急斜面 谷間でホバリング、、、、

狭い谷間や急斜面でのホバリングは物資輸送のヘリや、防災ヘリの山岳救助難度の場面でよくあるシーンです。
ヘリは普通は風に正対してホバリングすると姿勢やホバリングの場所が安定するのと、風にまっすぐに正対すると5メートル程度の風が吹くと必要な馬力は5%くらい少なくなり、重量がいっぱいで最大馬力が必要な場合などは余裕のあるホバリングができることになります。
ところが山岳地帯の急斜面や谷間では斜面に平行に風が吹くことが多く、風に正対すると、機体は斜面と平行に位置することになり、しっぽが斜面に近くなる場合が多くあります。
状況にもよりますが、パイロットはテールローターが斜面に近づく危険性と、横風でホバリングが不安定になったり、より多くのパワーが必要になる危険性のどちらの危険性をより重視するかということが常に起こります。
このような場合にパイロットは一番危険性が高いものをパイロットの正面に持ってくる方向でホバリングするべきであるという大原則があります。
つまり、斜面に直角にホバリングし、ホバリングで移動して釣り上げたり下ろしたりする場合に、正面の目の前のローターが斜面に一番近い方向でホバリングし、間違ってもしっぽが斜面に近い方向でホバリングはしないということが大原則となります。
特にパイロット側のしっぽが斜面に近い方向が最悪で、副操縦士側のしっぽが斜面に近い方向はまだましで、副操縦が窓から乗り出してぶつかりそうか距離を確認できるからです。
直角の方向ならしっぽが山にぶつかる可能性はほぼゼロで、パイロットの目の前のローターが最初にぶつかりますから、至近距離まで近づけることになります。
岐阜防災ヘリも、埼玉防災ヘリも右側方としっぽがぶつかって墜落しています。 富士山で要救助者を落としたヘリも同じようなホバリングをしていたようです。
この程度のことは原則中の原則なのですが誰も教えないというか、わからないというか、どこかで誰かがスマホで撮っている可能性が高く、まったく関係のない老いぼれ元パイロットにも見ることができる便利な世の中になったものです。
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