大災害に発展した山林火災、、、、
東北地方で発生した複数の山林火災は強い風にあおられるなどして、大きな被害になっていて、岩手県釜石市などではいまだに鎮火に至っていないところもあるようです。
ヘリコプターに取って山林火災消火作業はホイストによる救助作業と同等に技術的には難しい作業で、熟練者と初心者では大きな差が出る飛行技術です。
つまり下手糞は何回散水しても火元をはずせばいつまで経っても鎮火しませんし、給水撒布の場面で時間がかかりすぎると火点に散水を短時間に集中できません。
空中から投下する高度が高すぎれば命中しませんし、低すぎれば火力の熱で危険性が高くなります。
ホバリングして投下すると一点に集中して撒布できますが、火点をはずせばまったく消えませんし、速度を持って落とせば帯状に落ちますが薄くなるので消えにくくなります。
つまりパイロットの熟練性と技術的なレベルがそのまま消火効率に出ると言う厳しい作業となります。
さらに複数の機体を集中して一点ずつ鎮火させていくようなチームワークがないと、あっちもこっちもバラバラ消していては、いったん消えたように見えても時間が経てばまた、火勢がぶり返していたちごっことなります。
つまり汲んだ水をただ落とせば良いというような、簡単な作業ではなくパイロットの高度な技術と、消火作業の指揮監督命令系統が大変大切となりますが、各県防災、自衛隊、消防庁、政令都市消防ヘリがごちゃまぜの機種、技量、搭載量、給油、給水体制などバラバラの所帯でうまくいくのかと心配になります。
話は少し飛びますが、私がまったく経験のないヘリ消火のことをあれこれ言えるのは、民間ヘリには目的が違うのですがまったく同じ種類の飛行作業があるからです。
それは緑化作業と言う名の作業なのですが、急斜面の山林の一部が崩壊した場所へ、種子類と肥料そして、粘着剤を水で調合した薬液を1Ha 30トン程度撒布する作業です。
206Bだと1回当たり400キロ程度をバケットに入れて吊り下げ、消火バケットと同じように操縦桿のボタンで下部のドアーが開くと2秒か3秒で落ちていきます。
1Haおおむね100回くらいの回数できれいに塗り絵をしていくのですが、速度が遅いと丸く落ち、早いと長い帯状となり、高いと狙ったところをはずしやすく、低いと危険という事になります。
急斜面の崩壊地ですから、低い速度で落とすと斜面にうまく典着せずどこまでも落ちていきますから、40ノットくらいで斜面に向かって突進し、30メートルくらい手前で機首を急激に起こしてブレーキをかけると同時にバケットを開いてやります。
そうするとヘリは急上昇しますがバケットの薬液はまっすぐに飛んでいって急斜面に速度を持ってぶつかってうまく広がります。
消火ヘリは上から水を落としていますが、緑化ヘリは、狙った場所へぶつけると言う、同じような作業でも命中精度が違うと言うことになります。
2階から目薬ではチヌークでも消火効果は相当落ちますが、さりとて、あまり低くもいけないということで、パイロットの腕の見せ所です。
ということで緑化作業は自分にとって大変楽しいフライトだったのですが、作業が終盤になって、うまく均一に塗れていないと後が無くなり、外すたびに焦りが出てきます。
作業が完了し、完成検査のために写真を撮るのですが、上手下手が一目瞭然となりつらいものがあります。
スポンサーサイト