電線に衝突しなくなったヘリコプター、、、

私がヘリに一人前に本格的に乗り出した1970年から80年代は農薬散布のヘリが250機も全国で飛んでいた時代で、多い年は20機ものヘリが墜落し、そのほぼ6割くらい以上は送電線や配電線に衝突して墜落していました。
農薬散布ヘリだけではなく、テレビ新聞の取材ヘリなども同じような事故を起こすことがあったりして、電線はヘリの天敵と考えられて、多くのヘリには現在でもワーヤーカッターなる、刀のようなもの物騒な装備しているヘリも多くあり、実際にそれで命拾いしたパイロットもいます。
なぜ電線にぶつかるようなヘリが多かったかというと、電線が複雑に張り巡らされている田んぼの上を10メートルくらいの高度で飛び回ったり、電線で囲まれた狭いところへ離着陸を繰り返していたというのが農薬散布の作業飛行の実態だったからです。
また農薬散布以外のヘリが送電線などにぶつかるのは、原発などの設置で非常に高い送電線が山間部にも建設されたうえ、分岐や交差があったりするところで悪天候が重なるなどでぶつかっています。
時代とともにこのような事故が激減したのは、農薬散布ヘリがほとんどなくなったのと、パイロットの知識や運航環境が向上したからでしょう。
ドクターヘリが導入されて、しばらくすると、救助特例の法改正がなされて、パイロットの判断で任意の場所への着陸が認められて、いったんほぼなくなった送電線への衝突事故が起きるのではないかということが言われたのですが、事故は起きていないようです。
アメリカなどでは件数は少ないようですが起きているのはやはり夜間飛行がある事と、ヘリの運航エリアが広くて、パイロットがすべての地域に習熟できないという事情がありそうです。
日本の場合は、ランデブーポイント方式で運航し、安全が確認された場所への離着陸がほとんどで、現場直近の臨時に着陸することはそれほど多くないようです。
またドクターヘリは県単位の運航なので、パイロットが比較的短時間で地域に習熟できる環境にあるほか、ランデブーポイントの現場確認が事前に行われていることが大きいと思います。
また消防の地上支援が十分に行われていて、ヘリが着く前に地上支援要員が到着して現場を確認していることも安全につながっているようです。
このような環境で安全運航が維持されているようですが、夜間運航が始まると一挙に危険性が大きくなりそうですので、課題として大きく立ちはだかりそうです。
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