D-CALLNETの欠陥、、、、、







 日経styleが大のお得意様の自動車業界の提灯記事を書いていますので、いつものことですがD-CALLNETの欠点を書いておきます。

 まずD-CALLNETの効果で救命されることが本当にあるのかという点です。
インタビューでも正直に言っていますが導入以来5年にもなりますが実際に出動した例が数件あるのみで、救命できたかどうかは答えていません。

 交通事故の死亡者のうちドライバーや同乗者は2割5分で犠牲者は歩行者などが多いようです。

 しかものその死亡者のうち、目撃されないで人知れず谷底へ落ちた自損事故や海に飛び込む例は、大変少なくて、このシステムが必要な事例がいかに少ないかを証明していますので、議論の余地はないでしょう。

 また今の携帯電話網が発達しているように見えますが、残念ながら峠道の谷底や海底では携帯電話が通じないケースがあるので、ドクターヘリは飛んできません。

 ドクターヘリ基地のうち、この制度の導入に同意しているところには、IPADの端末が置かれていて、事故車が発する情報が入ることになっていますが、実際はD-CALLNETのオペレーターが消防へ出動依頼をすることでドクターヘリが飛ぶかどうかを決めざるを得ないので自動的にヘリが離陸するという体制にはなっていないようです。

 導入以来数件しか救助要請の自動発信が行われていないので、各ドクターヘリの基地の端末はほこりをかぶっているようです。

 航空機にはこれと同じようなもので、ELTというものが搭載されていて、D-CALLNETもこれを参考にして、発展させたのでしょうけれども、航空機が墜落すると100%救急救命が必要な事と、目撃が難しいということですし、しかも電話回線ではなく、衛星通信で事故は自動発信されます。

 この自動車用の機器はナビ設定や、走行地域の観光情報やグルメ情報などの提供や車の整備状況の通報などドクターヘリ以外の多くの機能があるのですから、飛んでこないドクターヘリを目玉に売り込むことなど必要ないと思うのですが、なぜかしら詐欺商法のようなドクターヘリばかりを売り込んでいます。

 ドクターヘリが消防機関や医療機関以外の情報のみで飛ぶことを認めるには、時期尚早で、もともとこの制度の仮発進はデータの収集が目的であるべきで、5年で数件なら即中止でしょう。

 GPSの位置情報のみで発進することは足の短いホバリング性能が十分でない、ホイスト機能がないドクターヘリには無理難題であり、もしどうしてもヘリを飛ばすなら防災へりか警察のへりでしょう。

 ただ防災へりや警察ヘリに飛んでくれと依頼しても、パトカーが探しに行くのが関の山でしょう。

 夢のようなシステムには落とし穴があることは、提灯記事には書かないということなのでしょう。

 

 

 


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bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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