ヘリパイロット着陸パス角の判定、、、、




 昨日の記事ではヘリの着陸テクニックでパス角(進入角度)を最終200メートルからは絶対に変えない事が大切だと書きました。

 私は自分が長く飛んでマスターして来た事が他のパイロットも普通に出来る物として、昨日は書いてしまっていましたが、2,3件の書き込みを読ませてもらって、昨日の記事が不親切であったと思い直しました。

 さて航空機が飛行場やヘリポートに進入していくときは常に一定の角度である事が望ましく、一回一回違っていたら、滑走路やヘリポートに激突したり、高すぎてしまうとまた落とされると言う悲惨な結果が待っています。

 ヘリや飛行機が進入角度の高低を判定する場合、目視によるだけでは判定が大変難しく、普通、飛行機の場合はILS(計器進入方式)のグライドパス計器が高いか低いかを常に指示してくれますし、有視界飛行でも少し気の効いた飛行場ならPAPIと言う光の閃光によって、低いか高いかをどんな馬鹿なパイロットでも常時知る事ができます。

 ヘリの場合は普通進入の角度は6度とか8度、ステープアプローチ(深くて遅いアプローチ)12度とか決めて、基本的な訓練で何回も訓練し見え方をマスターすることになっています。

 しかし、今進入している角度が正しいかどうかを示す計器は無く、定見目視のみによって判定しますので、そのために基本的なパターンを地図上で決め、800メートルの位置で最終旋回で直線上に乗せたときの高度が300フィートなら6度、同じ位置で400フィートなら8度 600フィートなら12度と基本的な角度をマスターします。

 この800メートルの地点上空での高度によって決めたら、一直線状に進入すれば正しいパス角に乗っていますが、途中で上に行ったり下に行けば当然角度が変わるのですが、新米や下手なパイロットは角度が変わってしまってもわからない事があり、しかも最終的な場所へ近ずくに従って小さな高度のずれは角度とすれば大きなずれとなります。

 もうひとつ判定を困難にする要素には、ヘリポート面と進入して来る経路が同じ標高で同じように水平になっているかと言う事があり、たとへな屋上へリポートで着陸面が50メートルなどと、地表から大きく離れていると進入角度の判定はさらに難しくなります。

 つまり下手なパイロット、未熟なパイロットは自分が飛ぶべき進入角を決めるにさいして、判定する能力がない、あるいは足りないとなれば、修正が出来ない、高いか低いかわからないと言う大変危険な飛行をすることになりかねません。

 高いか低いかによって、速度のコントロールとパワーのコントロールを適切に行わないと秦野の墜落が待っています。

 さらにヘリのパオロットはヘリポートの進入に際して最終進入の距離を任意に設定できますので、最終旋回に高度を何フィートにするか、そしてその高度では進入角度を6度にするか12度か、障害物が高いので20度にするか自分で決めて、それが自分の決めたコースより低いか高いかを修正するか、パワーコントロールや速度コントロールを加減するかを調整する必要があります。

 定期便のパイロットや小型機のパイロットはILSやPAPIが正しいコースを指示してくれますので同じ親友が出来ますし、飛行場が空母や断崖絶壁になっている事は非常にまれにしかありません。

 このようにヘリの安全確実な着陸にはパイロットの熟練度が大変影響し、特に屋上ヘリポートや障害物に囲まれたヘリポートの場合は進入方法そのものがかなり高度なテクニックが必要で、1000時間の経験ならいつ墜落しても不思議ではありません。

 定期便のパイロットがまれに旋回進入などでILSを使わないで有視界で目視で着陸する場合がありますが、通常ILSで数多く着陸しているので角度を体感で覚えていることと、PAPIだけは殆どの飛行場に整備されていて、高すぎたり低すぎたりならないようになっています。

 と言うことでヘリパイロットは飛行機のパイロットよりは少し難しいことを求められている実態があり、この事は一般には殆ど理解されていないようです。

 少しでもこのようなことを理解するなら、日本国中に屋上へリポートをあれほどめったやたらに作れないはずですし、簡易のPAPIを着けようか程度の頭は働くと思うのですが、殆ど裸同然の無防備のようですので、危険が一杯と言うところでしょうか。

 ヘリパイロットは飛行場なら誰でも着陸できますが、着陸する場所は千差万別危険が一杯です。

 とここまで書いて、棒大手のジャンボの教官操縦士OBがジェットレンジャーで飛行場に着陸しようとして管制とにぶつかりかけた例をふと思い出し、彼は一体どんなパイロットだったのか謎と言うことになります。

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プロフィール

bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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