韓国のドクターヘリ??就航
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/09/07/2019090780006.html
https://www.youtube.com/watch?v=wkPdnz3Buf4
私がドクターヘリのパイロットとして豊岡病院に勤務していた10年近く前、韓国のドクターが救急医療の研修、特にドクターヘリを勉強しに来ていましたので、その後どうなったか少し気にしていました。
昨日、読者の方から、韓国に7番目か8番目のドクターヘリが就航したというニュース記事とYouTubeの動画を紹介していただきましたので少し感想を書いてみます。
ドクターの研修ではなくて、中国、香港、中東などから、政府や行政の担当者、医師、看護師などが見学に来たことはかなりあり、かの国では日本のドクターヘリと言うものを認識していて、将来的に導入することを目指していたのでしょう。
紹介していただいた韓国の救急用ヘリは、言わるゆる医療搬送用ヘリでドクターヘリとは似て非なるものです。
ドクターヘリは事故や急病の重症患者の救急現場へ飛んで、いち早く救命目的の初期治療を施して、救命率を向上したり、後遺症の軽減を図る目的で飛んでいます。
この韓国の医療用ヘリは最新鋭の大型のAS225でおおむね20億円以上、総重量9トン、25名も乗れるヘリですが、機内にはほとんど医療用の敷材が搭載されておらず、搬送送り出す病院で患者に必要な医療機器を装備するようです。
また9トンもの大型ヘリは学校のグランド程度の広さでは十分と言えず、救急搬送はとても無理で、あらかじめ決められている、大病院間の搬送程度にしか使えないのが実情でしょう。
またヘリの待機場所、配置場所は病院では難しく、空港などになりますから、出動要請から実際に患者を運ぶまでは30分以上かかることが予想され、救急医療には向かないでしょうから、あらかじめ予定された患者の大病院間の搬送と言うことになります。
救急現場への出動に対応することは難しく、病院間搬送だけなら出動回数が限られて、機体価格や変動費用など、パイロット2名制や医師看護師を待機させることなら大変な経費が掛かりすぎ、経済的合理性は無いでしょう。
このような状況からさらに言えることは、多くの見学者が来た中東、中国、香港などの国では国民の医療保険が必ずしも充実しておらず、いずれの国でもドクターヘリなど医療用ヘリを導入しても、対象者が日本のように国民誰でも対応と言うことではなく、ヘリの費用を支払える富裕層や党幹部要人に限ることしかできないようですので、出動回数が大きく落ち込むことになり、経済合理性がさらに下がります。
韓国のこのAS225はたぶん送電線建設に使用されていたのが仕事がなくなって、医療用に転用したというような事情があったのでしょうか、それでなけれがとても税金で負担したり保険でも相当無理がありそうです。
出動回数と運航経費を普通に考えて、一回当たりの運航経費は数千万円はかかりそうで、日本のドクターヘリが非常に出動回数が少ない県で100万円以下、豊岡など1000回出動すると20万円から30万円と救急車の2,3倍程度以下と大変経済合理性の高い中で運航しています。
やはり韓国は破綻しそうです。
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