ヘリコプター 固定脚 引き込み脚 どちらが有利か、、、


 
 
 私の航空経歴は航空自衛隊のT34メンターからスタートし、ヘリに移るまではすべて引き込み脚の機種でしたので、ヘリに変わってからは脚の出し入れに気を使うことがなくなって、ずいぶんと楽になったものでした。
 
 ヘリに変わってから40代で1万時間も飛んでから、初めて引き込み脚のヘリ、AS330やAS332にも乗るようになってまた、わずらわしく気を使わなければならなくなりました。
 
 と言っても、330も332も物輸ばかりでしたので、足を上げて飛ぶことは長距離の空輸移動のときだけで、ほとんど下げて飛んでいました。
 
 そもそも速度の遅いヘリコプターにわざわざ機構が複雑で、重くもなる引き込み式の車輪が必要かどうかと言う疑問があります。
 
 私が大昔習ったときには飛行機は150ノット以上で巡航する性能がないと、引き込み脚にしても速度と燃料消費率において、効果がないと言うことでした。
 
 ヘリコプターにおいてもほぼ同じような理論でしょうから、150ノット以上で巡航し、しかも1時間以上も巡航するような運用をしない限り、わざわざ複雑で高価な引き込み脚を装備する必要はなさそうです。
 
 AS332や365 S76 アグスタ109などの装備されているのは、洋上遠くの石油基地などへ長時間かけて飛ぶ任務を想定して装備したものでしょう。
 
 日本国内で飛ぶ分にはほとんど意味のない装備ですが、ヘリも200ノット近く出るようになると必須となるでしょう。
 
 私自身、T33で2回もギアのトラブルに見舞われあまりいい思い出はありません。
 
 T33のギアレバーは車のサイドブレーキのような機構で、後席搭乗で計器飛行訓練を終えて着陸前にギアダウンしたところ、レバーがロックしなくなり、おさえていないとギアロックが外れる状態になってしまいました。
 
 前席教官が着陸操作をする間、後ろで私がレバーを押さえて、滑走路で直進した状態で停止し、エンジンを回したままセーフテイピンを差し込んでもらってからエンジンを止め、トーイングで滑走路から出してもらったことがありました。
 
 もう一件は同じT33で滑走路からタクシーウエーに旋回中、3脚のうち 前 左が突然引き込んでへたり込むと言うトラブルで、幸い火は出ず、怪我もありませんでしたが、無理やり救急車に乗せられて医療班に収容されました。
 
 ヘリに話をもどすと、引き込み脚が装備されている332ですが物資輸送中は副操縦士席には誰も乗らないので、緊急ギアダウンのレバーが操作できない構造になっていて、ギアを上げてはならないことになっています。
 
 大きなヘリはダウンウオッシュが強すぎて、周りに強風を与えて被害が出かねないので、スキッドタイプでは5トンか6トン程度が限界で、それ以上のヘリはスキッドではなく、車輪をつけて、広い場所まで転がして行って、そこからホバリングして離陸すること必要です。
 
 そこで車輪タイプのヘリが増え、引き込み脚とする構造も多くなって、普及したものだろうと思います。
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Secre

No title

朝日さんのスーパーピューマが後部脚の風防?を取り外しているのは、なかなか例のない独特なことのように思います。
なにかいわれがあるのでしょうか?

管見でしたら失礼!!

No title

もともと機体を購入したときには増加タンク仕様の大きいカウリングしかなく、物輸をやると重量とダウンウヲッシュのため、300キロ程度の負荷が掛かることがわかりました。そのため長年カウリングをはずして飛んでいましたが、中日本さんが正規のスリムなものをつけて飛んでいたため、追従して購入して装備するようになりました。1セット1000万円ほどしたそうです。

No title

早速のご返事ありがとうございます。
リーディングカンパニーゆえのことなのですね。

しかしメーカーさんも最初から物資輸送用のカウリングも作ってくれればいいように思うのですが。

スーパーピューマはカーゴフックの取り付け機構も「後付け」感を感じてしまいますが、やはりそもそもが北海油田のオフショア用に開発された、ということなのでしょうか。

No title

導入時 伊豆へ持ち込んで木材搬出で1時間20回も飛んで、いきなりトランスミッションの金屑でダウンしたようでした。ユーロにミッションの代替品を要求して事情を言うと、一時間20回もスリングするようには作っていない。5回程度がいいところだと言われたそうです。

No title

ユーロのいう1時間5回でも12分毎ですが、1時間20回というと3分ごとですか?

それは朝日さんの運用が無茶だったように感じてしまいますが。。。

それともブログでもたびたび言及されていますが、それまで使用されていた「頑丈な」ベル機では同様の運用に問題がなかったということなのでしょうか?

No title

特にベル204は相当初期の設計で機体各部分にどの程度の力がかかるか詳しいことがわからなかったのでしょうか、非常に丈夫に作られていました。私の木材搬出の1時間あたりの記録回数は確か55回だったと思います。200メートルほどの距離でしたが、スリング回数が多くなりすぎて、ローターハブなどのオーバーホールの積算時間を巣リング回数30回以上は飛行時間を倍にカウントすると言うような処置が取られました。

No title

ヘリによる物資輸送というのは過酷なミッションであり、それに従事していたヘリパイさんはすごい人たちだったのだなと改めて感じました。
プロフィール

bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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