ヘリパイロットの5感、、、

明石川重H (9)

 飛んでいるヘリコプターに何らかの異常が起きて、パイロットがいち早く正しい処置ができれば命を長らえることができ、異常の発見が遅れて、さらに間違った処置をすれば帰らぬ人となる可能性があります。

 とはいうものの、パイロットはただの人で、神ではないので豊富な知識と経験があったとしても、そう簡単には異常の発見はできないのが普通なので、多くの計器類が様々な情報を指示し、それでもパイロットはそうやすやすと状況がつかめないことが多いので、重要な故障はまず警告灯や注意灯で教えてくれることになっています。

 ただし注意灯は数多いので、どこかで何かが起きたという指示灯、マスターコーションの注意灯が装備されている場合が多いようです。

 マスターコーションはおおきな注意灯でパイロットの正面にあるので着いたらいち早くわかり、ヤワラ何かなと計器盤を見渡して何が起きているかを探すということになります。

 すぐに不時着しなければならないようなものなら、マスターコーションを消して異常のある部分の注意灯も消してということになります。

 いきなり墜落するような故障なら、警告灯のほかに警報音が鳴ることになっていますので、直ちに処置が必要なのですが、車輪が降りていないよと警報音が鳴っているのにうるさいなとわざわざ警報音を消すパイロットもいたそうですから、思い込んだらパイロットは何をしでかすかわかったものではありません。

 特にヘリパイロットには計器類や注意灯以外に体感や音、そして匂いなども重要な情報源で音はローターの回転数、エンジン音は爆発音以外はよほどでないとわからないようです。

 匂いはオイルの焼ける匂いや電気配線が焼ける匂いが重要ですがどちらも体験しています。

 体感で重要なのは振動なのですが、よほど大きい振動でないと判断できないことが普通で、明らかにわかるものだと5分後に墜落となりかねません。

 ドクターヘリに患者を収容して離陸し、スピードを上げるとかなりの振動を体感し、不時着しようと減速すると収まるという経験があり、念のため5分以内に着陸し、点検、検討したことがありました。

 隣に座った整備士のシートベルトの端末がドアに挟まれて、5センチほど外に出ていて、速度を上げると胴体の外板を叩いていたのではないかと判断したのですが、本当の故障なら墜落していた可能性があります。

 多くの計器類のうち、一部は正常範囲にグリーンマークがあって正常値がわかるのですが、他の計器類やスイッチの位置の正常位置を覚えておくことが重要です。

 パイロット自身の5感や感覚、経験、知識が最終的に命を守るか死ぬかの分かれ目となることがあるので、日ごろから漫然と飛ばないことが重要となります。

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bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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