は奇跡的に軽症で済んだようです。
地面を切って離陸中に、突然、テールローターのコントロールが効かなくなって、まわされ始めて最後までコントロールできなくて、ヘリポート面に激突して、すぐ横のヘリポートとビルの最外側の間に激突したようです。
スキッドが地面を切って浮かんだ瞬間に回りだしていますので、空力的なことが原因ではなく、物理的に何らかの原因でテールローターのピッチ角を変えることが出来なくなって、離陸中に必要なかなりの大ピッチ角のところで拘束が生じ、最後まで動かせなくなって、旋転を止められないまま、ビルにぶつかったような様子です。
このような場合に、普通に考えられる原因には、足で操作するラダー テールローターのピッチ変更機構までつながっているのですが、どこかで何かが挟まったと言うことが、考えられます。
もうひとつはラダーからテールローターのピッチチェンジ機構までのリンクがどこかではずれ、空力的な中立位置で止まり、コントロールできなくなったと言うことが起こりえます。
私に経験では今回の事故の原因はこのどちらでもないような気がします。
過去に同じようなトラブルに遭遇し、九死に一生を得た経験があり、このことは是非関係者の皆さんには知っていてほしいと願い以前にもブログで取り上げたことがあります。
ピッチチェンジ機構の中にローラーベアリングを使ってある部分が、テールローターの軸のところにあり、長い操縦操作の繰り返しのうちにこのローラーベアリングが偏磨耗して、真球の形が大げさに言うと楕円形に変形し、操作の途中で偏磨耗した長い径同士が当たるとロックして、踏み込もうとするほど動かなくなる現象が出ることがありました。
木材を30メートルの長くつった状態で、降ろそうとする操作でホバリングに入るときにこの症状が出て、ラダーがロックしてしまい、旋転が始まって1回転半ほどしていよいよ墜落かと覚悟を決めた瞬間、何の気なしに逆方向を踏んだとたんに、ロックが外れて立て直しに成功して無事生還したことがありました。
このトラぶった部分の交換作業で来たベテランの整備士の話しでは過去に同じようなトラブルがあったと言うことも話していました。
木材を降ろしていた場所は電線電柱に囲まれている場所だったので、そのまま回復できないで、つり荷を電柱などに激突させて墜落していたら、操作を誤ってつり荷を障害物に当てて、バランスを崩して旋転に入って事故になったと言うことで、下手なパイロットだったと言うことで終わったことでしょう。
世界中どこで起きた事故であっても、運航安全には非常に重要な情報があり、このようなことも迅速確実に運航現場に伝わり、事故防止につながると良いのですが、、、
スポンサーサイト