やはり 年寄りの仕事なのか ドクターヘリパイロット、、、
いろいろと種類のあるパイロットの仕事の中でも、ドクターヘリパイロットはかなり特殊な仕事であまり良い仕事とは言えないように思います。
テレビドラマで取り上げられて、ヘリのパイロットの中でもかなり注目度が高く、人気があるように見えましたが、業界の中でも、どちらかと言えばマイナーな仕事です。
一番の理由は誰でもパイロットになるのはやはり、飛びたいという気持ちが強いのですが、ドクターヘリパイロットは勤務時間が長いのに飛ばないということがあります。
同じような仕事である防災ヘリは、実働以外に搭乗する救助隊員の訓練をのため年間300時間程度は飛行しますので、普通、防災ヘリを担当するパイロットは200時間程度以上は飛ぶことができます。
ドクターヘリのパイロットは勤務する地域にもよりますが、全国を平均すると年間500回出動で飛行時間は250時間程度、これを2人のパイロットで分けると125時間程度となります。
これより飛行時間が少ないと思われるのは、テレビなどのニュース取材のパイロットで最近はドローンに空撮を取られて、地方になると月5時間程度しか飛べないパイロットは多数います。
月間年間の飛行時間が少ないのにある程度の熟練性を求められるのでどうしても引退前の高齢パイロットがドクターヘリや防災ヘリを担当することが多くなりますが、最近は絶対数が足りないので若手もドクターヘリや防災ヘリに乗らざるを得ないようになっているようです。
そうなるとヘリパイロットになったが最後、引退まで年間200時間以下の勤務状態が続くことになり、技量の向上は望めず、給料は安いまま年老いていくことになります。
自衛隊や海上保安庁のヘリパイロットは年間予算で飛行時間が決まり、一線パイロットととして勤務している限りは年間300時間程度は飛べそうです。
片や定期便のパイロットは普通に年間500時間は飛ぶようですし、多ければ700,800時間も夢ではなく、当然給料も多くなります。
私が30代40代のころには原発関連の送電線工事が全国的に展開し、物資輸送を担当する幸運に恵まれたヘリパイロットは普通に年間500時間程度は飛行でき、自分の最高は750時間を超えたことがありました。
今の時代は、ヘリパイロットが飛べるような業種はほとんどなく、飛ばない仕事ばかりが集中していて、何のためにパイロットになったのかと嘆くような状態で、ライセンスを取っても若いころはほとんど飛べる仕事はなく、CSや運航管理の仕事で薄給に泣くということになります。
また運よく飛べるような仕事に就いたとしても、年はすでに40代に近く、飛行経験は増えず、技量は上がらず、気が付いたら5000時間も飛べないで引退となりそうです。
民間のヘリ業界がこのような状態から改善される見込みはほとんどありませんので、必要な熟練パイロットは自衛隊OBを当てにするしかありませんので、純民間のヘリパイロットが育っていく過程はほぼ絶望となるでしょう。
となると、どうも防災ヘリやドクターヘリしか有望な仕事がない民間ヘリ業界はますます衰退していくことは避けられず、このことがパイロットの育成もできないという最悪の悪循環がすでに起きているといえるでしょう。
その点、定期航空業界は副操縦士制度で若手の育成には困ることはありませんので、やる気と能力ある人材がパイロットを志望しても裏切られることはなさそうです。
飛べないパイロットがごろごろしているという状態はあまりに悲惨で見るに堪えない状態なのですが、なす術はないようです。
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