ドクターヘリ、対応が難しい悪天故障

和歌山ドクターヘリ1 (1277)

 ドクターヘリは重症の救急患者の救命のため1分1秒を争う運航をしますので、飛行中のヘリの故障や悪天候などで急に正常な運航が出来なくなる場合は、なかなか対応が難しいという面があります。

 様々なヘリコプターが飛ぶ場合でこのような天候不良や故障の場合は、運航の安全と言うことを最優先に対応すれば良いのですが、ドクターヘリの場合はその上に患者さんの生命の安全と言うことが最優先事項となります。

 一番問題なのは患者さんをヘリの中へ収容したのち、基地病院や搬送先病院への飛行中に悪天や重大な故障のため、飛行の継続が困難になったり、目的地を変更せざるを得なくなった場合には、その対応によっては患者さんの生命にかかわる事態となるので、飛行の継続中や予定着陸地外への着陸後の搬送についての外部との要請打ち合わせが重要となります。

 天候や故障で事前に出動ををキャンセルして、ドクターカーや救急車対応に切り替えていただく場合、ランデブーポイント着陸後患者さんのヘリへの収容前のヘリ搬送キャンセルは、救急車にドクターナースが同乗搬送となる場合が多く、比較的影響は少ないと思います。

 一度、患者さんを載せて、基地病院へ向けて飛行中、ヘリに異常振動が発生し、付近のランデブーポイントへ急きょ着陸したことがありました。

 着陸前後から基地と連絡を取り、管轄消防の救急車を依頼し、予防着陸後5分ほどで救急車が到着し、ドクターナース同乗の上救急車搬送に切り替え、ヘリは現場で故障探求をしたことがありました。

 そのほか発電機の故障など軽微な故障が出た例がありますが基本的には運用許容基準に従い、患者搬送の可否を決め対応となります。

 そのほかでは、日没時間寸前にランデブーポイントへ着陸して、患者さんをへりへ収容するころ猛吹雪となり、基地病院への帰還が危ぶまれ、念のため患者さんは救急車搬送とし、ヘリは悪天の中何とか基地へ帰ることが出来た例がありました。

 年中飛ぶ体制にあるドクターヘリはこのような悪天や故障によって通常の運航が困難になりながらも、患者さんの生命を最優先しながら、運航の安全も維持するという難しい局面があります。
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bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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