ヘリコプター最大重量で飛ぶと、、、、

航空機のフライトマニュアルには様々な制限事項が記されていて、パイロットはその制限事項を逐一正確に守らないと最悪の場合は墜落したりします。
というのは少し大げさで、すべての規制値には程度の差がありますがある程度の余裕を見てあるので、間違って超過する場合もあり、すぐに墜落することはありませんが、どの程度の余裕があるかは機種や制限事項の内容によってまちまちなので、うっかり超過することは現に慎む必要があります。
今日はその制限事項のうち最大重量について書いてみます。
航空機の最大制限重量はヘリと飛行機ではその考え方が違っていて、飛行機の場合は足の強度や重量超過で離着陸の滑走距離が伸びて、短い滑走路では飛べなくなるほか、飛行中のGや乱気流によるよ機体各部の構造の強度が関係してきます。
ヘリの場合は機体強度のほか、重量によってホバリングができるかできないかが強く影響し、ホバリングが出来なければ普通離陸や着陸が出来ないことになります。
十分にホバリングができないほどの重量超過でも、飛行機のように滑走して離着陸すれば可能ですが、普通のヘリポートには離着陸できないことになり、その状態で狭い場所に着陸しようとすれば秦野の事故のようなことが起こりやすくなります。
もう一つの条件は滑走して離着陸するのと同じような条件は風が正面から吹いてくれることで、この条件をうまく使えば滑走離陸と同じようなことになります。
ただし離着陸中に風が止まれば墜落します。
このようなことは最大重量での運航の経験がかなりないと、どの程度の重量で空気密度がどの程度なら、あるいは風がどの程度ならどうなるかを判断することができませんので、アルプスへ救助に飛んだ岐阜防災ヘリが墜落したのは知識経験の欠如で、落ちて当然ということになります。
しかし最大重量での運航は危険が伴うのであまりお勧めできませんが、物資輸送を10年もやっていると、燃料給油直前の一番ヘリが軽い状態の時に、ギリギリに重い鉄塔材を運ぶこともできるようになります。
さてここで機種が違えばどうなるかということも、経験として知っておくことが安全な運航には大切なことになります。
長くベル206Bで飛んでいた経験で、最大重量付近ではホバリングはギリギリできる程度であるというこのが常識だったのですが、AS350の訓練中、教官生徒ともマニュアルをよく知らないまま、6人掛けで毎日のように離陸して竜ケ崎へ訓練に向かっていました。
試験前に重量重心を計算してみたら、30キロほど最大重量を超過して飛んでいたのですが、パワーもそれほど最大に使わずに離着陸できましたので、みなそろってびっくりしました。
つまりベル社とユーロ社ではマニュアルの設定の仕方が違っていて、ベル社のマニュアルは誇大広告、ユーロははるかに余裕の取った重量設定としてあったのでした。
おおむねマニュアルは誇大広告の傾向が多く、最大重量は多めに設定してあることが多く、その設定の妥当性は飛んでも見て確認する必要がありますが、飛行目的などによっては、パイロットは自分の乗る機種の限界性能を知ることなく飛んでいる可能性があります。
秦野の墜落事故はこのようなことも影響しているような気がします。
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