パイロット 飛行中に居眠り、、、、





 台湾で飛行中の旅客機で機長が居眠りをし、問題となっているようです。

 一年間に渡って副操縦士に撮影をさせ、報告しなかった副操縦士も停職処分にしたそうですから、台湾はすごいことをするものです。

 飛行中にパイロットが居眠りをしないということはありえない話で、プロのパイロットなら、ヘリコプターを含めてほとんど全員有罪ではないかと想像します。

 自動操縦が完備し、正副2名パイロット制の旅客機ならほとんど全員が経験していると思いますし、交代で寝ていたら何の問題もないと思う私は異状かもしれませんが、、、

 ヘリコプターの操縦士はほとんど一人操縦で、しかも自動操縦は完備していない機種が多く、また長時間、水平直線飛行で巡航するフライトもそう多くないので、ヘリパイロットは居眠りしないと言うと実はそうではないと思います。

 ヘリコプターのパイロットが居眠りする現象はアメリカなどでも問題になっていて、それはマイクロスリープと言われる現象で一瞬意識が飛ぶような居眠りに陥ることが良くあるそうです。

 その原因はヘリ特有の単調な騒音と一定の振動が続くことが居眠りを誘うそうですが、実はそれ以上に大きな理由は、風防を通して見る視界の上の部分をローターが回転しながら光をチラつかせることだそうです。

 私は若いころから、一日中、飛行し続けるような、送電線パトロールや、物資輸送、そして木材搬出などの仕事を長くやっていましたので、ヘリ人生の半分は眠気との戦いであったと言っても過言ではないでしょう。

 一日8時間勤務で6時間7時間飛ぶためには、昼ごはんとトイレ以外はほとんど飛んでいるという状態ですから、人間だったら、眠気は模様しますし、背中がかゆくなったりおならをしたりします。

 旅客機のように自動操縦で計器を見ていれば済むようなフライトはほとんどなく、極端な場合 (これも長く続けましたが)、1時間に30往復して30メートルの間伐する植林地から、木材を引き抜いて来て、土場へ集積するようなフライトが普通にありました。

 吊りあげ、吊り卸しの時間を含めて、片道1分ですがそれでもよくい眠りしながら飛んだものでした。

 往路復路の途中、ほとんど操縦かんを動かさない一瞬の安定飛行の隙を見て5秒ほどの居眠りを楽しんだものでした。

 特に木材を吊りに入る往路はカラ荷でヘリが軽々と飛びますので、つい5秒の楽しく気持ちよい居眠りがふと10秒になってしまうと、山の作業員から無線で 「機長どこへ行くんですか」 起こされたものです。

 一日に7時間も飛ぶ場合、どのように気持ちをコントロールしても全飛行時間に渡って眠気は防ぐことは出来ませんし、緊張状態の維持など絶対に不可能ですので、あらかじめ緊張する場面とそうでない場面をうまく切り分けて、全体としてうまく操縦していくしか不可能でしょう。

 自分自身のコントロールはある程度のやり方を身につけるほか、横に乗る整備士と色々な話をしながら飛ぶ方法や、飴玉を舐めたり、ガムをかんだり、給油中はタバコを吸ったりと、ヘリパイロットはいろいろな眠気防止方法を実行していました。

 誘導の整備士ももちろん眠くなりますから、相棒のH君は眠くなりだすといつもアンパンをかじりだしますので、自分はバイザーを降ろして顔を隠し、居眠りを悟られないようにしたものです。

 最高記録は3日間で21時間以上飛んだことが何回もありますが、寝るなとう言うほうが無理でしょう。
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公明党 新基準設定に協力、、、、





 ドクターヘリのパイロットの選定に公明党が主導して、新基準を決め、来年度4月より実施することと決めたようです。

 そしてそれに対して業界の代表者が感謝すると表明したようです。

 内容は予想通りで、主なものはパイロットの飛行経験時間を機長時間1000時間以上とし、安全運航に必要な訓練を実施するほか、一年に一度、定期的に訓練を実施すると言う内容だそうです。

 安全運航に必要な訓練の主たるものはやはり、数百箇所もあるランデブーポイントへの離着陸で、他の項目はほぼありえないでしょう。

 機長飛行時間が1000時間のヘリパイロットは総飛行時間は1300時間を越えていて、自衛隊出身のパイロットの場合はさらに副操縦士飛行時間が500時間以上ありますから、ほぼ2000時間以上という事になり、純民間出身のパイロットの1300時間程度のパイロットにどのような訓練をするのかという点がキーポイントとなりそうです。

 たとえばどこかの県でドクターヘリパイロットとして新人が入る場合、飛行経験が1300時間程度なら、数百あるランデブーポイントへの離着陸をすべて訓練で経験することが理想となりますが、それは不可能という事になります。

 現在、ランデブーポイントとして登録されている数百のうち、正確に測量し、基準を満たしていることを確認して航空局へ申請許可されているものは全体の10%も無いでしょう。

 なぜなら航空法によって救助事例は申請許可を必要とせず、パイロットの判断で離着陸が可能となっているからその手順を悪用しているからです。

 救助事例で許可を取ることなく、パイロットの判断で離着陸を実行している場所は、許可基準に合っているか、それとも非常に狭い場所なのか航空局は掌握していませんし、訓練で離着陸する場合は法的に許可が必要となっていて、ほとんどの場所は訓練できないと言うことになります。

 運航の安全に必要な訓練はどのようにして行なうのでしょうか。

 許可を申請したら基準に合わなくて許可が下りないという場所には離着陸しなければ良いのですが、それではドクターヘリ事業が成り立たないことは誰でも知っています。

 それとも訓練は、安全が十分に確認できている、許可を取った場所だけで十分という事でしょうか。

 もうひとつの課題は数百もあるランデブーポイントの所有者管理者はバラバラで、今まで訓練などほとんどしなかったのですが、訓練をすることに協力してくれるのでしょうか。

 また、運航の安全に必要な訓練を実施したかどうかは、どのようにして誰が判断するのでしょうか。

 実際に機長として飛び出すその日から着陸する場所は、許可を取っていない、未知の場所となるはずですので、2000時間を要求していたのですが、1000時間に規制緩和して、なおかつ未知の場所へ着陸を安全にできるのかと言う大きな疑問があるでしょう。

 現在の若いヘリパイロットの1000時間での離着陸経験はほとんど空港しか離着陸していないと思われますが、実態を調べれば場外離着陸の能力などすぐにわかることで、もしこのような規制緩和の話にまともなパイロットの管理者が入っていたら、違った結論になっていたような気がして仕方がありません。

 なにはともあれ、安全運航に必要な訓練を実施するということですから、今現在ドクターヘリが離着陸している場所への離着陸訓練程度は、法律がどうなっているかどうかにかかわらず、すぐにでも解禁するべきでしょう。

残して欲しい 古い機体、、、、





 
 世界一周のたびの途中、日本に立ち寄ったスイスの時計メーカーブライトリングのDC3が熊本、岩国、神戸、福島と飛び回っているようです。

 6月3日4日はエアーレースの会場を飛んでくれるそうですから、実物を見ることが出来そうです。

 日本では戦後、航空禁止の時代があったので、古い機体を飛べる状態で残すことは大変難しいようですが、それ以前に航空界は実用、儲け一点張りで文化が無いようです。

 日本で飛ぶゼロ戦はすべて、外国のものですし、日本の航空技術を育てた多くの機体は飛べない屍となって飾られているのはまだいいほうです。

 戦後の機体でも、初のジェット機T-1やYS11はぜひとも動態保存して欲しいものですが、航空法上も許されないようです。

 ヘリの世界の住民としては、国産と言えるかどうか微妙ですがKH4を残して欲しいものです。

 日本のヘリパイロットの大多数がこのヘリで農薬散布した歴史があるので、ぜひとも残して欲しかったのですが、飛べるものはニュージーランドやオーストラリアに輸出され多様です。

 自分が始めて空を飛んだのは、高校1年生の時で確か小牧空港から輸送航空団のC46に体験飛行で乗せてもらい、離陸後岐阜基地の周りをまわって小牧まで20分程度の遊覧飛行でした。

 そして最後のフライトは豊岡ドクターヘリで2011年の時ですので、50年近く飛び続けたということになります。

 エアーレースと言い、古典機のフライトと言い、世界に通用する航空機の開発と言い、なんとなく今一の日本が少し悔しい思いです。

AW609 民間型 オスプレイの近況、、、、





 イタリアのアグスタウエストランド社がベル社から開発権を譲り受けて、開発している民間型オスプレイAW609の事故のことなどが出ている記事を見つけましたので、今日はその件についての記事です。

 2015年にイタリアでテストフライト中にほぼ空中分解のようになって墜落しパイロット2名が亡くなるという最悪の事故を起こし、開発もやめてしまうのではないかと心配していました。

 このAW609はオスプレイを3分の一程度に縮小した様な、9人乗りの機体で巡航速度約500キロ、航続距離1500キロ程度の離島の救急患者の搬送にもってこいの機体と言えるでしょう。

 新聞社などが使用している小型ジョット機による遠方の取材、ヘリコプターによる近場の取材の両方を1機でこなせると言う性能を持っていますので日本では多くの有効な使用方法がありそうな機体と言えるので、デビューを待っている関係者も多いことでしょう。

 苦手な英文の記事ですので正確ではないかもしれませんが、降下中の最高速度試験で、293ノット、ほぼ550キロですが、ダッチロールに入ってしまい、回復できなくなって墜落したようです。

 前回までのテストでは285ノットまで確認されていたそうですが、2年前に抵抗を減らすために垂直尾翼を改修したことが影響したのではと書かれているようです。

 新造機の試験飛行では、マニュアルで制限する最高速度より5%プラス程度の超過速度までの操縦安全性を確認するでしょうから、ほんとに危険なテストフライトと言えるでしょう。

 今回の事故ではいきなりダッチロールに入って回復できなかったようですから、危険領域付近での操縦性の変化を緩やかにすることや、兆候から確実に回復できる様な操縦性を求めるような改修も必要となることでしょう。

 順調に開発が進んでいれば今年中には実用機がデリバリーされる予定でしたが、ここへ来て試験機の3号機目も組み立てが終わり、地上試験が始まっているようで、3年遅れぐらいで実用機が飛ぶところを見たいものです。

 オスプレイも同じように開発中には複数回大事故を起こしていますし、また同じような操縦特性を秘めている可能性もあり、やはり新しい機種の開発には危険が大きな伴うようです。

 日本と同じ程度の技術国家であるイタリアが果敢に新しい画期的な機種を開発することには大変うらやましく思うと共に、開発がぜひとも成功し、世界中でAW609が活躍することを大いに期待したいものです。

難しいか?ドクターヘリの着陸、、、




 ドクターヘリが飛び始めた15年程度前は、2000時間程度の飛行経験があればほぼ大丈夫、こなせるだろうとパイロットを選任しました。

 ヘリコプターのフライトの様々なフェイズで特有の危険性と、判断操作の難易度と言うものがあって、ドクターヘリの運航は民間ヘリの運航の中では下から数えたほうが早い程度の難易度と判定されていました。

 運航中の様々なフェイズの中で、着陸はやはり難しいほうで、危険性もあり現実的にも事故第一号が着陸中の事故になりました。

 ではドクターヘリの着陸にはどのような危険性があり、どのようなテクニックや判断が難しいのでしょう。

 根底にあるのはドクターヘリの運航がすべて時間的な制約を受けるということがあり、無駄にもたもたしていてはだめという事になりますが、危険を冒してまで早く着陸しろというような明らかなプレッシャーは無いでしょう。

 パイロットが安全に着陸できるかどうか判断する上で、重要な材料のうち一番はその場所が事前に調査されていて安全性が確認されているかどうかが重要となるでしょう。

 調査されたことが無く、誰も着陸したことがない場所なら、パイロットはよほど慎重に確認をする必要があります。

 地上で誰かがここに着陸しろと合図をしていても、進入経路に電線がないか、ローターやテールローターが障害物に接近しないか注意する必要があります。

 どこかで、ロンドンでは電線がすべて地中にあるので、どこにでも着陸できると言っていましたが、それを信じて隠れた電線にぶつかって墜落しても誰も褒めてくれませんので、最終的にはパイロットが確認する必要があります。まして電線が地中に無い日本ではなおさらです。

 狭い場所へ着陸するには障害物に当たらないようにすることも重要ですが、もっと基本的には、患者を収容して離陸しようと、パワーを入れたら上がれなかったなどと言うことも普通に起きます。

 進入中や離陸中に激しい砂塵が飛んで、洗濯物を汚したり、窓から砂塵が飛び込んで家中が砂だらけになったと叱られたり、うるさいと通報されたりしないような配慮も必要でしょう。

 ヘリコプターを接地させるときには、消防の誘導者が、なぜ誘導した場所へ着陸しないのだとクレームをつけることもありますし、傾斜で不安定になって地上共振を起こしたり、小さな石ころや切り株につまずいて3トンのヘリが横転する危険性もあります。

 学校などで散水して泥んこになった真ん中へ着陸すると、グランドをぐちゃぐちゃにしたと叱られることもありえるでしょう。

 着陸前には風がどちらの方向からどの程度の強さで吹いているか、息があるか、建物や地形の影響を受けていないかなどを瞬時に判断する必要がありますが、吹流しや旗など明瞭に判断できるものがないかも知れませんし、消防から無線で通報されてくる数値が正反対である可能性もあるでしょう。

 誘導する隊員は、原則風を背にして立つのですが、間違って逆かもしれませんし、パイロットは地形などのために逆方向の着陸を選択することもあるでしょう。

 着陸だけが難しいというわけではありませんが、パイロットはほとんど瞬間的にすべてを判断し、進入開始後新たな情報で修正を加えながら、安全確実に着陸するということになります。

ヘリパイロットの飛行時間、、、



 ヘリコプターのパイロットの選定において飛行経歴時間を問うようになったのはそれほど古いことではないと思います。

 昔は電力会社などが自社の社員を搭乗させて、送電線パトロールなどで飛ぶ必要があり、事故などが起きたのでパイロットの経験飛行時間を決めて運航会社に要求したのが始まりです。

 ドクターヘリが始まって2000時間の基準を設けたのは、安全性にかこつけて、小規模会社の参入を防ぐためですが、ヘリパイロットの飛行時間とは何かと言うことから決めないとだめだと言うことになります。

 もともと小型のものが多いヘリコプターは一人操縦の機種がほとんどで、パイロットの飛行時間はほぼ機長飛行時間と同じでしたので、いちいち飛行時間を区分けすることは無かったのですが、航空局がパイロットの飛行時間を詳しく分けて記録するように指導したことから、少し不具合が出て来ました。

 イギリスのウイリアム王子は海軍でのヘリコプターの1300時間の飛行経験で退役後民間会社で救急ヘリの副操縦士として勤務しているようです。

 王子の飛行経歴を想像するに、海軍ではパイロットの資格を取るために200時間程度の訓練を受け、資格を取った後は副操縦士としてたぶん800時間程度の経験の後、機長としての資格を取って300時間程度勤務していたように思います。

 その後民間会社に就職してから民間資格の取得のために100時間程度訓練を受け、ライセンス取得後は副操縦士として救急ヘリに乗っているようです。

 彼の飛行経歴から飛行時間の区分けを日本方式で現すと、同乗教育飛行時間が300時間、副操縦士飛行時間800時間、そして、機長時間が300時間となります。

 この飛行時間を日本の方式でカウントする場合、王子が海軍で乗っていたのはたぶんリンクスと言うイギリス製のヘリだと思いますが、このヘリの設計が一人乗り操縦である場合は副操縦士としての時間は認められませんので、800時間の飛行時間は経歴に入らないと言うことになります。

 さらに現在救急ヘリはMD902かEC135だと思いますがこのヘリも一人乗り操縦ですから飛行時間経歴にはカウントされないことになります。

 ということで王子の飛行経歴時間は300時間の機長時間と同乗教育時間300時間の計600時間のパイロットという事になります。

 600時間しか飛んでいないヘリパイロットは見習い副操縦士として救急ヘリに何年間にも渡って何千回も出動し、何千時間も飛んだとしても日本のドクターヘリの2000時間の飛行経験は満たさないことになります。

 日本で2人乗り操縦が必要な機種は民間ではBV107だけなので、ドクターヘリのEC135はじめ、どの機種に乗って、副操縦士のように飛んで飛行経験を積んでも、正式にはパイロットとしての飛行経歴に加算することが出来ないような制度となっています。

 しかし1000時間しか飛行経歴の無い、若い操縦士を副操縦士をかねて業務の見習いをしながら経験を積んで、5年後には晴れて機長として飛べるような制度はパイロット不足の今に時代にはぜひとも必要な制度でしょう。

 イギリスではそうやっているようですし、他の国でどのようにやっているか調査してきた人がいるようですが報告は無いようです。

 ドイツの1000時間パイロットなどこのような方式で経験を積ませて、飛行時間を稼ぐと共に現場に精通し、なおかつ適性や技量を十分に確認して晴れて機長として飛ばすようにしているとしか思えないのですがいかがでしょう。

 自衛隊も海上保安庁も県警ヘリやその他公的ヘリも人員を育成して、優秀な戦力を確保するにはこの方法しかないと思うのですが、民間のヘリパイにはなぜそれが出来ないのでしょうか。

 民間のヘリパイは1000時間さえあれば十分に要求をこなせる優秀な粒そろいという事ならば、もう少しは優遇してもよさそうですが、見たところそれほど優秀なのはどうもいないような気がします。

 さてどうしますか、、、

再び1000時間と2000時間の戦い ドクヘリパイロット、、




 団塊の世代が次々と引退し、ドクターヘリのパイロットに着ける新人がいなくなってきて、最小飛行経験を2000時間から1000時間に下げることがどうやら決まってしまっているようです。

 もともとドクターヘリが導入されるに当たり、パイロットの経験時間など何時間であろうと、法的なものが満たされ、安全確実に飛行できればそれで良かったと思います。

 航空法によって各社が決めなければならない運航規定がその基準を決めていて、飛行時間500時間以上、そして当該機種30時間以上が運送用操縦士の最低飛行経験時間です。

 法的な基準を守ればまったく問題は無いのですが、ドクターヘリの運航を安全確実にこなせるかどうかは、個人の持つ技量ですから、各社が訓練や審査担当が候補者を適切に訓練し、審査すれば良いと言うことになります。

 下手糞は1万時間でもだめでしょうし、上手なら700時間でもOKでしょう。

 なぜ2000時間に決めたかと言う理由の第一は、先行する大手3社が弱小会社のダンピング参入を防ぐためで、パイロット2000時間、予備機を持つこと、3年間無事故などと、非法的規制を補助金を負担する厚労省に決めさせたと言うことがささやかれています。

 新規参入弱小はどんな手を使っても、いったん受注すれば保護されますから必死で参入を果たしました。

 導入から15年過ぎて団塊の世代のパイロットの退職が相次ぎ、大手と言えども2000時間のパイロットはとても補充できなくなってきて、ここに来て1000時間に下げてくれと泣きついたようです。

 救急ヘリ大先進国のドイツでもパイロットは1000時間となっていると、誰かが調べてきて公表したことが免罪符のようですが、他の先進国、米英伊、スイスなどのことは何も言っていないようですから、たぶん1000時間以上であることは確かでしょう。

 イギリスのウイリアム王子は海軍で1300時間の飛行実績のあと、退役し、救急ヘリのパイロットとなったといわれていますが、民間で半年の訓練の後ライセンスを取り、副操縦士として常務していることは報道されています。

 つまり1300時間うちたぶん機長時間は300時間程度で、民間ライセンス取得訓練で100時間程度は飛び、さらに数年から5年程度は副操縦士として経験を積み、やっと機長に昇格でしょうから、2000時間程度にはなりますし、現場経験が5年もすることでしょう。

 ドイツの救急ヘリパイロットは1000時間だそうですが、それから副操縦士を何年するか良くわかりませんが、片や日本では1000時間の機長がドクターヘリを飛ばすことになりそうです。

 アメリカの場合はさらに経験の多い者が多いようですが、それは退役軍人のヘリパイロットが多くの救急ヘリを飛ばしているという事情があるようです。

 日本でのドクターヘリパイロットの要求経験時間をドイツに合わせて1000時間にするなら、ドイツの訓練体系も踏襲する必要がありますから、ウイリアム王寺の例は良い参考となるでしょう。

 欧米のヘリパイロットや訓練体系、制度などが日本に比較して特段進んでいるとは考えにくいのですが、もし進んでいると判断し、それに習うならば1000時間だけではなく、すべての体系を踏襲しなければ、とても危なくて、患者医療関係者は誰も乗れないでしょう。

 2000時間のパイロットがいなくなったから1000時間にし、国土面積比例で後50機いるから導入し、民間へり会社が繁栄し、救急医療に大いに貢献しよう、、、と言うように簡単にはいかないでしょう。

 もし欧米に良い制度実績があるなら運航関係者が行って調べてくるべきで、門外漢が行って都合の良い誤った情報を流すと大変なことになります。

 欧米まで行って調べてこなくても、国内にはちゃんとした実績もあるのですからまじめに相談してやれば良い答えが出ることでしょう。
 

CRM,仲良く和気あいあいと、、、




  陸上自衛隊の事故機のヴォイスレコーダーが22日に発見されたと言うニュースがすでに出ています。

 他のへりが断るほど天候が悪かったとか、山は霧で充満していたとか世間では言っていますが、まともなパイロットなら、これ以上簡単な飛行は無いと言うほど簡単な計器飛行進入方式において墜落しましたので、機体やエンジンの故障があるかないか、他に何かトラブルがあったどうかの決め手が見つかる可能性があります。

 私は自分がパイロットになる時から、一人乗りの航空機を志望していました。

 一応航空自衛隊のパイロットを目指してスタートしましたので、当時はF86がいよいよ終わって、F104が主流だった時代で、T33の学生の時にF4ファントムがアメリカから小牧へ初号機が空輸されてきて、着いたばかりの機体を見せてもらう機会がありました。

 当時から一人乗りの機種を希望していて、F4には乗りたくないと言う気持ちを漠然と持っていました。

 戦闘機乗りにはなれずにヘリへ変りましたが、ヘリはほとんど一人乗りだったので気持ちがずいぶんと楽でした。

 うまくいっても、死んでもすべて自分の責任という事が気に入っていましたし、考えれば人間関係から、二人操縦をうまくやっていけるかという大きな不安があったように思います。

 結果的には1万6千時間のヘリ操縦で、自分以外のパイロットが横に座っていた時間は5百時間程度で、ほとんど自分ひとりで好きなように飛んでいたので希望通りのパイロット人生でした。

 中型の204B以降は物資輸送が主で隣には整備士が乗るようにはなりましたが、彼らは操縦をすることが無く、責任部分がはっきり分かれていることにはなっていましたが、連携という事には、やはり馬が合う人と会わない人、楽しい人とそうでない人、うまい誘導や荷物の操作をする人とそうでない人などと、いろいろ気を使うこともあったと思います。

 連携がうまくいかないと、人を怪我させたり、ローターを木にぶつけたり、あわや墜落と言う場面もありますので、うまくいかない組み合わせは自然とどこかで配置転換などしてくれていたようです。

 自分からはこの人はだめだから降ろせといったことは無かったように思いますが、自然と去って行くと言うような感じでした。

 今回のパイロットの組み合わせは階級と年齢が逆転し、階級と正副パイロットの地位も逆転していますので、組み合わせとしてはあまり良くはないのですが、飛行経験や技量の関係も逆転していたかどうかも気になるところです。

 もうひとつはLR-2のパイロットがこの機種専業で配置されているとすれば、大変少ない人数で少ない機数を担当していますので、クルーの組み合わせが限られすぎていて、万一人間関係がうまく行かなくなった場合にまったく融通が利かなくなるという危険性があります。

 某大手エアーラインではボイスレコーダーの会話内容で人事管理をしていたと言ううわさがあったほど、コクピット内は良い空気ばかりではなかったようです。

 入社年次や期別、出身別、正副別や技量、飛行時間などによる地位でコクピット内が最悪の空気でやっていられないなどと言うようなこともずいぶんと聞いたものです。

 航空事故の原因は世の中で一般の人が思っているほど高級なものばかりではなく、至って人間臭いことが原因で墜落している例も多いようです。

 つい最近もブログに書いた記憶がありますが、パイロットが運航中一番危険な心理状態は、何かに対して激しい怒りを覚えた時であると言うことは自らの経験で良くわかっています。

 ボイスレコーダーには何が残っているかわかりませんが、公開できるような内容であると良いのですが。

コードブルー シーズン3は当たるか、、、





 コードブルードクターヘリ緊急発進が放送されたのは、私がドクターヘリに乗り出した10年ほど前になりますから時の経つのは本当に早いものです。

 好評のうちにシーズン2が放送され、今度は3回目という事で、経営不振のフジテレビの救世主になるか、柳の下に3匹目の泥鰌はいなかったという結果になるか見ものです。

 私自身はある時期までは、唯一大河ドラマを見ていましたが、今はまったく見なくなってしまいました。理由は面白くないからで、若いころ国民がこぞってみていた朝ドラも戦後の時代を描くばかりで見なくなってしまったことに通ずるものがあります。

 スポーツ番組もほとんど見ることはなくなりましたが、特に野球は新鮮味がまったく無くなってしまって興味がわくことは今後なさそうです。

 ニュース番組は梯子してみますがこれは、ニュース自体を知ることが目的ではなく、各局がニュースをどのように料理しているかを確認するためで、ニュース自体はネットで自分が知りたいものだけを読むことしています。

 さてコードブルーのことですが、シーズン1はちょうどドクターヘリに乗り出した時期でもあり、放送日の翌朝のドクターヘリ関係者のミーティングでいつも話題になっていたので見ていました。

 放送されたストーリーや医療行為についての批判や現実とドラマの違いなどが主な話題になっていたように思いますが、某ドクターヘリ基地の責任者の医師が監修していたということで大きな違和感を抱くことはあまり無かったように思います。

 ドラマが終了してしまったのは、毎回完結するドクターヘリの活動をモチーフにしたストーリ展開の内容が種切れになったからだと自分では思っていました。

 ですから今回7月から再スタートする1クール20週程度だと思いますが、果たして適当な出動症例や、展開を描けるかどうか大変難しいということは言えるでしょう。

 如何にドクターヘリが華々しい劇的な救命をすると言っても、長く活動しているとほぼ同じようなパターンに収束されてきて、50回も100回ものドラマのストーリーになるような出動は無いということでしょう。

 つまりドラマにならない地道な活動、救命医療を積み重ねることがドクターヘリの役目で、そのような世界を華々しいヘリコプターのフライトを取り込んで描いても、限度があると思います。

 つまりは脚本家の腕しだいですが、30回もやればほぼ限度に来ていると言えるでしょう。

 私たちがいつも現場で、楽しく冗談で話題にしていた、コードブルー吉本版なら30回は行けるでしょうけれども、フジテレビは無理でしょう。

函館事故の突きつける問題点、、、








 函館で陸自のLR-2が計器飛行方式による進入時に山にぶつかって墜落した事故は、日本の公的なヘリの運航に大きな問題点を投げかけています。

 航空機の運航上、悪天候といわれる計器飛行状態は、いつどこで発生するかわからず、しかもその状態を正しく観測し、データとして発信できているのは空港とその周りの狭い空域に限定されていますから、救助や急患搬送などで飛行するヘリや固定翼機は、天候にかかわらず自由自在に飛行する能力を近い将来において実現することを求められています。

 悪天候のデータが常時正確に観測通報されている空港間にあって、今の時代は固定翼機に限らずほとんどのヘリコプターも計器飛行方式の飛行が可能で、かつパイロットも訓練を受けて資格を持っていますので、わざわざ陸自の非力なLR-2などのお世話にならなくても、保安庁のS76や防災消防ヘリが飛行可能でないとは言えないでしょう。

 ドクターヘリもパイロットが資格を持つことを義務化すると、ヘリの能力も性能的には十分可能ですから、近い将来において空港間などは対応するべきでしょう。

 すでに30年も前から、国土交通省航空局はヘリの運航において、急な悪天を安全に切り抜けるために、パイロットの計器飛行能力の向上を求める訓練や試験科目の変更を実施し、さらに計器飛行資格の取得を強力に推進したのですから、函館事故当時のレベルの悪天など普通に飛行する能力はヘリにもパイロットにもあるべきであったと言うことになるでしょう。

 ヘリコプターの悪天時の運航能力で、困難な状態と言えるのは、実況を正確に観測できない、飛行場以外の場所への離着陸なのであり、同時に飛行場と同じように進入離陸方向の障害物の完全な規制などが行ないえるかどうかです。

 進入 離陸時の障害物を飛行場と同じように規制したり、正確なデータをパイロットに提供できるかどうかがないと、計器飛行で安全な離着陸は出来ないのと同じように、天候が悪くなくても夜間飛行でも同じように障害物は見えない状態である野で危険だということが言えるでしょう。

 今の計器飛行資格のヘリパイロットのほとんどが、悪天候では飛べませんなどと言っていますが、それは飛行場以外の場所への離着陸に限ると言うことを知っていながら、飛ぶことをしないようにしているのでしょう。

 ヘリコプターに取って夜間飛行は計器飛行と同じ領域で、障害物からの安全性を保障することなく飛行は出来ませんが、逆に昼間の離着陸の障害物からの安全性は、人命救助の名の下にまったく省みられることがなくなってしまって、今後の計器飛行や夜間飛行時の安全性との兼ね合いが大変複雑なことになってしまっています。

 阪神大震災時、大阪伊丹空港長が西宮グランドへ夜間、飛べと命令した時、私は夜間で阪神地域は停電していて、グランドの周りの電線は見えないと思うのだけど、線に引っかかって墜落して死ねと言うことですかと言ったことがありました。

 函館から札幌医科大病院へ飛ぶヘリは計器飛行方式で離陸さえすればLR2が墜落したあたりから札幌までは十分に有視界で飛べたはずなのですがなぜか飛行を拒否しています。

 有視界に移行できなければ丘珠へGCAで十分着陸できたことでしょう。

 わざわざ陸自のLR-2を呼びつけることなどしないでも済んだことでしょう。

 ヘリコプターの計器飛行が導入されて早30年、ヘリにはジャンボに負けないほどのフル装備になっているのに、いつになったら計器飛行や夜間飛行するのでしょう。
プロフィール

bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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