風とヘリコプターパイロット、、
長くヘリパイをやっていると、風を読むという習性が身について、知らず知らずのうちに風を知る能力や対処法が育まれて来ました。
一般の方はあまり意識しないと思うのですが、4月が意外と一年中でも風の強い月で、ヘリパイロットには油断できない季節です。
関西以西では4月に山火事が一年中で最も多いといわれるのも、人が山に入りだす時期で、冬季を経て山が最も乾燥しているほか、風が強いことも影響しているそうです。
ヘリパイにとって4月ころの陽気がぽかぽかして、穏やかな春などと安心していると、山間部で強風にあおられてひどい目にあうことがあります。
飛行機のパイロットは風が制限事項として骨身にしみるのは着陸時の横風制限くらいで、しかもその情報は必ずといっていいほど管制塔から最新の値が通報されることになっています。
ヘリコプターにとって風の情報が必要なのは離着陸の場合のほか、防災ヘリなら救助のホイスト作業でホバリングする時などでしょう。
送電算パトロールなら離着陸以外に、送電線の間近を飛んでいるときの付近の情報もあればぜひほしいところです。
物資輸送なら離着陸や地上基地での吊り上げの時の情報以外に、荷物を運搬して行って降ろす先の風の情報もほしいところです。
ドクターヘリなら屋上へリポートの風のほか、山間部や狭隘地の現地着陸上の風の情報も出来ればほしいかもしれません。
残念ですがヘリのパイロットにはこのようなぜひともほしいと思うような、生の風の情報はまったく与えられることはありえません。
もちろん風の強さが制限値を超えるかどうかの情報すらありませんので、パイロットは飛行しながら自分で判断して、着陸の可否 ホバリングして荷卸するかどうかの判断、防災ヘリのパイロットは瀕死の要救助者を吊り上げるか、やめて引き返すかのぎりぎりの判断もしなければならないでしょう。
富士山で要救助者を落としたパイロットも、うなる強風の中で判断を迫られたことでしょう。
私は長いフライトの中で、ヘリの機種による対強風性能の個体差、機体重量の程度による影響、横風追い風成分による影響、地形や気圧配置による突風成分による影響、万が一の場合に逃げることが出来るかどうかの地形による判断、任務の緊急性による、重要度必要度、自らの身体精神の対応度(やる気)などあらゆることが、数値の見えない風に対する最終判断の判断基準として頭の中を駆け巡ります。
横風成分が35ノットを超えたので、羽田に引き返しますとは行かないところがヘリパイロットのつらいところでもあり、自らの能力の鍛えどころでもあります。
新人パイロットさんのためにも、少し怪しいところには吹流しでもつけてくれるといいのですが、400箇所離着陸しますではやはり無理でしょうか。
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コメントの投稿
No title
ドクヘリ等の地上支援にあたる立場として、風向と、安い風速計で測った風速のデータだけでもパイロットの方にとっては、かなり助かるのでしょうか?
なかなか、吹き流しまで設置するのは難しいので、発煙筒による煙の発生は比較的できる支援かとは思います。
なかなか、吹き流しまで設置するのは難しいので、発煙筒による煙の発生は比較的できる支援かとは思います。
No title
私は発炎筒が一番良いと思います。遠くから着陸地点、風向風速、乱気流まで一挙にわかります。無線による通報は空港でも難しく、2分間の平均とか突風成分があるときの通報の仕方とか、かなり高度な知識が必要です。なれない方が風向を真逆に通報したり、風向風速に変動があるときなども誤解が危険につながる場合もありえます。吹流しもつける場所によって誤差が大きいのと小さい吹流しは遠くから見えません なんといっても発炎筒の煙のは最高に良いと思います。