緊急ヘリコプターの夜間着陸、、、、
夜間着陸について質問をいただいています。
私も阪神大震災の折、確か次の日だったと思いますが、停電中で夜間照明のない、たしか、西宮体育館 (25年前の高校時代 体操競技の近畿大会で来たような気がしましたが) のグランドへ着陸したことがあります。
現在、許認可制度となっている航空法令上の許可を得ることなく、任意の場所への離着陸、低空飛行、制限空域への飛行などの運航は人命救助の場合などにかぎって、パイロットの判断のみで、無許可で可能となっています。
この規定には昼夜の別は書いていませんので法的にはまったくの無灯火であってもそれを禁止する条項はないようです。
可能であると言うことと、一定以上の安全性が確保されるかということはまったく別次元の話で、安全を目的とした航空の規定が安全をまったく無視してすべての判断をパイロットに求めるような規定はいったい何なのだと言うことになるでしょう。
現実的には車の灯火やグランドの照明などで離着陸することはほぼ100%可能であるとともに、暗視ゴーグルを使った運航ではさらに可能性は高くなると思われます。
安全性を確実化するには同じ場所での昼間の離着陸の経験、さらに夜間における車の灯火やグランドの照明で着陸する訓練などは重要な安全性確保の要件であると思いますが、今の航空法においてこのような夜間の正式な照明にない離着陸は強く安全性を求める航空法の精神で許可されないことになっています。
防災ヘリや警察ヘリ、消防ヘリやドクターヘリなどの民間登録機のこのような訓練は航空法上認められないことになっていますので、当然緊急時であろうとも離着陸はするべきではないと思います。
自衛隊機は航空法適用除外の規定があって、このような訓練はもとより実任務の飛行は必須項目であろうと思いますし、実際にもかなりの訓練はやっているものと思います。
飛行場以外の場所への離着陸や低空飛行などの許可要件はその許可にかかわる飛行において障害物がないことが保障されていますので、許可によって普通に飛行すれば障害物にぶち当たる可能性はありませんが、求められている許可を受けないで、同じような飛行をする場合、障害物があるかないかわからないと言うことになります。
夜間においては障害物は見えないものとして飛ぶしかありませんが、離着陸場所のみが何らかの照明で見えるとしても、その場所へ続く空域にはどのような障害物があるかわかりませんので、パイロットはどのようにそれを認識して飛ぶかということになります。
夜間、沖縄から徳之島へ患者輸送に向かったCH47が悪天候に遭遇して山にぶつかって墜落していますが、これはこのような状況の良い例と言えるでしょう。
もし許認可を得ないで保障されない空域を通過して離着陸するような運航を求めるなら、相当な訓練をし、暗視ゴーグルなどを使用を会得し、しかも昼間においてその地域の同じような運航の訓練を相当程度経験をする必要があるでしょう。
と言うことで、車のライトやグランドの明かりで離着陸することは十分可能ですが1000回に1回くらいは墜落するかも知れません。
余談ですが、障害物以外の要因でも 秦野の東海大ドクターヘリの墜落のような事故は夜間においては100倍以上起こる可能性があるでしょう。
パイロットに対して、このようなことをまったく訓練もしないでやれと言うことはとても出来ないと思いますが、ドクターヘリに夜間飛べという意見も根強いようです。
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高高度着陸、、、
タレントの井本女史がヘリでアルプスアイガーから降りたと言う話題をいただいたので、高高度着陸について書いてみます。
世界的にはAS350B3が一番高いエベレストの頂上に着陸した記録があり、その動画が上のURLで公開されていて、地球上ではこれ以上高い場所はないのでこの記録はもはや破られることはありえません。
日本では富士山頂の12388フィート、3776メートルが一番高い場所なのですが、これはレーダードームの空輸時に記録されてその後何回かは物資輸送などのために着陸しています。
私は残念ながら富士山頂へ着陸した経験はありませんが、朝日岳や乗鞍、蝶が岳などへ着陸した経験があります。
日本の航空法ではヘリであっても着陸帯が整地されていて、ある一定の限度以内の傾斜でないと、許可されないはずなので標高の高い山頂への離着陸はほぼ無法者と言うことになり、さらに危険な片足接地やホバリングでの乗降はありえないでしょう。
何回もやっていますが、、、
許認可権を握っている航空当局も出された申請にうそがないかなど、まさか自分で上って見に行くことはありえないでしょうから、それによって生じる危険性はすべてパイロットがかぶることになっています。
ヘリコプターも普通の航空機も空気によって、機体の重量を空中に支えていますので、この性能自身はパイロットの技量や腕の良し悪しで決まることはありえず、誰がやってもホバリングをして離着陸できるか、落ちるかは機体の性能と空気密度によって決まります。
高度に対する空気密度の変化は6000メートル18000フィートで約半分になりますから、そのときの機体の最大重量は地上の最大可能重量の約半分なら離着陸できると言うことになります。
もちろん実際の離着陸には安全性を考慮して少し減らすと言う配慮が必要ですが、正対風を利用するなら、あるいは出来るなら少し重くすることも可能で、富士山頂の場合は機体重量の削減にいらないドアや座席や内張りなどをはずし、さらに正対風の効果を利用して、ドームの輸送を成し遂げています。
このほかに影響するのはSAS自動安定装置が装備されていないヘリの場合、操縦の効きダルになって安定しないと言う影響があり、富士山頂の場合もゆらゆらとヘリが揺れています。
ここまで書けばいかに高高度の離着陸と言えどもそれほど困難はなさそうに思えますが、現実的にもちゃんと緻密に計算された重量で計画通りの空気密度の中で飛ぶことにはそれほど困難はなく、一定の技量と経験があれば誰でも出来そうに思えますが、現実なかなかそうは行きません。
なぜかと言えば、想定された条件も下で一回だけ飛べば終わるならそうなのですが、このような環境の中で今日も明日もあさっても100回も200回も飛び続ける中で、絵に書いた条件が続くことはありえません。
5分後に20メートルの突風がヘリを襲うこともありえるでしょうし、余裕を持った重量で飛ぶはずが燃料を入れた直後はぎりぎりになったりと、2人回収するはずが天候悪化で3人急遽乗るなど常に変化と言うものが起こる中でぎりぎりの運航を安全を確保することはそうたやすいことではありません。
朝日岳の山小屋改築に150トンの資材を200回くらいに分けて輸送したことがあり、鼻歌交じりで残雪の景色を楽しんでいるかと思えば、30メートルの突風がヘリを襲うと言うことも、短時間のうちに起こるということです。
見てきました、「 ハドソン川の奇跡 」、、、
元パイロットにとっても大変見所のある映画でした。
ジェット機でも5000フィートでおおむね12マイル20キロは滑空できますので、エンジンが止まると真下から45度以内、高度と同じくらいの範囲にしか不時着できないヘリと比べるとずいぶんと遠くまで届きます。
昔 浜松で訓練を受けていたときに、伊良湖岬の沖でエンジンが破壊したF86Fが滑空して浜松飛行場へ無事に不時着したことがあったと聞いたことがあります。お手柄のパイロットは脱出するべきだったと叱られたそうです。
映画はマカロニウエスタンのクリントイーストウッドが監督したそうで、実話とはかなり違うようですが、航空事故調査ストーリーとして大変良く出来た内容でした。
航空事故調査とはパイロットはマニュアルどおりにやれば事故は起きることはない、どこをミスした、どこを規定違反したのかということを後知恵で徹底的に調べますので、映画の内容のような間違いを起こすことになります。
私も同じようなことを数回よってたかってやられてひどい目にあったことがありました。
離陸後2800フィートで鳥が突っ込んでエンジンが異常をおこした瞬間一秒の遅れもなく、100%正しい緊急手順を間違いなく実行すれば空港へ不時着できると言うことをシュミレーターで再現して、パイロットが不時着水したのは間違いだと言う結論を得ようとしたようです。
パイロットは次に起こることが100%わかっていれば、緊急事態に対処する方法を間違えることはありませんが、想像できないことが起こると対処が遅れたり間違った手順を取ってしまうことが普通にあり、それを防ぐためにマニュアルがあり、訓練があるのですが、それでもマニュアルに想定されていない事態など普通に起こりえると言うことがあります。
手順では15番目のAPU(補助動力装置)始動をすぐにやったことなどは大変すばらしい判断で、マニュアルを無視してやれるのは飛行経歴ののなせる見事な業です。
映画の中でパイロットはボスエンジンアウトといっていますが管制官はどちら側のエンジンだと何回か聞いています。管制官にとって想定外のことだからでしょう。
大昔 C46が沖縄普天間沖でエンジンが脱落し、海へ落ちていったことがあり、エンジンが落ちたと何回言っても管制官は理解できなかったそうです。
映画の最後の落ちはコパイロットに調査官がまた同じことおきたら同じような対処をするかとたずねると、もちろん、ただし7月にね と答えています。アメリカらしいユーモアです。
氷点下の不時着水はそれだけで多くの命の危険があり絶対にといっていいほど避けるべきなのですが、そうも行かないこともあると言うことでしょう。
韓国海軍対潜ヘリ リンクス 墜落か?
昨日夜、韓国海軍の対潜哨戒ヘリ、リンクスが夜間訓練中に行方不明になったと言うニュースが入っています。
ユーロ製のコピー機スリオンが欠陥機騒ぎが真っ最中の中、同じくヨーロッパ製のリンクス アグスタウエストランド製だそうですが、墜落するとは着いていないと言うよりないでしょう。
日本と同じように、アメリカの友好国で米軍の保護にある韓国が、友好の絆を断ち切ってヨーロッパ製のヘリや兵器を導入するのはやはり、アメリカとの競合で安いと言うことが一番でしょう。
日本も軍用へりの導入では海上自衛隊がEH101 EC135 そして陸自がVIP用にAS332に続いてEC225を導入しています。
これはアメリカ製に比較して値段が安いと言うこともあったのでしょうけれども、アメリカがヘリの技術者を総動員してオスプレイの実用化に没頭している間にヨーロッパの技術がアメリカに追いついたという面があると思います。
ですからアメリカ自身も大統領専用機の候補にEC101が有力になったり、軍や沿岸警備隊がAS365やBK117を導入したりしていますので、アメリカ優位が崩れたと言えるでしょう。
ベルは429や505で盛り返しを図っていますし、テストフライト中に墜落はしましたが大型機の開発を実行しているようです。
と言うことでヘリコプターの開発競争は欧米の戦国時代になった様子で、どちらが主導権を握るかわからないようになってきました。
韓国はスリオンの開発でつまづき、空軍の練習機開発でつまづきインドネシアにけちをつけられと良いニュースがない中でのリンクスの墜落ですから前途多難というほかないでしょう。
日本も人のことは言えない状態でOH1が前途多難、MH2000はパアー、MRJは苦戦中、P1は何とか実用にこぎつけたようですが全体的に見ると大いに不安があるようですのでこの先どうなるのでしょうか。
ANA エンジントラブル続発、、、
ANAの787のエンジントラブルが原因で減便してタービンブレードの取替えを行っているさなか、今度は767のエンジンが離陸後10分もしないうちに止まってしまったようです。
昔、大型旅客機はほとんどが4発機でしたので、エンジンがひとつ止まっても4分の1の影響しかなく、されにもうひとつが止まっても、2分の1残りますのでエンジントラブルで墜落することはあまりなかったようです。
おりしもハドソン川不時着水の映画が封切られているようですので、良いタイミングです。 ぜひ近いうちに見に行くことにします。
さてこの問題でANAの事案に対する対応が適切であったかどうか少し気になるところです。
もちろん整備規定は国土交通省の認可事項ですので、国土交通省の認可にしたがって整備していたかと言うことと、国土交通省が適切な許認可を行っていたか、エンジンメーカーやANAの言いなりでなかったかと言うようなことも検証する必要があるでしょう。
まず言える事は、メーカーが硫化水素の影響でブレードの劣化が想定時間より早く進んでいると言う判断をしたようで、これは火山噴火の影響が一番強く、次は都会のスモッグなどの大気汚染が影響すると言われています。
普賢岳などへ長期間取材に飛んだヘリが火山ガスを吸い込んだらしくて、取材を終えて東京へ帰ってから不具合を起こしていますので、悪い環境での飛行の積み重ねがダメージを与えるようです。
ブレードの破断が3件とそれ以外にもエンジンの振動トラブルがあるようですから、同じトラブルが続くときは、メーカーが判断する前に運航会社が適切な判断をしてブレードの時間短縮をするなどの処置が必要でしょう。
墜落事故でも起こさない限り、このような予防整備をためらいなく出来るような、安全優先の経営精神が失われているかどうか、誰も点検する組織がないと言うことは肝に銘じておくべきでしょう。
787のように新しく導入された飛行機に装備されているエンジンは、もちろん新品が2基ついていることでしょうから、同じようにる硫化水素に侵されて同じ時期のブレードが飛ぶ可能性があり、エンジンが2基ついているからと安心できません。
左右にあるエンジンはいつも同じ環境で同じ時間、運転されていますので同時期に壊れる可能性が高くなります。
原因がわかっていて、壊れる時期もある程度想定でき、対策もわかっている故障で墜落させることほど馬鹿げた事はありません。
そんな中起きた予想されない、767のフレームアウトは点検整備の難しさ、重要性に警鐘を鳴らしたものでしょうか。
北朝鮮航空ショーにOH6の編隊飛行、、、
核実験や潜水艦発射ミサイルを日本近海まで飛ばす、威勢の良い北朝鮮が航空ショーまでやったそうです
北朝鮮の大ニュースが続いている中、何か取り上げたいと思っていましたが、今日はちょうど良いニュースが飛びこんできました。。
体制の異常さを無視するとすれば、アメリカのような超巨大国家の核戦力から国家体制をなんとしても守ろうとする、核開発やミサイル開発はきわめてまともな方法で、日本の安部総理も金正恩の爪の垢でも煎じて飲めと言いたくもなります。
ほぼ世界中の国が北朝鮮を抹殺しようとしている中、最小限の経済力で国を守る体制を作るには、いつでも相手国に核ミサイルを撃ち込める体制を作ることしかないでしょう。
日本が北朝鮮から核ミサイルを打ち込まれても、ほぼ何の反撃も出来ないでしょうから、金正恩のご機嫌が悪くならないように祈るくらいのことしか出来ませんし、お金を小出しに送ることを怠ってはならないでしょう。
さて世界中が北朝鮮への航空燃料の輸出規制をしているはずの中、またヘリコプターの輸出規制をしている中、恥じることなくOH6の編隊飛行を披露する精神状態は日本にはとても出来ない芸当でしょう。
OH6はアメリカか日本の川崎重工が作っていますので、誰かがどこかでココム規制を逃れていい目をする悪がいると言う証明で、航空燃料も同じでしょう。
まさか日本の自衛隊が使っていたOH6が北朝鮮へ渡ってはいないと思いたいのですが、過去にこのブログで取り上げたように、自衛隊の用途廃止になった多数のOH6がスクラップとして国内の業者に売り渡した後、ニュージーランドに不法に輸出されたようです。
もしそのOH6スクラップが北朝鮮へ渡っているとすると、日本国内にも悪がいる可能性が高いでしょう。
大手家電が壊滅したのも、国家が壊滅するのも実は内部に見えない敵が潜んでいて、そのことを放置した結果であって、それを防ぐために金正恩は次々と悪を射殺しているのでしょう。
ミサイルや核を開発する資金と技術、その何%が日本のものかと想像するだけで、この日本は危険水域にあると言えるでしょう。
韓国だけか?欠陥ヘリ、、、、
韓国が1000億円以上かけて開発したヘリ 「スリオン」が欠陥機として認定されたと言うニュースを書き込みいただきました。
あまり良く知らないのですが、このヘリはユーロのAS332のコンポーネントを流用していますので、とても国産とは言える代物ではないと思います。
EC225の原因不明のローター分離事故のあおりを受けて、飛行停止になっていたようですから、332系列のただのコピーなのでしょうし、アメリカへもっていって、凍結気象状態のテストをやれば、ユーロの機体はだめだ、アメリカ製を買えと言う結論は出るでしょう。
もともとヘリコプターの凍結気象状態での完璧な飛行は大変困難で、2万フィートの快晴の空域まで15分もあれば上がってしまうジェット機の防氷と、ローターやエンジン空気取り入れ口やテールローター周りの複雑怪奇な構造物を長時間完璧な防氷をするのとでは相当難易度が違います。
と言うことで世界的に見て凍結気象状態を完璧に飛行できるヘリコプターはほぼないと言うのが相変わらずの状況なので、韓国にそれを求めることは、はじめから無理というものでしょう。
飛行規程に凍結気象状態での飛行は禁止すると書けばそれでおしまいと言うことがヘリコプターの世界の常識です。
実際には飛行中この禁止事項を完璧に守ることは相当困難で、私自身もベル47から332までほとんどの機種で凍結気象状態に近い状態に遭遇したことがありますが、幸運にも雪だるまになって墜落することはありませんでした。
日本が韓国のヘリコプター開発の技術を云々するほど日本が進んでいるとは言えませんが、同じ程度と言うのも少しは失礼かもしれません。
しかし日本はアメリカのヘリをライセンス生産ばかりで、ここ20年ほど前からいくらか独自に開発したヘリがあることはあるのですが、そのほとんどはあまり良い実績を残していないことは確かです。
白浜で墜落して以来、最近その動向が良くわからないOH1や、三菱が民間用に製造したMH2000の様子を見ると、やはり新しいヘリの開発は大変難しいと言えるようです。
ヘリコプターとワイパー
旅客機にも着いているようですが、ヘリコプターにもワイパーが着いています。
ヘリコプターも小型の機種、セスナなどの小型機には着いていないようです。
小型ヘリのベル206Bには着いているのを見たことはないのですが、イタリアのアグスタ社でライセンス生産された206Bに着いているのを見たことがあり、考え方が違うのだなと思ったものでした。
ドクターヘリに使用されるEC135にはベンツに使用されている、一本の長いものが装備されていて、速度制限はなかったようですから、250キロ程度の速度が出て速度制限がないベンツのものを流用しても十分であると言うことでしょう。
さて航空機が強い雨の中などでワイパーを使うのはどのような時でしょうか。
ヘリコプターも固定翼機もほぼ同じだと思うのですが、200キロ程度以上の速度では雨が急速に流れてしまうので、ワイパーはあまり必要ないのですが、ヘリの場合は速度を100キロ以下に落としてアプローチするときには雨滴が塊のようになるので豪雨の場合は使うときがあります。
へりの場合はもうひとつ、ホイストや物資輸送の荷物のつり卸しの場合、外が見えなくなるので使いたくなります。
使いたくなるのは相当な豪雨でそこが何も見えなくなるようなときだけしか使わないで済ましてきました。
相当程度以上の雨量の場合では、窓についた雨滴がダウンウオッシュの乱れで大きく急激に動くことが起こります。
風防や足元のチンバブルから通した、外の見え方をホバリングの見え方の基準に取って精密に位置決めホバリングをしますので、雨滴の急な動きに幻惑されてホバリングが決まらないことが起こり、急激に動く危険性もあります。
この状態でワイパーを動かすことは更なる幻惑が起きる可能性が高く、ワイパーは動かさないでやっていました。
どうしても外が見えなくなるときには、同乗の整備士にひと拭きかふた拭きだけ動かしてもらうようなことがありました。
離着陸の低空飛行になるときに、障害物が見えないと言うことでわーパーを使うと言うことがありそうですが、基本的に合法の飛行場やヘリポートへの離着陸のアプローチには障害物はありえないのですが、ヘリの場合は建前合法、実態無法者ですので障害物の監視にワイパーを使うこともたまにはありました。
ヘリの風防は強化ガラスであることはありえませんので、弱いアクリルなどではワイパーの使用は即、傷を着けることとなるので、ほとんど使用しないと言うことも大原則でした。
石川県も18年運航開始か、、、
報道によると石川県も18年度にドクターヘリの運航を目指すと言うことが決まったようです。
これで全国的にドクターヘリの運航空白地域として最後まで残るのは福井県と東京都くらいでしょうか。
ドクターヘリを安全効率的に飛ばすには、必要な医師看護師と救急受け入れに十分な医療施設、そしてドクターヘリ用の施設としては、ヘリポートと給油設備、整備保安目的の格納庫、そしてパイロットや整備士、運航管理者用の待機室と付随する無線設備や気象用情報端末などでしょう。
ドクターヘリを導入することを想定しないで、何も考えないで、患者受け入れようにヘリポートを先行して作った病院はドクターヘリを入れるに際して大変な事態になるのが普通のようです。
ほとんど補助金でヘリポートが作れるために、気安く屋上へリポートを作ったものの、ドクターヘリを入れるに際して付随する多くの設備を作ることをまったく考えていなかったので、燃料すら入れることが出来ないのが普通です。
付随する設備を考えることなく作られたヘリポートは完全な欠陥設備で格納庫も給油設備も作ることが出来ない上、パイロット整備士運行管理は窓がなく天候すら見ることが出来ないような倉庫や書類庫、医師の更衣室の片隅などで足を伸ばすことやトイレに行くことすら自由に出来ないような状態で、長時間勤務を強いられることが多くありました。
格納庫のないヘリは365日24時間、風雪にさらされ、雨ざらし、故障しても夜間は整備点検作業も出来ず、台風でも来ようものなら強風を着いて避難するフライトをしなければなりません。
この第一の理由はドクターヘリの導入を考えないで屋上へリポートを作ったからで、後で付随施設を作るにしても、敷地や建物の構造上どうにもならないと言う事例が良くあるようです。
宮城県のドクターヘリが2箇所の病院を交代で基地とする理由は、救急医療最先端の東北大病院の屋上へリポートには給油設備などの付随設備を整備できなくて、仙台医療センターにはそれが整備できるからでしょう。
新たにドクターヘリを導入する予定の奈良や石川、そして最後に残った福井県などは、この病院へリポート建設失敗事例を多く見ているはずですから、それはうまくやってくれるものと普通には考えられるのですが、頭が悪いとしかいいようがです。
なぜなのか良くわからないのですが、ほとんどの県が屋上にこだわっているのを見ると、補助金の制度がおかしいのか、誰かがおいしい目をするのか、何か特別な理由がありそうです。
福井県も格納庫、給油設備には打開策が見つけられないような構造になっているようですし、たった200度Cで強度が15%まで落ちるアルミを使うと火が出たらお仕舞いなのですが、作ればよいと言うものではないと思うのですがどうするのでしょう。
どこかの県のように、空港のすぐ横にあるのに、せっかく作った屋上へリポートをあきらめて地上に格納庫、給油設備つきのヘリポートを作り直したこともあるのですが、何か狂っているようです。日本は、、、、
宮城県ドクターヘリ、10月28日から運行開始、、、
県のホームページなどによると、東北地方最後の宮城県がドクターヘリの運行を10月28日から始めるそうです。
仙台医療センターと東北大病院が交代で、ドクターヘリを飛ばすそうですから、今もやっているとすれば三重県と同じようになるのでしょうか。
一時は青森県も確か同じように2つの病院が一月交代で飛ばしていたように記憶していますが、ヘリを飛ばす運行会社としてはあまり歓迎できないのですが契約ならば仕方がないでしょう。
なぜこのようになるのかは核心はありませんが、医師や看護師の要員や救急医療施設のベッド数やヘリポートの問題、さらには県の救急医療体制をどの病院が主導しているかなど、複雑な要因がありそうです。
医師看護師の要員数だけの問題なら、ヘリ当番の医師看護師が減り基地のある病院へ出勤すればよいだけの話ですが、そうは行かない色々な事情があるのでしょう。
ヘリを飛ばす運行サイドにとっては1週ごと、1月ごとに基地が変わることは落ち着かないですし、それぞれの基地に無線や気象端末など二重の設備が必要ですし、ヘリポートも給油設備も格納庫も2重に必要となります。
2つの病院は直線で10キロも離れていませんので未来永劫それぞれにドクターヘリを持つことはありえませんので、この状態はほぼ永久的に続きそうです。
仙台医療センターをヘリ、東北大をドクターカーにし、ヘリ搬入は両病院が連携して適切に受け入れるなどの工夫は出来なかったのでしょうか。
東北大病院は立派な屋上へリポートはあるのですが、敷地的には格納庫や給油設備を持てませんので、仙台医療センターの方へ給油設備格納庫付のヘリポートを整備したためにこのような運航になるのでしょうか。
このような変則的な運行が事故の要因となったり、救急患者のためにならなかったりしないように願いたいものです。