ドローンに人は乗れない???



 安価なドローンが世界的に普及し、実機のヘリのシエアーを大きく奪い、ドローンを発展させて人が乗れるような夢の空飛ぶ自動車ともいえるようなものがあたかも簡単に実現しそうな様子です。

 すでに実用化されたようなニュースも一部で流れていますが、すぐに壁に当たってそう簡単には実現しないでしょう。

 車の自動運転の開発を見ればよく分かるように、想定しないような不具合が出て死亡事故が起こり、開発が行き詰まっているような様相を見せています。

 定期航空に使われている航空機は相当な部分が自動化されていて、その部分部分をつなぎ合わせれば、今でも無人航空機が飛び回るシステムを実用化し、へたくそなパイロットが起こす事故をゼロとするべく研究はなされているようですが実現のめどは立っていません。

 ましておもちゃが発展したドローンを人が乗れるように今のヘリコプターの安全基準や耐空性を備えるには、現在のヘリコプターを小型化するほうがより安全というレベルでしょう。

 現在の実機のヘリに代わって空撮をしたり、数キロの物資を10キロ程度運んで自動着陸するようなニーズにこたえることは可能でしょうが、それに人が乗って飛行の安全を保障し、そのドローンが通過する地上の人や施設に墜落による被害を出さないようにすることは、途方もない対策が必要となるでしょう。

 例えばドローンのローターを4基より8基、8基より16基装備すればローターが1基の従来のヘリよりはるかに安全だという意見もあるようですが、残念ながら、固定ピッチの回転数で出力を制御する方式は、ピッチ角度を変えるシングルローターの空力的な性能にははるかに劣っていることでしょうし、各々の信頼性などはとても実機に及ばないことでしょう。

 固定ピッチはオートローテーションによる緊急着陸はできませんし、故障したローターを抱えたドローンのコントロール性能の低下がどの程度大きいか、またその場合の速度限界がどの程度落ちるかなど、実用化のための多くの関門があるでしょう。

 電動ドローンで手軽な空飛ぶ車などというキャッチフレーズはやはり、まだまだ夢の世界で、試作機1機や2機が10分20分くらい飛んだだけではとても実用化を期待することは無理でしょう。

 既存の航空機やヘリコプターが多くの犠牲者を出しながら、苦難の道を歩んだ同じ歴史をたどってやっと実用化にこぎつけるか、おもちゃのまま終わるか、時間が答えを出すでしょうけれども、その時間はそう簡単に短縮はできないでしょう。
スポンサーサイト



プロフィール

bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
04 | 2019/05 | 06
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
ジャンルランキング
[ジャンルランキング]
その他
6位
ジャンルランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
その他
6位
サブジャンルランキングを見る>>
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

訪問者数
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR