ドクターヘリ 不時着水に備えは?
ヘリコプターが水上、海上に不時着する事故は非常にまれですが、日本でも何回か起きていて、死者が出る確率が大変高いようです。
マンハッタンの奇跡で有名なDC9型機の不時着水は奇跡的に全員救出されましたが、これは固定翼機が大きな翼を浮きになり、かなり長時間浮いている事があります。
ヘリの場合は洋上飛行する際につける緊急用フロートがあり、着水前に上手く作動させて膨らませ、ソフトランディングすると、余裕を持って機外に脱出できそうですが、機体構造上、重心位置が高く、少しの波で転覆する可能性が高いでしょう。
一旦転覆すると一挙に機内が浸水し、上手く脱出できないとすぐに水死してしまいます。
3月のニューヨークのヘリ着水事故の場合、乗客5名が死亡し、パイロットだけが脱出して助かった事故がありましたが、この事故の場合、乗客が身を乗り出して写真撮影するために腰につけていた、モンキーバンドという延長式の安全ベルトのフックを外せなかったため、脱出できずに水死したようでした。
さて洋上を飛行するドクターヘリが、海上に不時着水した場合、医療クルーやストレッチャーに固定されている患者さんが上手く機外に脱出し、機内に搭載されている救命ボートを取り出して膨らませて、うまく乗り移る事が出来るかが、命の分かれ目になります。
医療クルーと運航クルーは洋上を飛行する場合にはあらかじめライフジャケットを身に着けている事が大変望ましく、着水してから着けるとなるとなると、狭い機内着用する事は大変難しいでしょうし、時間的にも余裕はないでしょう。
もちろん身に着けていても、着水後に機外に出てから膨らせないと、機内で膨らすと身動きが取れなくなるでしょう。
一番難しいのはやはり、患者さんの搬出、救命ボートへの移動ですが、患者さんはストレッチャーへの固定のため救命ジャケットは着ける事は難しいでしょうし、普通は胴体後方からの搭載搬出をしていますので、着水後にストレッチャーごと動かす事は難しそうです。
一番可能性が高い救助法は、洋上飛行の場合は症状に関わらず、バックボードと言う固定板に載せてストレッチャーに固定する方法が良いのではないでしょうか。
緊急脱出の場合、ドアーを放出して、ストレッチャーのベルトをはずして、バックボードに載せたまま機外へ運ぶ事が一番確実に出来そうです。
このような手順や脱出方法はこれが確実と言うような生易しいものではありませんが、それでも洋上飛行には必ず手順の確認や、心の準備をしておく事が大変重要で、瞬間的な判断や運で命の分かれ道となりそうです。
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