大晦日 寒波襲来か、、、

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6346837
いよいよ令和元年も今日で終わり、明日は前線の通過で大荒れの天気となり、寒気が下りてくるようです。
暖冬で推移していた中、いきなり一級の寒波が来そうですが、ヘリパイロットにとっては厄介な時期の到来です。
日本の半分のドクターヘリはこの時期から約3か月、降雪中の飛行や積雪地離着陸に付き合うことになり、後の半分のヘリも冬型気圧配置の強風と戦う毎日となります。
ヘリコプターの仕事の中でも天候判断が難しいのがドクターヘリで、天候条件が悪い中、5分以内の短時間に飛ぶかどうかの判断に迫られ、しかも患者さんの命がかかっているとなればそう簡単に飛べませんと言いにくいところです。
ドクターヘリ防災ヘリのパイロットの充足状況は2倍はいませんので、正月の勤務は3年に一回程度休める程度でしょうか、ほぼ毎年正月はどこかへ出張していて家にいた記憶があまりなく、因果な商売と妻子は思っていたことでしょう。
引退した今は毎日が日曜日で気楽に過ごせますが、全国で悪天候の条件の中で正月も盆も連休も関係なく勤務する運航関係者、医療関係者には感謝あるのみです。
お正月は通常の患者さんに加えて、お屠蘇気分の酔っ払い事故と高齢者が餅を喉に詰める事故が良く起こり、ドクターヘリは忙しい時期となります。
くれぐれも安全運航で良い正月を迎えてほしいものです。
小うるさいブログですが来年度もご愛読、よろしくお願いします。 良い年を迎えてください。
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アメリカでは連続事故 5名死亡、、、

https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20191229-00000016-ann-int
26日のハワイでの遊覧ヘリの事故に続いて、28日にはルイジアナで双発小型機が離陸直後に墜落し、5名が亡くなったようです。
アメリカは世界一の航空王国で特に小型機やヘリの小型機が圧倒的に多く、しかも自由に飛んでいるような印象があり、やはり事故も多いようです。
報道ではほとんど詳しい情報がありませんが、どうやら離陸直後に何らかの不具合が起きて、着陸を試みようとしていたそうですが電線に引っかかり、郵便局の駐車場に墜落して炎上し、地上の人にもけが人が出たようです。
通常、航空事故が起きると事故の調査がなされ、再発防止策が明らかになります。
しかし航空事故調査には世界中どこでもかなりの時間がかかり、通常飛んでいるパイロットや運航関係者は原因が特定されて再発防止策が出るまで飛ばないわけにはいきませんので、少ない情報からでもある程度の原因に迫って、自らどうするべきかを考えて実行する必要があります。
遠いアメリカの話だから自分には関係ないとたかをくくっているパイロットは長生きしないかも知れません。
小型とは言え双発の飛行機だから、片方のエンジンの故障では墜落しないのではないかと思う方が多いと思いますが、実はEC135など小型双発ヘリも同じようなことが言え、一定の条件下では片方になると高度が保てない、つまり不時着するしかないというカテゴリーの航空機が存在します。
その点、旅客機やへりでも中型機以上のTA級のカテゴリの航空機はどのような条件下でも片方のエンジンで離陸を継続でき、安全に着陸できる性能を持っているものとは明らかに安全性が違っています。
ドクターヘリが離陸時に垂直に高くまで上昇する場面で片方のエンジンが止まると墜落する可能性が高く、騒音回避とは言えこのような危険な飛び方は避けるべきでしょう。
さて、事故機は片方のエンジンが止まったかどうかはわかりませんが、どうやら不時着を試みようとしていたという目撃証言があり、最終的には電線に引っかかって墜落したようです。
飛行機でもヘリでも正式な飛行場やヘリポートへ正常な経路を経て離着陸する場合は電線に引っかかることが無いようにルート上での障害物からの安全が保障されていて、電線にぶつかることはありませんが、非常事態でルートを無視したり、飛行場へリポート以外の場所へ着陸を試みるときは電線など障害物にぶつかる可能性があります。
つまり 小型双発機の緊急事態や、ドクターヘリの急な指定場所以外へ着陸やD-CALL-NETでの昼夜間の離着陸やホイストではパイロットは通常以上の緊張と忙しさの中で障害物を自ら見つけて回避する大変忙しいワークロードとなります。
今回の事故機のパイロットが緊急事態で着陸中に、うまく電線を見つけて回避出来れば死ぬことはなかったことでしょう。
パイロットは赤の他人が地球の裏で起こして死亡した事故から、自分にとって大変重要な教訓を得ることが出来れば事故で死ぬことなく生き残れるかもしれません。
ハワイで遊覧ヘリ事故、7名死亡か?

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191228/k10012231161000.html
ニュースによると26日午後、ハワイ北部のカウアイ島で、乗客6人とパイロット1人の合わせて7人が乗った観光用のヘリコプターが墜落死6名が死亡残る1名が行方不明となっています。
日本で遊覧飛行のヘリが墜落したことはあまり聞いたことはありませんが、アメリカでは時々遊覧飛行のヘリや小型機が墜落する事故が起きています。
日本では観光地で継続的に遊覧飛行をする場所がないのか、採算が合わないのか需要があまりないと言えそうです。
ハワイは日本人観光客が多く、日本人の犠牲者が出ていないか心配されましたが、今回は搭乗していなかったようです。
ヘリコプターの事故が起きると自称ヘリ評論家の出番ですが、何の情報もなく想像した事故原因につながる情報がネットでぞろぞろと出てきました。
今回の事故の直接の原因はごく低い対地高度で飛行し、前方にある壁のような稜線か山の頂を飛び越えようとしたときに上昇に失敗して引っかかって墜落したと想像できます。
ネットで検索しているとこのヘリ遊覧に参加したお客のレビューは198件も出ていて、狭い谷間の中を左右に切り返して壁ぎりぎりで通過したり、滝のしぶきが当たるまで接近したり、低空で稜線をぎりぎりの高度で飛び超えるときに野生の動物をまじかに見て感激したというような書き込みがありました。
お客のヘリの飛行体験を盛り上げるような、リスキーなフライトを日常的にやっていた形跡がレビューに出ていましたが、事故直後で書き込みを削除する余裕がなさそうです。
飛行方法に問題があるのですが、さらに、エアバスの350Bと言うもともと6人乗りを7人の座席を付ける発展型で飛行時間が1時間程度ですから1時間半程度の燃料を積み、さらに海上を飛行するため緊急フロートと言う50キロ程度の追加装備をすると、かなり重い状態で飛んでいたということになります。
普通ヘリが故障や緊急状態になるとパイロットは無意識に速度を落とし、100キロ以下60ノット程度にしますのでこの状態で墜落しても普通は生き残る可能性がかなり高くなるので、全員死亡と言うことなら100ノット、200キロ近い速度で稜線に突っ込んだ可能性が高いでしょう。
滝の近くでホバリングでしぶきを浴びる飛び方なら墜落しても全員が死ぬことは考えられませんが、高速で狭い渓谷を縫って飛んでいて誤ってぶつけたら全員死んでもおかしくはないでしょう。
長野県防災ヘリの墜落の状況とうり二つの事故であるというのが自称、ヘリ評論家の結論です。
遊覧飛行のパイロットはただ普通に飛ぶことではお客の満足度が十分でないと、余計なサービスをしたくなるものですが死んでしまっては元も子もありません。
パイロット 飛行機降りたら何をする??、、、

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6346611
昨日はエアーDOの68歳のパイロットがラストフライトをく迎え、機長の息子と一緒に飛んだという大変めでたいニュースが出ていました。
男の一生の仕事を68歳まで無事に過ごし、しかも最後に息子と一緒に飛ぶとはパイロット冥利に尽きる話でした。
わが身を振り返ると18歳で航空学生に採用されてから、64歳目前でヘリを降りるまで危険な仕事で自身も一度はスマトラで墜落して九死に一生を得て無事でしたが多くの先輩後輩同僚を事故で亡くす棘の道でした。
同僚後輩には70歳近くなっても飛んでいる恵まれた仲間もいますが、人生100年、いずれは飛行機を降りて30年近い年月をいかに過すかと言う難しい問題に直面します。
私自身はボランテイアの歴史ガイドと言うなかなか面白い道を得ることが出来、少しは勉強、少しは怪しい知識のガイドで町内をご案内しています。
さてほかに何をしているかと言うと、現役で飛んでいた当時からこのブログが延々と続いていて、好き勝手なことを書き散らしてお世話になった上司先輩同僚から顰蹙を買いながらも、少しはヘリコプターの世界に役に立たないものかと悪戦苦闘しています。
ほかに何をしているかと言うと、家の内外を触るのが好きと言うか、必要に迫られるという面もあるのですが、色々とごちゃごちゃやっています。
今年4月から5月にかけて近くの中古住宅へ引っ越した関係で、前の家でも作ったデッキをDIYでやることに決め、総工費10万円、工期2か月でほぼ完成させました。
地面に打ったコンクリートが廃水の関係で平らでなく、基礎つくりには大変苦労しましたが5,6人乗っても大丈夫そうです。
あとは5坪程度の裏庭を家庭菜園にする工事は来年春までに仕上げるつもりです。
もう一つの目標は、来年夏に富士登山を歴史仲間から誘われて、予備訓練を始めたところです。これは複数のヒマラヤ経験の方が指導していただくことになり、訓練で落伍しなければ実現しそうです。
ヘリを降りた当初はキャンピングカーで自分が飛んだところ、着陸したところを全国的に訪れてみたいと思っていましたが少し忙しくて実現しそうにありません。
しかし、引っ越しや実家の取り壊し、日曜大工用に買った軽トラをキャンピングカーに自作することも視野に入れて、後5年ほどしたら実現するかもしれません。
飛行機を降りてもすることが一杯の幸せな人生です。
今度は航空局パイロットが飲酒発覚、、、

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191226-00000048-jij-soci
パイロットの飲酒が大きく問題となっているさなか、ついに行政として取り締まる方の中ならアルコール検査に引っかかった事例が出てきたとニュースになっています。
パイロットの飲酒発覚は、ほとんど毎月のようにニュースとなっていますので表に出てこない部分を推定すると日常茶飯事と言えるようです。
これでは法律や道徳、職業倫理でいかに清廉潔白を求めても人間の性で防ぐことは不可能と言うしかなさそうです。
航空行政の国土交通省航空局に所属するパイロットは今回捕まった飛行検査の航空機に乗るパイロットと航空従事者試験管のみで50人程度でしょうか。航空大学校は確か独立行政法人になりましたので別枠とは言え双方でほぼ100人と言うところでしょうか。
100人程度しかいない中でついに捕まったとニュースになっていますが、ごく近い時期には航空管制官の就業前の飲酒検査をするそうですから、これは大変なことになりそうです。
なにしろ航空管制官は4500人もいるそうですから、身に覚えのある諸氏は首を洗って待っていろと言うべきでしょうか。
先日のANAのパイロットは懲戒免職で退職金もパーと言う厳しい処分だったのですが、今回の事例も、免許不携帯も結果は同じようにフライトの遅れや欠航を出したのですから厳しい処分が出てもおかしくはないのですが、次々に首にしていって、気が付いたらパイロットは一人もいなくなったという笑えない笑い話になりそうです。
このようなパイロットの飲酒摘発が続くことは検査が正常に機能していて、酔っ払いパイロットが飛ぶということが起きていないという良い状態と言うべきなのでしょうか、それともパイロットたるもの聖人君子であるべきだという正論で押し通すしかないのでしょうか。
何か良い知恵がないものでしょうか。
ドクターヘリ エンジン故障で患者運べず、、、

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191225-00000004-utyv-l19
昨日のニュースによると山梨県で開かれたドクターヘリの運航調整委員会の中で、11月15日に転院搬送に出動したドクターヘリがエンジン故障を起こし、離陸できなくなり、医師看護師が救急車に同乗して搬送した例があったそうです。
ドクターヘリ基地病院では同種事例の再発を持てめていて、運航会社では事態を重く受け止め整備を徹底したいということだそうです。
故障して飛べないということは褒められたことではありませんが、機械ものはどんなに点検整備していても故障する確率をゼロにはできませんので、怠慢や不注意、ミスなどでの故障は厳に追及されるべきですが、それでない場合なら大した問題ではないでしょう。
このように書くと人の命をなんと思っているのだという非難の合唱が聞こえてきそうですが、ドクターヘリの運航の実態からみると実はそうでもないという事情があります。
ドクターヘリの目的は、ヘリがなければ手遅れで死ぬような救急患者さんのもとへドクターナースと医療器材をいち早く送り込むのが目的となっています。
転院搬送をする場合の条件は色々ありますが、一番はより高度な医療を受けるために搬送する場合なので、普通は生命の危険で1分1秒を争うような事例はほぼありません。
送り出し病院と受け入れ病院が相談して、患者さんの容態なども検討し、時間を決めて計画的に飛ぶということなので、通常の出動とは条件がかなり違います。
通常の現場へ飛ぶ場合は1分一秒を争いますが、ドクターヘリの最大の目的は医療従事者と機材薬品類を患者さんのもとへ届けるということが出来れば任務の90%は達成されたことになり、万が一離陸できない場合でも影響はかなり少ないと言えるでしょう。
ドクターヘリが来ると予定していたのだけれども故障で来なかったという事例は命に直接影響しますので、出動要請から5分以内で離陸する所を故障で飛べないということが起きたら、もちろん現地でヘリなしで対応となりますが、天候で飛べない場合もあり、常のヘリが着かない場合を想定した現場の対応が必要となっています。
あるいは離陸はして、現地へ向かったけれども天候が悪くて到着できない場合もあり、このような場合は条件付きと通報して現地へ向かいますし、場合によってドクターカーとドクターヘリが同時に同じ現場へ向かって出発することもあります。どちらか先に着いた方が患者さんを診ることになります。
いずれにしてもヘリが故障してつかなかったから患者さんが死亡したというような事例をいかに防ぐかを想定した運航や通信連絡が重要となります。
様々な事例、条件があるのですが日没まじかの吹雪の中、現場へ到着して患者さんに接触して処置を済ました時に、ヘリ搬送だと吹雪と日没で基地へ着けない恐れがるので、救急車搬送してくださいと指示した例もありました。
いずれにしても次善の策を考慮した運航は常識と言うことになります。
ANA機長 免許不携帯で乗務 遅延欠航発生、、、

写真はベルのヘリで10000時間飛んだパイロットに与えられるおもちゃのようなバッジです。これで飛べないかな、、、
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191224-00000006-awire-soci
24日 ANAの機長が免許不携帯で乗務していることが飛行中にばれて、続けて乗る便の交代のパイロット手配のため遅れや欠航が出たそうです。
パイロットの免許の大きさは、私たちのころは古いタイプのパスポートと同じサイズで大きいので法の規制の携帯には不向きで、カバンの中に入れて携行しているものが多かったのですが、その後カード型になったので携帯しやすいようになったようです。
パイロットは航空従事者免許のほか身体検査証明と無線通信士免許を携帯する必要があって、ポケットが一杯になりそうです。
定期会社はフライトの前に乗務員が集まってブリーフィング行うとのことですが、その際アルコール検査と免許所持の確認をするはずなのですが、いい加減なことをしていたということがばれてしまったようです。
免許を携帯していてもいなくても運航の安全には全く影響はないので,不携帯をそれほど騒ぐこともないと思いますが規則だから仕方がないのでしょう。
かくいう私はもっとひどい不携帯の経験があり、それは静岡へ出張中に東京基地の整備管理から電話があり、何か忘れ物は無いですかと言うなぞかけでした。
3週間ほど前に東京基地でベル206Bの官検の耐空検査を実施したときに、航空局の検査官にライセンスの提示を求められる場合があるのでと言うことでわざわざカバンから出して、ピッチレバーの下において、そのまま忘れてしまったようでした。
3週間免許不携帯で仕事をしていたのですがすでに時効なので白状しました。(笑)
もっと昔は万一免許をなくしたら再発行までひと月は飛べなくなるので、会社のデスクの引き出しの奥深くにしまっておくのが普通だったようです。
その後現にヘリから免許を落としたり、現場で着陸したときに尾翼の上に置いたまま離陸したなどで紛失して長く飛べなかったパイロットが複数います。
もっと極端なのは某豪傑パイロットが事故で墜落し、会社へ電話で連絡してきた時の第一声が机の中にライセンスがあるからすぐに持ってきてくれと言う内容だったそうです。
ヘリが墜落すると事故調査より早く警察が動くため事情聴取に備えてライセンスの提示が一番初めの儀式だそうです。
今回のANAの事例は酒気帯び操縦が大変に注目されている中で、乗務前の一連のチェック、打ち合わせが如何にいい加減であるかを証明したようなものです。
アルコール検査は厳重にやっているのはとうぜんとして、、免許携帯、身体検査期限、定期審査期限などやるべきチェックをいかにいい加減だったかと言うことで、このような事例をパイロット個人のせいばかりにして管理面の不具合に口を拭っているようではいつまでたっても同じことを繰り返すでしょう。
ANAは自家用機を飛ばしているわけではないのですから、パイロットのせいにするのはいい加減にした方がよさそうです。
組織で飛ばすのですから、パイロットのミスは組織がカバーし、組織の欠陥はパイロットが補うという体制が通常の体制なのです。
今回の事例で、ライセンスを忘れたパイロットが悪いか、それを見逃した組織が悪いかどちらだと言えば100%組織が悪いとしか言えないでしょう。
ホワイトアウトの経験、、、

今年は冬の始まりから暖冬で雪の便りがなかなか届きませんでしたがクリスマス前になってやっと東北や日本海側で雪のニュースが届きだしたようです。
北日本ではホワイトクリスマスになるかですが、今日はヘリコプターのホワイトアウトと言う現象についての話題です。
確か映画にもなったと思いますが、冬山登山で猛吹雪にあうと、自分の手の先が見えないほどの白銀一色の世界に囲まれて身動きが出来なくなるほどだそうですが、ヘリコプターの冬の運航中に出くわすことがあり、即墜落の危険があります。
自分自身の経験では2,3回ふいにホワイトアウトに出くわしましたが無事にリカバリーできて、墜落することもけがをすることもなく脱出出来ました。
最悪の経験はベル47KH4で送電線パトロールの夕方の移動の最後の着陸でふいに完全なホワイトアウトに入ってしまいました。
日没時間の着陸で、並みか少し強めの降り方で、30センチ以上の積雪があるなか福井県の小浜市の某工場のグランドへ着陸する際でした。
グランドの中央では雪が舞い上がると即ホワイトアウトになる可能性が高いので、グランドの一番奥の体育館の手前20メートル付近に狙いを定めて、すこし高いホバリングから高度を下げて行くと案の定、積雪が舞い上がり、すぐ前の体育館まで見えなくなりました。
事前に雪が舞い上がりそうになったら、目標とする錘に赤い布を付けた視認標識を投げるように整備士に頼んでいましたが、ホバリングした瞬間、下が見えなくなったので投げることが出来なかったと本人は言っていました。
47はパワーの余裕がないなか、最大馬力を入れて上昇して上に出て逃げようともがいていたようですが、はっと気が着くと自分の右下に電柱の頭がうっすらと見え、何とかぶつかることなく姿勢と位置がわかり、無事着陸した次第です。
ミルク状態の中では機体の水平を保つ目標がないので、操縦桿を動かすことなく、パニックになることなく静かにパワーを一杯入れてゆっくりと上に出ることしかできませんでしたが、ぎりぎり上に出ることが出来、しばらくホバリングして雪の舞い上がりが収まるのを待って着陸出来ました。
この経験で雪の舞い上がりのホワイトアウトの怖さを知り、のちの冬季運航の安全には大変役に立ったのですが、ここで死んでいたら終わりでした。
ヘリコプターが着陸する所、、、、、

ヘリコプターが着陸する所は一般には、ヘリポートと呼ばれる場所が一番一般的ですがもちろん飛行場にも、学校の校庭や場合によって橋の上であったり、ゴルフ場の18番グリーンであったりと様々なところへ着陸しています。
様々なところへ着陸しているということは、何らかの安全上のルールを定めてそれに従えば継続的に安全に着陸できますが、安全上のルールを決めなければ危険性が伴うということになります。
様々なところへ着陸する場合、飛行場なら滑走路、ヘリポートなら丸Hとマーキングに沿って着陸する場所が決められていますが、それ以外の場所ならパイロットが学校のグランドなら、ど真ん中とか、バックネットの前とかパイロットが決めたり、地上の誘導に従ったりします。
離着陸で安全上問題になるのは、着陸場所の中へ十分余裕のあるスペースを取って、ヘリが入るかどうかと通常の進入離脱のコースを飛べば電線など障害物にぶつからないかと言うようなことです。
飛行場と丸Hマークの書いた公式へリポートの場合は、広さと進入離脱のコース上に障害物がないことを保障してくれていますので離着陸操作に専念することが出来ます。
ヘリコプターがいつでも好き勝手にどこへでも離着陸することは禁止されていて、通常は事前調査で広さと進入離脱コースに障害物ばない場合だけ許可を取ることが出来ますが、丸Hのマーキングを書くことは要求されていませんので、パイロットは申請許可書類を見て着陸する場合だけは、障害物にぶつからない安全性が保障されています。
夜間照明を準備すれば夜間の離着陸の許可も取れますので、その照明の場所へ着陸すれば障害物にぶつかることはありません。
一般に航空機は離着陸中が一番忙しい操縦操作が必要でかつ、低空飛行を強いられるので、少なくとも障害物を探しながらと言う大忙しは避けてやろうとこのように決めているのでしょう。
ヘリの事前に調査申請して、許可を受けた場所への離着陸中でも申請に嘘があったり、めくら判で許可を出したりしている可能性があるので、信用して線にぶつかって死んでも手遅れなので一応は疑って障害物を避ける癖をつけています。
私が経験した最悪の例では農薬散布で東北のある街の農協の広場に描いてある丸Hのど真ん中に着陸したら、屋根の廂から電柱へ飛んでいる電話線に見事にぶつかる位置でした。気が付いて丸Hを避けて事なきを得ましたが、、。
このような法制度の下、ドクターヘリなど救命に飛ぶ公的なヘリは事前調査申請許可なしにどこへでも着陸しても良いと法改正され現実にパイロットは障害物と戦いながら離着陸しています。
このような状況で、夜間に暗視ゴーグルがあるから障害物は避けられると思う方がどうかしていると思いますがいかがでしょうか。
ドクターヘリの夜間搬送、熊本県、、、、??

https://this.kiji.is/581081419078943841?c=92619697908483575
熊本日日新聞のニュースによると天草から熊本空港へドクターヘリの夜間搬送訓練が行われたというようなニュースが出たようです。
簡単に言えば今流行りのファイクニュースと言うもので、記事の内容を読むと県などの要請で夜間の搬送に備えて、海上保安庁機が訓練で飛んだらしくて、ドクターヘリは全く関係ないようです。
過疎地域の山間部や離島から急患を自衛隊機や消防ヘリ防災ヘリ、海上保安庁機などで搬送することはすでに各地で行われていて、熊本県の天草地方もこのような運用をしたいということで海上保安庁や自衛隊と協議中らしく、今回は海上保安庁が要望に応えて実証訓練をしたようです。
記事の内容はファイクではないのですが、この内容でドクターヘリを出すことは、ドクターヘリの運航に対して大いなる疑問が出る可能性が高く、普通の市民ならドクターヘリがあるのになぜ飛ばないのだということになります。
海保や自衛隊消防、そして防災ヘリがすでに行っている夜間の転院搬送ならドクターヘリでも何時でも出来、やれと言うなら予算を取ってパイロットなど運航要員を3倍雇って24時間待機にすれば同じようなフライトはできないはずはありません。
ドクターヘリの夜間飛行の装備とパイロットの夜間飛行に対する能力は他のヘリと全く変わりはなく、いつでもできるのですが、一年365日年中通して24時間待機して、月に1回あるかないかの転院搬送に備えることは大変な無駄遣いで、過疎地域の要望で県などが予算を取ってやることには合理性は無いでしょう。
ドクターヘリを夜間を通して24時間運航とするなら、当然昼間と同じように守備範囲内のどこへでも15分以内にドクターと医療機器を届けるという飛び方をすることが出来るなら大いに合理性があるでしょう。
ところが今の状態では、夜間照明や気象観測設備と通報システムがなく、ヘリには特別に暗視ゴーグルや夜間見えない障害物などを識別する装置や、パイロットなどの特別な訓練と能力がない状態では昼間と同じようには飛べないということになっています。
この記事は大変無知な記者が良く調べもしないでドクターヘリと語句を記事に入れ、これを読む読者はドクターヘリの怠慢や夜間飛行能力を誤解し、なぜ飛ばないのだという意見に傾くでしょう。
なにしろドクターヘリを飛ばしている周辺にいる自称専門家、有識者がドクターヘリはなぜ夜間飛ばないのだ、なぜ夜間にホイストで重症患者を吊上げて救助しないのだと言い張る程度ですので、田舎新聞の記者が誤解するのは当然かもしれませんが、このような無知と誤解がドクターヘリ夜間墜落、5名死亡に繋がりかねない大フェイクニュースとなっています。