ヘリコプターが突然雲に入って墜落するメカニズム、、、



 群馬県防災ヘリが山岳部で雲に突っ込んで墜落したらしいのですが、何故少し雲に入ったくらいで墜落してしまったのでしょうか。

 旅客機などは雲の中を自由に飛べるのに、計器飛行が可能なへりがいとも簡単に墜落するメカニズムを少しわかりやすく書いて見ます。

 今日本で飛んでいるヘリコプターのうち、計器飛行を認可されていない機種を含めて殆どすべてのヘリには、姿勢指示器がついていて、通常なら雲の中に入ってもその姿勢指示器で水平を保てば飛ぶ事が可能です。

 今回の事故を含めて、殆どのヘリは有視界飛行方式で飛んでいて、外界の景色を見て水平、上下、傾きなどを見て姿勢を判断し、制御して、エンジンの出力も変化させて、水平に飛んだり旋回したり、加速減速、上昇降下します。

 今回のように山岳地帯の稜線のある登山道など激しく変化するラインに沿って飛ぶには常に姿勢を変化させながら飛ぶことになります。

 途中に雲やガスがあって、登山道に沿う飛行ルートに被っている時はある程度先を見越して避けるのですが、惰性などで雲をかすめたり、場合によっては完全に雲中となってしまう場合があります。

 慎重に操作する場合は十分に速度を落として、かすめながら、登山道の視認と兼ね合いながら飛びますが、速度があったり、場合によってはは雲やガスが動く場合もあり、不意に入ってしまう可能性もあります。

 任務によって、雲やガスに入りそうな状況でも飛行を継続する必要がある場合には、速度を十分落としたり、万一入ってしまう恐れがあるなら、常に安全に逃げる方向を確認しながら飛ぶことになります。

 完全に雲に入ってしまったら、安全な方向へ旋回しながら姿勢の変化をごくゆっくりとなるように安定させ、姿勢指示器とコンパスでまっすぐに回避方向へ飛ぶことになります。

 この状況になって、墜落するか安全に雲の外へ回避できるかの分かれ目が、姿勢指示器の指示と自分の体感が一致しているかどうかが決め手となります。

 ここが一番肝心なところなのですが、突然まったく外界の視界が遮断された場合、人間の感覚体感がヘリの実際の水平や旋回、上昇降下などと一致しなくなる、バーテイゴまたはそれに近い状況となる可能性が高く、瞬間的に、計器指示と体感の違いに遭遇して姿勢をコントロールできなくなって真っ逆さまとなる大変怖い状況に入ります。

 この場合、外界の視界が完全に遮断されていなくても、パイロット自身の視認している部分だけが遮断されていて、ごく一部分は見えている状況でもパイロットが見ていない、見る余裕がなければ同じ結果となります。

 
 ヘリがいきなり視界を失った場合に、パイロットはどうしても下方向を見たがり、チンバブルと言う足元下の風防を見すぎ、姿勢指示器と2箇所しか見れなくなる場合が多く、真上方向などに姿勢確認のレファレンスがある場合もあるのですが、パニックに陥ったパイロットには見る余裕はないでしょう。

 またパニックで頭を激しく動かして、方々を見ようとするとバーテイゴに入りやすいと言われています。

 大昔 遊園地にあったビックリハウスの壁の傾いた部屋の中で、まっすぐに立っていられないような経験があればイメージしやすいと思います。

 このように急に雲に入った時の操縦法は訓練するには危険すぎて、実機では出来ませんので、パイロットはこのような状況になったらどうするかを考えておくべきでしょうし、このような危険に近づくフライトはどう飛ぶかを腹案をもっておくべきでしょう。

 有視界飛行法と計器飛行法の境目で飛ぶ任務がある防災ヘリなどのパイロットはこのような能力を十分に着ける必要があるのですが、この能力はいわゆる計器飛行証明が許容する飛行状態とはまったく別物で、少し間違っただけで今回のような事故に直結します。

 
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bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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