ヘリコプターの難敵  「風」、、、

和歌山ドクターヘリ (343)

 冬の天候で雪は積雪も降雪もヘリにとっては難敵でちょっとしたことで事故につながりますが同じように風も難敵といえるでしょう。

 昨日確か福島から札幌へ向かった定期便が着陸できなくて目的地を変更したというニュースがありましたが、ヘリコプターは固定翼機より風には弱いといえるでしょう。

 風が平均秒速10メートル程度を超えると息を突き出し、5メートルから15メートル程度に変化することが普通です。

 固定翼機が100ノットで着陸進入中に5メートルの風が急に15メートルになるときまっすぐ正対風なら、対気速度がいきなり20ノット増えることになり、パワーを絞らないと急上昇します。

 15メートルが5メートルになると20ノット急減速することになって失速速度に近づいて急沈下することになり相当なパワー増加が必要となります。

 ということで定期便が飛行中に風が強いと急に落とされたり持ち上げられたりして揺れるという現象となります。

 着陸中に設置寸前に風が急に強くなって持ち上げられるのは接地点が伸びて、止まりにくくなるだけなのでよいのですが逆の場合は落とされて滑走路にたたきつけられることになり飛行機が壊れる可能性があります。

 これに横風成分が絡むとさらに着陸がむつかしくなります。

 風の平均風速10メートル毎秒程度の場合に、 風速が5メートる程度から15メートル程度の間を程度の変化する現象がなぜ起こるかというと、風が地面に沿って流れる場合に地形の変化に沿って流れるために、障害となる突起物のを超えるときに渦ができ、渦の回転成分がプラスマイナスされて、風の息となるためで、風が強いほど、障害物が高いほど、障害物が多いほど息が強くなり飛行に影響する割合が高くなります。

 ですから障害物のない洋上や普通飛行場がある平らな広い地域では渦ができにくく、風は強くても変化が少なく離着陸がやりやすいということになります。

 これだけの理由だけでも、ヘリが風に弱いということが理解していただけると思いますが、ヘリが風に弱いという理由はさらにあり、パイロットは強風に翻弄されることになります。

 ヘリの離着陸は速度がゼロですから風が10メートル変化する場合、速度ゼロホバリング、ホバリングの必要パワーが100とすると、20ノットの場合は60程度に急激な変化があり、瞬間的に10メートル変化すればパワーを60から100へあるいは逆に100から60へ増減してやる必要があり、少し遅れれば急上昇、あるいは地面に激突となります。

 さらに悪いことにヘリが離着陸する場所が、広い飛行場のような平野部や洋上のような場所はほとんどなく、山岳地帯や、ビルの屋上のような場所が多く、風に垂直成分があるうえ、突風成分になる渦の発生がより多いのが普通となっています。

 さらに飛行場においては正確な観測装置によるその時その時の風のデータを無線で通知されますが、ヘリの場合はほとんどパイロット自身で風の状況を目視で確認するむつかしい技術が必要とされます。さらに夜間においては風の状況を目視で確認することはほぼ不可能であるでしょう。

 ヘリパイロットは風が読めればほぼ一人前で、風が読めなければ秦野の事故のように墜落しかねません。

 毎日が穏やかな小春日和ならヘリパイロットも苦労はないのですが、風を読むだけではなく、風をうまく利用してより安全により快適に飛べれば苦労もないのですが、、、、、
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bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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