速度をコントロールできるかヘリパイロット、、、

朝日時代 (80)

 昨日のヘリパイロットが高度判定ができるかという記事は進入時の降下角度、つまり正確なパス角を設定して維持できるかという話でした。

 障害物からの離隔や騒音被害の低減のために高ければ安全でかつ周りの民家の方たちにとって良いということで済むならいいのですが、最終的にホバリングに入る場所での高度が高く、かつ降下角度が急になったら下手をすれば墜落するという物騒な話でした。

 今日は進入からホバリングへ移行するときの速度コントロールがまずいとこれも同じように最悪、墜落するという話です。

 旅客機や戦闘機などのジェット機はおおむね230ノットから150ノット程度で進入し、接地の時にはその速度より2,30ノット減速して着陸します。

 パス角はILSで正確に維持でき、速度は対気速度計で正確に指示が出ますし、滑走路に入ると電波高度計が正確に教えてくれます。

 ヘリ場合は着陸ホバリングが対地速度ゼロ、つまり追い風や横風の場合には対気速度がマイナスになる可能性があります。

 電波高度計を装備しているヘリ場合でも、着陸帯がほぼ水平な場合が普通で、進入中の対地高度は地形の影響を受けますのでパス角の参考にはなりえないことになります。

 つまり飛行機なら速度も高度もパス角もほぼ正確に計器で示しますが、ヘリの場合は着陸時の一番大事な速度が30ノット以下ではほとんど示さないのと、高度の判定、パス角の判定も目視や体感に頼るしかなく、新米パイロットが苦労するところです。

 しかも、それほど正確につかまなくても、普通の着陸程度ならよほど失敗をしない限り、いい加減な速度いい加減なパス角、いい加減な進入コースでも着陸できるという安易な認識があるようです。

 しかしこれが原因で着陸時に墜落しそうになったことのないパイロットはほぼいないと言えますし、現実に墜落したパイロットもかなりいることでしょう。

 着陸時の速度コントロールが何故重要かというと、速度コントロール=パワーコントロールというように、ヘリは10ノット付近で必要馬力が大きく変化する点があり、この10ノットというのは対気速度なのですが、追い風10ノットなら田七速度体感速度は20ノットですし、向かい風10ノットなら必要パワーの急激な変化をする点はホバリングまでないということになります。

 ですからヘリパイロットが計器で示さない対気速度を正確に認識するということは、急激な変化に伴うパワーコントロールを適切にできるということになります。

 それができないパイロットはどうなるかというと、正確なパス角を維持できないということで、新米が訓練を終えて仕事の現場に入ると、どうなるかというと、低いほうへ失敗すると障害物に当たりそうで危険だということを認識して、いつもいつも、高くなりがちで、しかも修正が遅れてパワーが遅れて落とされるという現象がありがちです。

 普通の離着陸ならそれほど困難さはないのですが、自分の速度コントロール、パス角コントロール、パワーコントロールの下手さ加減、いい加減さ加減を思い知るのは物資輸送の訓練に入った場合です。

 いかに下手で正確性に欠くかは、自分が釣った荷物がいつもあさって方へ飛んでいくのを目の当たりにした場合で、実は荷物が明後日へ飛んでいくのではなく、荷物は慣性惰性でまっすぐに飛んでいて、自分がヘリをうまくコントロールできなくて、ヘリのほうがあさってのほうへずれるということに気が付くのに相当時間がかかります。

 幸運にも物を長く吊り下げて飛ぶ機会を得たパイロットは普通そのようなことに気が付きますが、一生物資輸送をする機会がないパイロットは全く物差しのない空中で自分の操縦でヘリがずれるということを認識できない場合も多いようです。

 ヘリは多少ぶれても自在に修正が効くので、ずれることの重要さを認識できず、一生まっすぐに飛べないパイロットは数多くいます。
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bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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