ヘリパイロットと雲中飛行、バーティゴ、、、、

群馬防災ヘリの事故調査報告でバーティゴと言う言葉が使われて、さもそれが事故の主原因であるような結論めいたことを発表しましたが、私は戦闘機などのパイロットが突然入るバーティゴとはかなり様子が違うような気がします。
様子が違えば原因も違いもちろん対策も違ってきて当然で、戦闘機の場合のバーティゴの事故に関してパイロットの計器飛行能力を向上しろとか、雲に入るななどというような対策を取り上げた例はほぼないでしょう。
戦闘機の場合のバーティゴの時は、自分の体感と否定して、計器指示に従うという自己否定ができるかどうかの戦いに負けたら死ぬという究極の場面ですが、ヘリが霧や雲に入って山にぶつかるというようなものはごく初歩的なもので、ヘリをコントロールできなくて、視界を失うと言うそもそもの操縦上の基本の失敗と言えます。
もちろん速度や姿勢を維持して、最小限の視界を維持し、地表面を見失うことなくどこまで危険を冒すかは、任務の重要性と自分のリスクマネジメントをまともにできれば無鉄砲に雲の中に入ることはないでしょう。
もちろん救助実任務など任務の重要性から通常以上の危険を冒す場合もないとは言えませんが、それだからと言ってリスクマネジメントをすべて犠牲にすることはあり得ませんし、リスクを最大限侵すときほど、回避方法は確実であるべきでしょう。
自らの経験でいきなり視界を失うような危険なフライトが未経験だったのならより慎重であるべきですし、そのような経験が多くあるなら当然確実な回避離脱方法の腹案をもって臨むべきでしょう。
戦闘機のバーティゴは自分で回避方法の腹案をもって臨むようなものではなく、突然いきなり襲ってきます。
このよう事故の多発を受けて、航空局の対策はヘリパイロットに計器飛行能力を着けて、最悪の状態から回避するの飛行能力を着けるという一見もっともな方法を取りましたが、結果は惨憺たるもので、事故の連鎖は止まらず現在に至っています。
それはなぜかというと、山岳地帯の低空でいったん雲の中へ入ったら命はないというような厳しい状況では生半可な計器飛行などくその役にも立たないという証明をしているのでしょう。
そのような中で、ヘリパイロットがいかに雲や霧と付き合いながら、命をとられることなく飛び続けるということは永遠の課題で、遊覧飛行もどきの調査飛行で雲に巻かれて墜落するようでは人命救助など夢のまた夢でしょう。
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群馬県防災ヘリ事故調査報告書 発表、、、

https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20200227-00000040-jnn-soci
おととし8月 群馬長野県境の山岳部で弦間健の防災ヘリが墜落し、乗っていた9名全員死亡した事故の航空事故調査報告書が昨日発表されたというニュースが入っています。
事故の原因は天候不良で視界不良となり、姿勢がわからなくなるいわゆる、バーティゴになって山に激突したことのようです。
再発防止策としては天候不良の時は早めに引き返すということを求めているようです。
これの報告を受けて、群馬県はダブルパイロット性を導入して安全性を向上し、令和3年度中の運航再開に向けて準備をしているということだそうです。
報告書が求める再発防止策の悪天候時は早めに引き返すという件と、県が準備中のダブルパイロット制がこのような種類の事故に有効かどうかは大変むつかしい所で、同じような事故が13件も起きているということが再発防止のむつかしさを物語っています。
事故調査の求める再発防止策の天候が悪いときは早めに引き返すというは有効でしょうか?
ヘリパイロットには初心者から1万時間飛行経験以上のべテラン、経験や技量に大きな差があり、通常考えられることは天候が悪いときは早めに引き返すのだぞとアドバイスするのは飛行課長や運航部長が独り立ちしたばかりのごく初心者に言う言葉です。
もちろんベテランにも有効な内容ですが、防災ヘリやドクターヘリなど人命にかかわる緊急のフライトに従事するベテランは飛行区域の状況や局地的な天候を知り尽くしていて、他の新米がとても飛べないような状況でも、自己の経験と技量をいかんなく発揮して、救助を成し遂げるようなレベルにあるべきでしょう。
遊覧飛行のような、新設された、山岳遊歩道の状況確認程度のために飛ぶ、防災ヘリのパイロットに、天候が悪かったら早めに引き返すようになどとアドバイスしなければならないようなことはあり得ないでしょう。
県が目論むダブルパイロット制は搭乗する2名のパイロットの経験技量が適切であればそれなりの効果がありますが、そのような絵にかいたようなレベルのパイロットは日本国中探してもほぼいないでしょう。
養成するには10年単位の年月が必要で、令和3年中にはとても間に合いそうにありませんが、安全管理者に陸上自衛隊のOBを雇用する条件に必要なパイロットを連れてくるという話が出来ているなら大変結構なことですが、陸自とて使いごろの優秀な人材は出したくはないでしょう。
この事故や同じような過去13件の事故でもパイロットの計器飛行能力向上、ダブルパイロット、天候情報や引き返す判断など、まったくあさってのことばかりが取り上げられていて、一番肝心なことが抜けています。
有視界飛行では空域によって雲からの距離や高度離隔が明確に決められていて、雲の中に入ることは違法となっていますが航空法を守れと言うことを強く提言した事故報告はあまり聞いたことがありません。
人命救助でほかに手段がなくて、パイロット自身が法を犯して任務を遂行するという強い意志と技量がある場合に止めることは出来ないかもしれませんし、他人が強要することは出来ないでしょう。
へりを取り巻く法制度はめちゃくちゃいい加減なので法を犯すことに慣れっこになってしまっている傾向があり、このような点から相当な改革が必要かもしれません。
阪神大震災の折、民間チャーター1号機として、大阪空港長が夜間に西宮グランドへ食料を空輸しろと高飛車な態度で命令しました。
ちょっと待ってくださいよ。現場は停電しているだろうし、都会のグランドなら周りに電線があるでしょうし、地図も見取り図もなく飛べと言うのですか、、、、、
このような認識がヘリパイロットは何をしてもよい、法律は守らなくてもよいという間違った認識を皆が持っているということでしょう。
今回の事故の原因は明確な航空法違反です。それを指摘しない航空事故調査なんてあるのでしょうか。
米軍CH53 吊り荷を切り離す、、、、

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200226-00010000-qab-oki
ニュースによると沖縄で米軍のCH53ガ吊り荷を海上で切り離して落下させたそうです。
16日には札幌市消防のAW139がホイスト訓練中隊員が錘4.5キロを落としていますので、航空機からの落下物の中でもヘリは多いようです。
飛行機から物を落とす事例は、着陸進入中や離陸直後が多いので、人の頭の上を飛んでいる可能性がかなりあり、危険性は否定できません。
これに比較してヘリが重量物を落とす事例は、吊り下げ荷物などですが,吊った状態での人家や人の上の非行は通常認められていませんし、軍の場合でも同じでしょうから、落下物が人や人家に当たる可能性はほとんどゼロということになります。
ヘリで人や物を吊る、ホイストやスリングは非常の場合には切り離せるようになっていて、最終的に切り離してヘリの安全を確保することになっています。
どのような場合に切り離すかというと、吊り荷やホイストの先が木や岩に挟まって取れなくなった場合や、吊り下げたものが風に煽られて暴れて、揺れ幅が制御できなくなってローターやテールローターにぶつかりそうになった場合などがあります。
私が危機一髪で墜落を免れた例は重量いっぱいの鉄塔部材を運んで行って、荷下ろしの時に強い横風に遭遇し、100%パワーで降下が止まらず、ローターが立ち木を叩く寸前に、誘導の整備士が切り離しをしてくれて難を逃れたことがありました。
今回の米軍の例は吊り荷が暴れて制御できなくなったというようなニュアンスですが、吊り荷の形状と速度の関係などで暴れだしたら速度を落としても止まらなくなることがあります。
暴れた荷物がテールやローターに当たったり巻き込んだら、ヘリも荷物も失いますから、荷物だけ切り離すのは最悪の事態を防ぐ最後の手段です。
ただし、荷物の振れに合わせて左右に移動したり、バンク角をタイミングをっとってかえたり、揺れ幅の位置に合わせてタイミングを取って少し急に降下したり上昇したりする、揺れを止めるテクニックがありますし、揺れ始める寸前の最大速度を揺れる前に察知し、その速度を絶対に超過しないなど、結構多くのテクニックがあります。
荷物の形状や重量によっては速度ゼロのホバリングでも大きく揺れるものもありその典型的な例は、作業員が休憩に使う、スーパーハウスで、20メートルで釣っていても、飛行中真横に見えるほど揺れたり、定位置に置くにはゆっくりと立木の先端に触れて揺れを止めて設置するテクニックが必要でした。
今回は鉄製の物で、普通重量物は揺れにくいのですが、ワイヤーのかけ方の不備で揺れたか、途中で何本あのうちの一本が外れてバランスが崩れたのかしたのでしょうか。
ヘリのしっぽには上からはローターが当たり、下からは吊り荷が当たる可能性があり、危険がいっぱいなのでパイロットはずいぶんと気を使って飛んでいます。
福島県警事故 、ローターがドライブシャフトに衝突、、、

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200225-00000107-jij-soci
25日安全運輸委員会は福島県警が墜落した事故がメインローターがテールロータードライブシャフトを叩いて脱落したことが原因と考えられると公表したそうです。
このことは墜落した機体を見たら、その日でもわかる明らかな事実で、今頃公表することはすでに遅すぎていて、調査能力が疑わしいとプロは疑いかねません。
問題はその他の公表内容で、ニュースで伝えているのをまた聞きなのでフェイクニュースの可能性があるのですが、突風でローターがドライブシャフトに当たる可能性があり、過去にそのような事故があったと言ったことです。
突風でそのようなことが起こるヘリは型式証明が与えられず、飛ぶことを許されないでしょう。
そのようなヘリはとても怖くて乗っていられませんし、万一突風時にローターがドライブシャフトを叩きやすいヘリがあったとしたら、通常手順や緊急手順を網羅したフライトマニュアルにそのことを書き、強風時や乱気流時の制限事項や回避方法を記すべきでしょうけれどもそのようなことは書けないでしょう。
車でいえばでこぼこ道を走ったらタイヤが外れる可能性があるから、でこぼこ道は30キロ以下で走りなさいと書く必要があります。そんな車はだれも乗らないでしょう
ローターの軌跡は一番下がった場合でもドライブシャフトから30センチとか離れているのですが、これに異常なしなりが加わると当たるので、どの機種でもその可能性があり、異常なしなりはやはり急激な後方への操舵が原因であることはほぼ間違いないでしょう。
高速で乱気流に突っ込んで、大きく落とされてマイナスGがかかった時、慌てて沈みを止めるのと速度を落とすため、後方への過激な操舵を使って限界値までローターの軌跡を変えたときに、ちょうどヘリの姿勢が頭下がり、しっぽ上がりでローターとテールがお互いにぶつかる方向へ動いていれば当たる可能性があります。
つまり乱気流に対応する操舵が過大でしかも急激であったためぶつかったとしか考えられず、後方への舵が1秒でも遅ければぶつからなかったでしょう。
機体やローターが乱気流で暴れ始めたときに急激な舵は禁物で、しかも限界まで使うと非常に危険だと言えるでしょう。
少なくとも乱気流だけでローターとテールが衝突するようなヘリがもしあれば、BK117のように当たりやすいから気を付けようというな裏情報は多くのパイロットに伝わっていて普通以上に気を付けるもので、少なくとも一撃でドライブシャフトがぶっ飛ぶような操作はしないでしょう。
ドライブシャフトカバーとローター下面に傷がつく程度で済ませるのがパイロットというもので、それでなければ明確な対応策が出るまでは、同型機全機飛行停止に値する欠陥ということになります。
ドクターヘリの機長はパイロットか?フライトドクターか?

ドクターヘリが重症の救急患者さんの元へ飛んで、救命処置を施して最適の病院へ収容する任務において、いったい誰が責任者なのかという少し微妙なお話が今日のテーマです。
そんなもの飛んでるときはパイロットが機長で、医療行為はフライトドクターだから簡単なことだとはいかない微妙な領域の割り振りがあります。
海上自衛隊の対潜哨戒機にはタコと呼ばれる戦術航空士というパイロットでない職種の者が機長になってパイロットをも指揮するということがあるそうです。
ドクターヘリの運航はしがない中小企業のヘリ運航会社が県や病院と契約して、そしてパイロットは1000時間程度の経験の駆け出しパイロットが飛ばしていますので、雇うほうと雇われ会社さらに弱小会社に雇われれた新米パイロットの間には決定的な地位の差というものが存在します。
しかし建前上、口では運航の責任は運航会社ですのでいったん飛んだらパイロットにすべての責任と、安全、運航に関する選択権がありますということになっていますが、実はそうではないのが実情と言えるでしょう。
ドクターヘリを積極的に取り組んでいた、運航会社、ある病院では病院側の意向で何回も機種を変更させられたり、いろいろな面での指導を受けて従順に従っている様子を聞くにつけ、苦々しい思いをしたものでした。
導入の段階で間違った体制を入れてしまうと、あとに続く多くの運航場面がその影響を受け、その一番の例が、離着陸での垂直上昇、急角度進入です。
結果的に秦野で墜落しましたが一向にパイロットが安全な離着陸方式を取れないことが続いています。
私がドクターヘリに乗り出して相当長い間、先行会社が間違ったことを受け入れてしまった影響でずいぶんと消防や医療側から離着陸方法や飛行方法についての矯正を強要されたものです。
つまりパイロットが機長ではなく、医療関係者や消防関係者、県などが飛行方法に口出しし、あからさまに抗議してきたり、指示が飛んだものです。
この川重ヘリポートは私が昭和48年から20年以上、2000回くらいは送電線パトロールでお世話になった場所なのですがドクターヘリで着陸した時に、消防の誘導にしたがわないなどとと病院に強い抗議が入ったことがありました。
運航会社もパイロットも低く見られて信用されていないということになります。
ヘリコプターの重心位置、、、

YS11が国産初の旅客機として飛んでいましたが、航空機の出来具合としての評価は意見が分かれるところで、結果的には採算ラインまで売れなかったように思います。
確か着陸後お客さんが降りる場合に後ろの客から降りるように指示されたのは、地上での重心位置が外れて、飛行機がしりもちをつく可能性があるということだったと思います。
ヘリコプターの場合は重心位置の許容範囲が狭く、外れると操縦かんが作動範囲いっぱいまで使っても姿勢を制御できなくなる可能性があり、実際に事故になったりあわやということもかなりの頻度であったようです。
私がインドネシアで丸太を組んだジャンプ台で着陸中に共振を起こして横転した事故は、重心位置が後方へ許容を外れていたことも影響したと思います。
なぜ外れた状態で飛んだかというと、206Bでパイロット一人だけ乗って、石油探査のジャングルへ資材や食料などを運んでいたとき、食料を50キロほど後方のバッゲージに入れられて、重心が外れるとは思ったのですが、続けてドラム管2本350キロ程度をスリングするので、離陸の時テールがつかなければ、吊り下げたら十分重心は中央へ来るからいけると思ったためです。
エンジンを回したまま、離着陸やスリングを繰り返して、なん十か所へ次々ピストン輸送するので、危険だと思えば降りて行って積みなおせとインドネシア語で指示すればよかったのですが、あとの祭りでした。
釣ったドラム缶を切り離した後、後方重心いっぱいか少し外れた状態で食料を下すジャンプ台は不運にも背風が強く後方重心ではさらに不利でした。
結局は柔い丸太の上に後方重心いっぱいで、スキッドの後方だけに力がかかる不安定な着陸で、共振に入ってはじかれて、ジャンプ台から落ちて地面に横転してしまいました。
その他後輩が起こした事故では農薬散布中に片方からだけ薬が出ていたため、横方向の重心が外れ、着陸のために速度を落としたら操縦かんがいっぱいになって横転しています。
写真の204Bなどベル系のヘリはパイロットだけが乗ってキャビンがカラだと後ろいっぱいになり、作業員をキャビンに満席にすると前方いっぱいになり、往復飛行で限界の重心で操縦かんの位置が大きく変わります。
調整のため機体のノーズに何十キロの鉛を無線機の付近に取り付けてあったりします。
先日の福島県警ヘリ事故の場合、ドライブシャフトの後方部分、半分が脱落したので50キロ程度失ったと思いますがモーメントが大変長いので重心位置が前方許容を外れたのではないかと思います。
三菱MH2000が四日市付近でテール部分が強度不足で脱落した事故は、パイロットがうまくオートローテーションに入れたとしても、重心位置が大きく外れてほぼ操縦不能になって墜落したと思われます。
330の延線作業時、後方限度いっぱいに近い重心での強風横風ホバリングでは、強いドリフトを修正するために、操縦かんとラダー両方が操作限界に当たったことがあり、まさかと思ったことがありますが、正対風方向へ頭を振ってやるとストとロークに余裕が出た経験があります。
飛行機の場合。操縦かんを限界まで使うことは大変まれで、ヘリならでの操縦かんをいっぱいまで使う操縦には度肝を抜かれました。
ヘリパイの仕事 2種類、、、

数多くあるヘリコプターパイロットの仕事は大きく分けて2種類あり、個人の性格でどちらがより好むかということに分かれます。
一日中待機していて何かあれば飛ぶという種類の仕事は今流行りのドクターヘリや防災ヘリ、そしてテレビニュースの取材の仕事がこれに当たります。
もう一つは一定の割り当てられたフライトが終わればおしまいという種類で、これには物資輸送で今日は生コン100立米200トンを運んだらおしまい、水田200HAに農薬を撒いたらおしまいというような仕事です。
さらには自分はあまりしなかった管理業務があり、これは人を使う仕事ですで偉い人ということになりますが、内容は人のために苦心惨憺という仕事でパイロットはほぼ皆好まない仕事ですが、中には出世志向の人間もいることにいはいるようです。
自分自身は待機の仕事は嫌いでなるべく逃げていましたが、年を取ると体力や飛行時間分散の関係でどうしても待機する仕事をせざるを得なくなり50歳からはほとんど待機の仕事になり、最終的にはドクターヘリで5年飛んでパイロット人生を終わりました。
おおむね待機する仕事は飛行時間が伸びない、退屈な仕事で月に10時間も飛べば多い方で、ドクターヘリにしてもその程度が多かったようで、年を取ると事務所で居眠りしていたら一日が無事終わるような感じで若者がやるような仕事ではないと思っていました。
ところが今の時代は一日中飛んだり、生コンを一日200トンも運ぶような仕事はほとんどなくなってしまったのが、若年パイロットにとっては大変不幸なことです。
農薬散布にしても物資輸送にしても一日分として割り当てられる仕事量が決まりますので、それをどのようにこなすかで、精進すれば技量が目に見えてどんどん上がってきますが、待機の仕事で相当多く飛ぶ機会があったとしても、技量が上がったり、経験が身につくようなレベルまで飛べそうもないというのが実感です。
待機の仕事で唯一魅力があるのは、報道やドクターヘリなどで、大事件大災害などにぶつかると、パイロットは生き返ったように目が輝き、仕事の充実感を味わえるのですが、そうそうそのような事態に出くわすことが少なく、普通は結構退屈な時間を過ごすことになってしまいます。
その点 自衛隊や防災、警察消防などのヘリパイロットは計画された訓練やパトロールなどを淡々とこなしていくようなパイロット生活なので実は結構恵まれていると言えるでしょう。
定期便のパイロットは多くのパイロットがほとんど同じようなパターンで勤務していると思いますが、ヘリパイロットは自分に割り当てられた仕事の内容で大きな違いがあり、長年同じことをやっていると、定年になるころには全く違ったタイプのパイロットになってしまうようです。
公的ヘリの再編成と将来展望、、、、

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200121-00000002-ibaraki-l08
茨城県のドクターヘリに出動要請が重なって対応できない場合に防災ヘリが飛ぶという体制を作って、半年の間に27件、週に一回程度も出動したというニュースが入っています。
山岳地帯の防災ヘリの墜落事故が続いたり、警察ヘリが防災ヘリの代わりに飛んで墜落したり、ドクターヘリの出動が忙しすぎて運航会社が根を上げたり、パイロット不足が深刻になってきたとか、いろいろと改善すべき問題点が明らかになってきているようです。
このような様々な問題点は可及的速やかに改善し、同じ税金を使うなら効果的にかつ航空なので安全という面でも大いに改善が必要でしょう。
ところが日本という国は憲法でもわかるように、いったん決めたら何が何でも、どんな不具合が出ようと命がけで守ろうとする変なところがあります。
防災ヘリの飛ぶ仕事が全くなくて、訓練で墜落したり、ドクターヘリの代わりに飛んでるなら、防災ヘリは2県に1機にするとか、3県に1機にしてその分ドクターヘリを増やせばよさそうなものです。
ドクターヘリにしても公明党のお手柄で各県1機体制がそろそろ行き渡ったのに、1000件飛ぶ県や200件以下の県があったり、すぐ近くの隣の県へ飛ぶことが問題になったりしていますが、各県に行き渡った今、次は全国のドクターヘリでのカバー時間を15分にする成り、1機当たりの出動を1000回程度以下にするなりして再編成を目指すべきでしょう。
さらには公的ヘリのパイロットの継続的な充足が壁に当たりそうになっているのに、全体で採用、訓練、、、練成、、転勤、昇格などを総合的にやろうなどという省庁横断的な頭はなさそうです。
昨日の記事ではありませんがこのような総合的な大改革は何をおいても新しい法制度の構築なので、国会、議員の仕事ですがあほな議員ばかりで全く改革ということをする様子がありません。
公的ヘリは防衛庁3自衛隊、総務省、防災ヘリ消防ヘリ、警察庁県警、ドクターヘリ厚生省、国土交通省地方整備局、NHK、などなどめったやたらに飛ばしていて、その統一性のなさ、非効率は目も当てられません。
少なくとも消防ヘリと、防災ヘリとドクターヘリはすぐにでも統合し、県単位は辞めて効率化するべきでしょう。
法律にないから出来ません、、、法律を作るのが仕事だろ、、、、
検討 夜間着陸可能か??

将来的にドクターヘリを24時間運航にして、重症の救急患者が多い夜間の需要に答えるためには現在昼間においてランデブーポイントに使用している県あたり数百か所程度から相当絞り込んで、夜間照明設備を整備する必要があるでしょう。
その数は最小市町村単位で少なくとも一か所、できれば市町村の人口分布と面積によっては数か所以上設置する必要がありそうです。
使用できるランデブーポイントの数が増えるほど救急患者さんの救命される可能性が高くなりますが、夜間照明設備などの設置費用と管理運用上の問題でそう多く設置できないでしょう。
そうなると各地の消防単位に移動可能な簡易照明ということになり、4月から売り出す、日清医療食品の140万円のものがよさそうですが、そのような簡易式のものを臨時に設置して安全に夜間着陸できる場所はそう多くはなさそうです。
写真のランデブーポイントは和歌山から30分100キロも離れた地域の非常に広い条件の良いヘリポートのものです。
ここに簡易式の夜間照明を設置して離着陸できるかというと、意見が分かれるところでしょう。
なぜならここは着陸帯の近くに電線や立木、障害物になりそうなポールがあって、海側からしか進入離陸できそうもなく、逆方向から入って離陸する場合に障害物が見えるかどうかかなり疑問だからです。
パイロットがこの地形や障害物の位置を知っていれば、見えない又はかすかに見える夜間に離着陸することはほぼ可能ですが、しかし必ず覚えているとは限らないということがあります。
ということで夜間の場合、飛行場のように一直線に両方向から離着陸できる地形を条件とするか、この場所のようなところでも離着陸するかは意見の分かれるところでしょう。
今のヘリポートの基準で昼間は一直線ではなくても90度以内なら離陸と着陸の方向が変わっても認可されますが、夜間にこのようなヘリポートがよいかどうかは真剣に検討したことはなさそうです。
かすかな町明かりや月や星の明りで見えるからよいという意見もあるでしょうけれども、昼夜間問わず天候がいつも晴れているとは限りませんので、悪天候も想定すべきですし、雨や雪が降っている中での着陸もありうるでしょう。
140万円の簡易移動可能式の照明がどの程度の照度があってどのような基準に基づいて許可されているかよくわかりませんが、ヘリポートや臨時着陸許可基準と照明の関連は相当程度見直さないとリスクは高いでしょう。
さらに救助特例の無制限条件下の障害物がどこにあるかわからない、狭い場合の着陸地と照明の基準は過去の制度にはない条件なのでこれはどう取り扱うかコンセンサスが必要となります。
このような検討課題がある中、推進派、特にD-CALL-NET推進にあっては、障害物があったらホイストで医者が降下しろとトンデモ意見をのたまっています。
正気か?と問いたいところですが、過去にこのような検討や意見交換がなされた形跡はなく、140万円の夜間照明と30万円の暗視ゴーグルで強硬突破される恐れがあります。
ヘリコプター夜間飛行 法制度は変えなくてよいのか??

写真はエアロファシリティー社のホームページからお借りしました。
昨日ある国会議員のTwitterで野党に国会議員の仕事は何かと問うたら、安倍内閣のスキャンダルを追求することだと、答えたそうですから、ほとんど頭がおかしいというよりほかなさそうです。
内閣その他行政は現在ある法律や法に元ずく施行規則、省令などに従って数ある問題を解決していって国家国民の繁栄発展を図るものだと思いますが、そうでない野議員は全員すぐに辞職してもらわないといけないようです。
現在ある法律では新しい事態に対応できなくなりそうであるとか、すでに対応できない事態になったら緊急に新しい法律を作ったり、改正するなりして、速やかに対処可能にするというのが国会、国会議員の仕事なのですが理解できていないようです。
この点でいうと昨日のヘリの夜間照明の機器類の新規の販売などは旧態依然とした大昔の航空法に元づいて、法規定類の最小限のものを140万円で売るという話なのですが、それが果たしてドクターヘリの夜間の安全な離着陸を保証できるのかという検討をだれもしていないということが問題でしょう。
ヘリポートの夜間照明の諸元を決めた当時は、もちろんヘリポートが対象でしょうから、臨時に許可を取る場外離着陸場にはマルにHのマーキングすら必要ではなかったので、どこが着陸帯かすら不明で、照明を設置してもどこからどこまでが着陸帯かわかりません。
しかし、着陸に必要なスペースや空域は審査によって確保されてはいますが、救助事例の申請許可が不要となってからは、スペースも空域も保証はなく、そのようなところへ最小限の照明を設置することではとても安全に着陸することは不可能でしょう。
つまり、まったくいい加減な法改正によって、救助ヘリはどこへでも着陸できるようにしたのですが、夜間にかかわる照明や空域の確保などには知らん顔のでたらめ改正でした。
ここへもってきて140万円の照明設備を手に入れた、ドクターヘリは真夜中にでもどこへでも着陸できますはないでしょう。
当時、救助事例の法改正をした国会議員どもは今の野党と同じで、法改正やそれに基づく施行規則や省令はどうあるべきかなど全く思いもよらず、今の野党と同じ頭の不自由な人々のようです。
つまり法で決まっていないから30万円の暗視ゴーグルと140万円の照明で特攻隊になれと言っていますので、それはだめですよと常識人がヘリ業界にはいないようです。
航空法 守るあなたが守られるらしいのですが、このように国会議員がバカなら国は滅びるのみでしょうか。
中国人の入国が危険なのに適用すべき法律がないならすぐに臨時立法しろよ、桜桜と浮かれてないで、、、、