ドクターヘリ秦野事故 ヘリの性能から見ると、、、




 神奈川県の東海大ドクターヘリが着陸時に墜落したのは、着陸寸前にパイロットが誤って回復不可能な降下率に入れてしまったか、ヘリコプターの性能が一時的に最大使用可能パワーでもホバリングできない状態になってしまったかのどちらかです。

 あるいはどちらかが主因でどちらかが副因となる複合的なことが原因です。

 どちらにしても、着陸時の風が正対風であればほとんど起こり得ないのですが、おおむね風は常に変化するものなので、少しくらい風向風速が変わったとしても、いちいち墜落していては事故ばかりということになります。

 ドクターヘリに限れば、現実にはそれほど多く事故は起きていませんが、ヘリ全体では同じような事故は結構起きていますので、ハインリッヒの法則に、乗っ取れば墜落まではいかなくても激突寸前に回復できたというような例は30例はあると言うことになります。

 そのような激突寸前の情報を集めて正しい対応策を取っていれば今回の事故は回避できた可能性はかなりあるということも言えますし、逆に同種の事例で激突寸前の事例が多くあったのなら、今回の事故は起きても仕方が無いとも言えるでしょう。

 運航会社などが多くの運航実績から、このようなことが起きていることを知らなかったと言えば間抜けというしかないでしょうし、知っていたけれども適切な対応策や訓練や教育を行っていなかったとしたら、怠慢というしかないでしょう。

 私はこのような事例がドクターヘリの着陸時に起こるということは強く自覚していましたし、自分なりにこのようにならないための進入、着陸方法を取っていました。

 どのような着陸方法ですか教えてくださいと言われたことはありませんし、パイロットはすべて国家の免許受けて飛んでいるプロですから、それは人に聞くようなことではなく自ら編み出して確実に実行することがプロというものでしょう。

 少なくともドクターヘリのパイロットは2000時間も乗っているのですからそのような気構えが無ければプロとはとても言えないのですが、私がドクターヘリに乗り出した頃、私の周りにはそのようなパイロットは審査操縦士や教官操縦士を含めて見当たりませんでした。

 私は一応機長発令のための30時間の訓練を受けましたが、訓練にたずさわったパイロットの大方はわかっていないなというの実感でした。

 一例をあげると砂塵が舞う着陸で、パワーを最小限で砂塵の舞い上がり最小限の着陸を実行しているときに、ヘリの行脚を止めないので滑りこもうとしたとき、15000時間の操縦士の操縦桿を2000時間のひよこ教官が取って行脚を止めたため、砂塵が最大限に舞い上がったことがありました。

 ふつう いかに教官とは言え、自分の10倍近い経験のあるパイロットの操縦カンは触れないものですが常識もなかったということでしょう。

 防災ヘリの着陸場所の許可基準の設定は普通の障害物の制限から10メートル上空に仮想へリポートを設けてあるのですが、これは10メートル垂直に降下するという設定で、この垂直に降下する操作が大変危険な操縦でこの着陸方法で常に着陸しているといずれ今回のような目に合うことになります。

 今回のような着陸事故の原因は垂直に降下する着陸方法がヘリのホバリング性能の限界を超えてしまう恐れがあり、少々障害物があってもホバリングの高度が高くならないような進入方法をどのように実行するかが決め手となるのですが、そのようなことは誰も教えてはくれないでしょう。

 砂塵防止着陸法も同じ要領なのですが、ドクターヘリパイロットでそのようなことを実行しているパイロットは何人いるのでしょうか。
 

 
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bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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