百舌鳥、古市古墳群の遊覧飛行、、、、

昨日、すでに遊覧飛行が中止になって3か月以上も過ぎている、百舌鳥、古市古墳群へ出かけてきました。
観光ボランテイアガイドの活動で他の地域へ出かけて、ボランティガイドの案内で史跡を回って研修するという名目で秋の過ごしやすい1日を勉強に行ってきました。
800メートルを超える巨大な古墳が2基もある壮大な史跡で、地上から見ただけではその全容はわかりませんし、80メートルもある堺市役所21階の展望室から見ても、ただのちょっとした丘がある程度にしか見えないので、ヘリコプターの遊覧飛行は大変魅力的です。
世界遺産に決まった直後、十分な準備もなく始めてしまったヘリ遊覧は騒音苦情に一挙に打ちのめされて消滅したのですが、地元市などや大阪府、観光行政にとっても大変な目玉だと思うのですが、住民パワーにはかなわないのでしょうか。
地元ボランテイアガイドの方のお話ではヘリどころか、ガイドがお客さんを引率してガイドをしていると、地域住宅の2階からうるさーーいと言う罵声が飛ぶこともあるそうです。
と言うことで航空行政も地域の観光行政も、メディアもこぞってヘリ遊覧には冷淡で取り付く島もない状況のようです。
今は大山公園内の広場で健康用の気球を飛ばそうという話が進行しているそうですが、強風などの気象条件や時間当たりに利用できる人数などで、多くの観光客の要望にはとても足りない恐れがありそうです。
昨日は好天に恵まれたとは言え、外国人を含めて多くの観光客が訪れていましたのを見ると元ヘリパイロットとしてはぜひとも継続的に飛ばしてほしいものです。
ヘリ運航会社としては住民パワーに対抗する術はほとんどありませんので、運輸行政、観光行政、などの公的機関が誠心誠意地元と話し合いをし、運航回数や時間高度などを十分規制したうえで運航に同意していただけるような活動をするべきでしょう。
このようなややこしい交渉の仕事はしないというのが行政の立場で、古墳群ヘリ遊覧の復活はほとんど可能性がないのが大変残念です。
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似て非なるもの、救急救命と救助救出、、、

ヘリコプターは色々あり、人の命に係わる任務を持ったヘリでも大きく分けると医療系と救助系に分かれます。
簡単に言えばドクターヘリと搬送目的のヘリが医療系で、防災ヘリで救助救出に飛ぶ場合、陸海空のレスキュウへり、消防関係の救助用ヘリと様々な組織が様々な目的で飛ばしています。
そしてそれぞれのヘリはほとんどがその飛行目的に特化した装備品を積んでいて、無駄なものは積まない、必要なものは削らないということになりますが、飛行目的が多様に亘ヘリはどちらかと言うと無駄なものを積んでいる可能性があります。
また飛行目的の多様なヘリは飛行ごとにその装備品を積んだりおろしたりする必要があると時間がかかって緊急発進はできないことになります。
この点で一番不利な運航装備を求められているのは各地の防災ヘリで、県知事が視察で乗ったり、災害状況の撮影伝送を行ったり、救助救出をしたり、その上医療搬送まで受け持つとなれば、ヘリの装備品は何でも搭載可能であるけれどもどうしても取り外せないものが多く出てきて、重くなってしまいますので性能的には相当落ちるということになります。
またパイロットはじめ搭乗員は様々な任務をミスなくこなす必要があり、スーパーマンのような活躍を期待されますが、実質的にはすべての任務に中途半端な経験技術しかない恐れもあります。
大原則で言えば、表題の救助救出ヘリと医療用ヘリは絶対に分けるべきで、この両方を1機のヘリでこなそうとするとど、どっちつかずの中途半端な任務しか行えず、引いては危険性が大きくなるという恐れがあるでしょう。
防災ヘリの実務中の事故3件の事故原因の潜在的な原因は一部このようなことがあるのではないかと言う疑いがあります。
ドクターヘリが1件の着陸時の事故のみで済んでいるのは、医療ヘリに徹しているからではないかと思いますが、捜索、救助、救出の任務を今の小型機で追加すると一挙に危険性は跳ね上がり、事故続出となる可能性があります。
ドクターヘリは運送事業用のヘリに徹するべきでしょう。
昨年、空自の救難用ヘリを見る機会がありましたが、あっけないほど搭載装備品は少なくて2段になった担架だけが目立っていました。
東京オリンピックにドクターヘリはいらないのか??

https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20191028-00000020-ann-soci
来年8月の東京オリンピックのマラソンで酷暑のため死人が出るのではないかとの心配がでてきて、札幌に開催地を変えようとか、朝5時スタートにしようかとなかなかにぎやかなことになっているようです。
おおむね大きなスポーツの開催はメデイアの利益を最優先する方法で行われるため、ドーム球場があるのに真夏の甲子園では延々と高校野球が行われていますし、同じ時期の日中にマラソンをするという非常識も普通に計画されたようです。
マラソンの死人発生予想だけではなく、多くの競技に1万人以上の選手が死に物狂いで戦いますし、その百倍千倍の観客が東京に集中するようですから、救急医療の一手段としてドクターヘリは必要ではないのかと言う疑問がほぼどこからも出てこないのが少し不思議です。
日本は相当な既得権社会で、誰かの仕事が減るような改革は発言力が強い業界ほど新しいものが出るチャンスは潰されるようです。
東京にドクターヘリがないのは、あるいは導入しようという意見が出てこないのは、消防ヘリが他の府県に比較して強力に整備されているからであるようです。
次には、東京のような大都会で救急車や救急病院の数が充実していて、ヘリが飛ぶメリットが少ないあるいはほとんどないと認識されているようです。
しかし東京オリンピックの時期だけでも相当な出動機会がありそうですし、医療ヘリがあってもよさそうですが、検討すらされないようです。
いろいろな状況があるのでここで考えられるメリットや出動機会については細かく書きませんが和歌山県のドクターへり導入前の各地消防の意見とその後の状況について少し披露します。
和歌山県にドクターヘリの導入前の意見聴取では、和歌山市消防局は導入反対でその他の消防はすべて導入賛成だったそうです。
もちろん和歌山市消防が反対したのは市の領域が比較的狭く、救急車でほぼ20分でカバーできるからヘリは要らないだろうというごく常識的な意見だったそうです。
導入後10年過ぎたころちょうど勤務していた時、突然、病院長が待機室を訪れ、県議会で和歌山市などヘリで5分や10分のところへ数多く出動しているのは無駄ではないか、救急車で十分だろうと県議会で質問されるのでどう答えたらよいかと聞いてきました。
病院長はどう答えたらよいかわからず、自分も無駄だと思ったのでしょう。
ドクターヘリが飛んで新宮や潮岬など30分も飛んで非常に役に立っていると思われているようですが、ドクターヘリが助けるべき救急患者は30分も飛んで行ったら、おおむねほとんど死んでしまっています。
ヘリで5分や10分で到着し、救命医療を施せるチャンスのあるごく近いところこそ救命の可能性が高く、実際の出動も10分以内の地域場所からの要請が一番多くあります、、と答えるように言いました。
消防ヘリで対応するなら、出動要請でよっコラショと飛んで、30分以上もかけて病院へ搬送してきて医者が処置をするようなら死んでしまっている患者が多いでしょう。
よって東京オリンピックにはドクターヘリが2,3機あってもいいのではないかと思いますがいかがでしょうか。
もう手遅れか、、、、、、
ハンググライダー空中衝突1名死亡、、、、

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191027-00000060-kyodonews-soci
27日鳥取県でハンググライダー同士が空中衝突し1名が死亡、1名が重症を負う事故があり、ドクターヘリも出動したそうです。
先日は超軽量機の事故があり、耐空証明もライセンスもない超軽量機のなぜ事故調査委委員会が出るのだとチャカしたところですが、ハンググライダには動力もなく、耐空証明もライセンスもないので事故調は出なくてよいと言いたいところですが、身勝手ながら今回は逆の意見です。
ハンググライダーやパラグライダーの空中衝突事故は過去にも起きていて、狭い空域で多数機が飛ぶこのような飛行物体が衝突する危険性がかなり高いようです。
ハンググライダーのような簡単な構造のものでも本物のジェット機でも空中衝突や異常接近、衝突のメカニズムや接近の見え方と回避方法などがほとんど同じで、知識や経験、回避の訓練など、衝突防止の上で知っておくべきことなどが共通していると思います。
3次元の空中と2次元の陸海の衝突や異常接近の見え方は大きく異なり、地上や海の見え方が相手機との接近状況を判断するうえで大変参考点となるのですが、空中の場合は相手機の見え方とその変化状況だけが接近や衝突の判断根拠となるので、衝突寸前の接近速度が急激に大きくなり、予備知識がないと避けきれないという場面となってしまいます。
自衛隊のパイロットだけが正式な編隊飛行の訓練を受け、編隊集合や離脱、交差など相手機の見え方だけで判断できる能力が身についています。
もちろん民間のパイロットなどは厳しい編隊飛行の訓練経験がないため、最終的にぶつかるかどうか、回避をどうするかなどの判断基準を持っていないことが衝突事故回避ができるかどうかに大きく影響すると思われます。
パイロットですらこのような状況ですから、狭い空域で多数機が飛ぶパラグライダーやパラセールの愛好家などにはこのような知識や回避方法、相手機に対する位置や高度などによる優先順位などについて一定の教育や訓練をすることが必要であろうと思います。
事故調査などを通じてこのような知識や安全教育をする必要があると思いますが、これが出来るのは空中衝突に対する十分な知識と調査経験がある航空事故事故調査委員会であると思いますがいかがでしょうか。
パラグライダーは管轄外だから、衝突事故で人が死のうが知ったことではないということでしょうか。
恥ずかしながら、70歳になりました。

写真は18歳ので空自に採用された直後に適性検査のために、防府北基地で飛んだ時のもので1968年春のものです。
それから紆余曲折があって、ドクターヘリを最後に64歳少し前に降りてすでに6年以上過ぎ、昨日70歳の誕生日を迎えました。
多くの方たちからファイスブックにお祝いのお言葉をいただき、このブログの効果なのかなと思っています。
くだらない記事でも少しは頭を使って自分の専門分野のことを書き、5年ほど前からは町内のボランテイア歴史ガイドとして歴史を少しかじり、お客さんを町内の史跡などを案内して歩くということで、一応健康に一番良いことをしていると自分勝手に自負しています。
ヘリコプターや航空のことをあれやこれやと恥ずかしい、批判ばかりしているのも、嫌われる年寄りを自ら演じていますので、世のためにあまり役に立たない年寄りの見本のようなものです。
例の武田教授によると男は50歳を超えると世の中に存在する意味がないそうですから、70歳は生きているだけで世に迷惑をかけているだけだそうです。
この姿勢は自分が世話になったヘリ業界から完全に離れて、利害関係がまったくなくなったので誰に忖度する必要もなく思ったことを書けることが良いと言うべきか、たまには飛んで業界や昔の仲間と旧交を温めるのも良かったかなとも思います。
70歳を過ぎてもスタンスは全く変えずに自然体で憎まれ口を記事としていきますので、読んでいただける方は引き続きよろしくお願いします。
コメントにはすぐに返信する必要があるのですが何分ずぼらなもので時期を失してしまうと返信できないことが多く申し訳ありません。
引き続きよろしくお願いします。
ユナイテッド ガス欠恐れで中部空港へ緊急着陸、、、

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191025-00025010-tokaiv-soci
25日サンフランシスコから成田へ向かっていたユナイテッド航空のボーイング777型機が台風19号で荒れる成田空港へ着陸できず、関西空港へ向かったものの、燃料不足から中部空港へ緊急着陸したというニュースが入っています。
計器飛行の航空機や定期便は着陸地の悪天候や目的空港の急な閉鎖などで当初の目的地へ着陸できない場合に備えて、代替空港を指定し、燃料は当初の目的地空港を経由して代替空港までに必要な燃料に予備燃料を加えた分の燃料を最低積むことが義務付けられています。
ただし、最低分は決められていますが、当日の悪天予想や上層風のデータなどで追加分を調整し、今回のような場合でも緊急状態を宣言して優先処置を受けなくても良い余裕を持つことが普通です。
ただし燃料を余分に積んで重くすると燃費が落ち、速度が出ないことがあるので経済性と安全性の兼ね合いは会社やパイロット運航管理の重要な判断点となります。
もう一つ言えることは出発前に代替空港を決めて出発しているので、途中の向かい風の影響で燃料をある程度食ったとしても当初の計画の代替空港へ向かいたいという心理状態になりがちです。
燃料がぎりぎりであっても当初決めた関空には自社の受け入れ態勢があり、中部空港に荷は十分な受け入れ態勢がなければ関空へ向かいたいという気持ちが強くなったともいえるでしょう。
パイロットは着陸する予定をしていた空港に着陸できないとかなり焦るものですし、さらに代替空港の関空にも届くかぎりぎりとなったなら焦って緊急状態を宣言して中部へ降りたのでしょうか。
燃料が少なくなってくるとパイロットが状況をすべて読み正しい判断をする時間がだんだんと少なくなって、追いつめられていきますので、地上の運航管理などが関空や中部の込み具合や天候、受け入れ態勢などをてきぱきと情報収集し、切羽詰まるまでに適切なアドバイスをするべきでしょう。
ドクターヘリは運航範囲が決まっていて、重量と到達距離から搭載する燃料の量は決めていますが、給油なしで2便続けて飛ぶ場合や、3角形に飛ぶ場合、現地の天候が悪い場合など燃料ぎりぎりまで飛ぶことがたまにあります。
一回に飛行時間が1時間以内程度ですから、燃料が少なくなってどう飛ぶかの判断に使える時間が大変短くて、次々と正しい判断が求められる場合があります。
このような状況は一日に1回か2回しか飛ばない地域ではほとんどあり得ませんが、1日に10回も出動するようになると、どの時点で給油するか、着陸で燃料がどの程度になるかなど、結構厳しい判断を求められることがあります。
軍民ヘリ 予防着陸、、、

https://www.mbc.co.jp/news/mbc_news.php?ibocd=2019102400038838
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191021-00000018-kobenext-l28
21日に米海兵隊のCH53が種子島空港でトラブルが見つかり離陸できなくなりました。
同じ日に広島県から八尾空港へ向かっていた朝日航洋の332が警報灯点灯のため急きょ神戸空港へ着陸したというニュースも入っています。
これらのヘリはどちらもエンジンが双発で安全性が高く、単発エンジンのヘリに比較すると格段に信頼性が高いのですが、飛行中の警報灯の点灯程度でなぜ飛べなくなってしまうのか不思議に思う方も多いでしょう。
エンジンは双発で、片方が止まっても普通に飛行継続できますし、各エンジン駆動などの油圧ポンプや発電機など2重系統になっているのとテールローターがなくなったり、効かなくなってもオートローテーション不時着が可能となっています。
ところがヘリコプターならではの欠点があり、それは大きなローターを回転させるギアボックスが一つしかなく、これのギアが壊れてしまうとローターが回転しなくなり即墜落します。
ギアが壊れてしまうのはギアの小さな部分が欠けて全体に破壊が進む場合と、ギアボックスを潤滑するオイルが抜けたり何らかの原因で循環しなくなり焼け付いて壊れる場合が考えられます。
このためギアボックスの設計において、オイルが抜けてしまっても45分間は回転が維持できる強度となっているようですが、いきなりギアが欠けて破壊に進む場合はどうしても墜落してしまうことになります。
そのために写真のようなマグネットでギアの微細なかけらやベアリングのメッキの剥がれなどを吸いつけて電気が導通し警報灯点灯するようになっています。
この写真には実際に微小な金属片が着いていて、実際に点灯したときのものです。
ベアリングのメッキの剥がれなどの場合はギアの構造物でないので飛行に支障はないため、この付着部分に電気ショックを与えて焼き切れると飛行継続は可能となります。
焼き切れなかった場合はこのプラグを外して付着物を確認し、ギアの部品でない場合はプラグを清掃して、オイルをすべて抜いて入れ替え、地上で試運転を規定時間行なって異常がなければ飛行可となります。
再度点灯するようでは、ギアボックスの交換作業となり、クレーン車を持ち込んで大掛かりな整備作業となります。
支援のオスプレイはたぶんオイルと交換作業用の作業台や工具などを運んできたのでしょう。
332は機内の内装を取り払ってあるなら飛行中でもこのプラグを外して点検することが出来、長距離の洋上飛行などでは点検して安心して飛行継続できるので助かります。
米海兵隊のCH53も朝日の332も多分同じ故障だと思います。
給油の順番、、、

事業用や自家用にかかわらずヘリコプターや小型機を飛ばすパイロットが空港での給油で不愉快な思いをしたことがない人はいないでしょう。
給油用のタンクローリーが何台もある地方空港は珍しく、定期便が入る時間が近づくと小型機やヘリは後回しにされることが普通で、定期便が遅れたり予定通りに飛ばないと長時間待たされる可能性があります。
相手方にしてみれば当然のことで、一回当たり1000ガロンも入れる旅客機と50ガロンしか入れない206Bではやる気が出ないのもうなずけます。
いつ来るかわからないタンクローリーを機体のそばで待っていないと重量の関係で50ガロン給油してもらおうと決めていても離れていると下手をすれば満タンにされたりと言うこともあり得ないことではありません。
給油作業をする作業員の方たちも一日に3便しか定期便が来ないと、空港で一日待機しているとは限らず、あらかじめ予定を言っておかないと給油できなかったりと色々と苦労するものです。
最近はピストンエンジン用のガソリンがない空港が普通で小型機の方たちはずいぶんと苦労しているようです。
もっと深刻なのは大災害発生で現場へ向かう防災ヘリや消防ヘリ、取材ヘリなどが集中し、やっと離着陸の許可が取れたとして着陸できても給油待ちに2時間と言うようなひどいこともありました。
せめて救助用の公的ヘリには優先的に給油出来れば良いのですが、取材ヘリも商売ですからそうはいかないということも一概に否定できないようで、結果到着順と言うことで落ち着いたようですが、その到着順すら確かなものでもなさそうです。
その点自衛隊は自己完結組織で、燃料、飯、寝るところと心配は無いようですがうらやましい限りです。
救助の公的ヘリとは言ってもすべて自分で何とか解決するしかなさそうなのが情けない限りです。
自滅への道を歩む陸自ヘリ部隊??

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191022-00010001-jindepth-pol&p=1
自滅への道を歩む陸自ヘリ部隊と言うかなり衝撃的な記事がヤフーニュースに出ていましたので今日はその記事を取り上げます。
記事の概要は戦闘ヘリ部隊と観測ヘリがほとんど壊滅状態で、再建のめどがなく、記事の印象としては陸自ヘリ部隊全体が自滅すると警告しているように取れます。
ではどのような方向へ進むべきかと言うとこの点はあまり明確な方向性が書かれていないようです。
OH6に代わる川崎が開発したOH1は三菱が開発したエンジンを積んでいて、これに大改修が必要な不具合が出て36機製造したうち今は2機しか飛んでいないようです。
このエンジンの回収に50億円程度と10年もの時間がかかりそうですが、これではほぼOH1は寿命が尽きたと言えそうです。
OH1は弾着偵察用と連絡機、訓練機として使用していたのですが、新しい偵察機の開発に軽攻撃用に転用可能な性能を狙ったようで練習機にも連絡機にも軽攻撃にも使えない中途半端な機体に仕上がり、しかもエンジンその他の大きな欠陥が露呈してほぼ廃棄するしかないと思いますが、多額の国税を突っ込んだ関係で一挙に廃棄とは言えないのでしょう。
攻撃機は世界の実践の戦争の場面で次ぎ次とミサイルで落とされる事態が露呈し、新しいコンセプトの攻撃機が開発されるまでは新規導入を控えて、様子見が正しい判断でしょうからSH64は13機で打ち切ったことは正解でしょう。
輸送用ヘリはCD47は継続使用しUH1はOH1で失敗した国産をあきらめ手堅くて安価なベル412改に決めたことはよかったのではないでしょうか。
当分の間は離島防衛用に導入するオスプレイに全力投球し、UH1をベル412に更新しながら、要員の継続育成に努めながら時期ヘリやSH60後継機の導入に備えるべきでしょう。
自滅への道を歩むととらえるのではなく、軍用ヘリの転換時期の当たって導入機の失敗をなるべく早く清算して次の世代に備えるべきでしょう。
ドクターヘリ 急患を吊上げるために、、、、

トヨタ、日産、本田などの最新の車に装備され、事故の衝撃で自動的にドクターヘリの出動を要請するというD-CALL-NETと言うシステムをいまだにすぐにでも実現可能と宣伝されているようですので、このようなシステムの要請に応じて現場へ飛ぶドクターヘリにはどのような改善が必要か装備面に限って検討します。
写真は空自の救難ヘリに装備されている救助用のホイストで、民間用にはあまりないのですが2つのホイストが装備されています。
もちろん同時に二つのホイストを使うとワイヤーが絡まって吊上げ吊り下げに危険がありそうですから、やはり故障に備えるとことで、何時間も飛んで脱出したパイロットを救助しようとして、ホイストが故障していたらしゃれにはならないのでさすが2機装備しているようです。
日本国内でホイストで救助を行うヘリは一番小型でもドクターヘリに使用されているBK117やEC135程度の中型機ですがこの場合は座席が取り外してあり、畳1畳か半畳程度の空きスペースがないと安全に吊上げ吊り下げが出来なと言えるでしょう。
ほとんどの場合はベル412程度以上のヘリで自衛隊はSH61でこれはほぼ332や225と同程度の大型機で吊上げた患者と救助隊員がヘリに乗り込むスペースが確保されています。
一方、現在のドクターヘリはストレチャーとドクターナースの席と医療器材などのスペースが取られていて、ホイストが機外に装備できたとしても、とても患者と救助隊員を機内に収容するスペースがなく、少なくとも412かAW139程度のヘリでないと対応は不可能でしょう。
ヘリが長時間ホバリングをしてホイストで救助するには、性能的に長時間のホバリングをするだけの十分な余剰馬力が必要で、今のドクターヘリの機種でスペースが取れたとしても、ホイストを装備して、救助隊員を追加して搭乗させることは不可能で、より大型機への変更が必要となります。
135レベルのヘリから139,412程度のヘリへ大型化するとなると、費用面ではおおむね現在の2億円から、1.5倍から2倍となり年間4億円程度は覚悟する必要があります。
ヘリが大型化すると、格納庫やランデブーポイントが大型機に十分対応できる大きさや、騒音に対する配慮も必要で着陸場所として付けない場所が出てくることでしょう。
様々な難問を解決することが出来たとしても、今回の落下事故で証明されたように、救助用のホイストの操作や救助に当たる救助隊員の専門的な技術や日常の訓練を考えると、このリスクが高い危険な役割をドクターヘリ関係者のだれが行うかと言う大きな問題があります。
まさか整備士やドクターナースが片手間にできるような技ではありませんし、ナースの役割と救助の役割の二つをこなすパラメデイックと言う職種の専門家を育てるには相当困難を伴いますので一朝一夕には実現は無理でしょう。
そうすると降下する救助隊員は消防や防災隊員から派遣を受けて、別に乗せるということで対応できるとしても、ホイストをコントロールするオペレーターは整備士ドクターナースとすることはかなりの無理がありそうです。
D-CALL-NETを普及し、ドクターヘリで吊上げて救助しろと言う団体や自動車メーカーは今日取り上げた改善点の一つだけでも、どう解決するのかぐらいは具体策を挙げるべきでしょう。
ドクターヘリへの無知で過大な要求がドクターヘリによる犠牲者を出すという懸念が、今回の東京消防の落下事故と同じ線上にあるのですが、金は出さない、安全性の検討もしない、ただホイストで助けに来いとはあまりにあほと言うしかないでしょう。