ドクターヘリ 防災ヘリ 救助救命を辞退 拒否、、、

私がドクターヘリで勤務した約5年間、1500回程度出動した中で患者が明確にヘリ搬送を拒否した例は1件ありました。
その事例はバイク事故で指を切断した症例で、専門医のもとへできるだけ届けるという状況でヘリに収容しようとしたところ本人は意識があり、明確にヘリ搬送を辞退されました。
これに近い例では90歳を超える高齢者の方が脳梗塞で意識不明となった時の家族が積極的な延命治療は辞退するというようなこともありました。
また今年度の台風の浸水被害でホイストから要救助者が墜落して死亡する事例があればやはり救助を辞退するような例も今後は出てきそうです。
ここでやや難しい問題は、突然の傷病や浸水被害、山岳遭難などで救助に入ったヘリを前にして、明確に意思表示ができるかどうかです。
バイク事故手指切断の事例では我々運航クルーも医療クルーも患者が搬送を拒否することなど夢にも思っていなくて、えーーと驚いたのですが考えてみれば患者さんがヘリを望まないものは強制的に搬送はできないと判断し、切断の指の応急処置のみをして、救急車搬送で病院へと向かうことになりました。
台風時のホイストからの落下事故で、今後は救助の可否や救助される本人の意思確認など今までないは無い新たな課題が出てきているように思います。
高齢者の延命治療や、傷病の治療法選択などと同じように、ヘリコプターによる救助救命にも当事者の意志と言う面が出てきて、従来のように助けるのだから全面的に従えと言うだけではできないような気がします。
5年に渡ってドクターヘリを飛ばしていたのですが、たった一回、患者さんがヘリを拒否し他ことは衝撃的で、はっと我に返ったような気持でした。
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