秦野事故、原因の検証、、、、
この天気図は8月8日のもので事故当日のもので、アメダスでは当日最寄りの平塚で最大風速6.5Mとなっていました。
ドクターヘリの運行では、通常朝の始業時に当日のクルーが顔を合わせて朝礼を行うことが普通で、当日の予定、気象状況、連絡事項そして特に平常と変わったことなどを連絡しあいます。
顔を合わせてミーティングですのでおのずから、お互いの体の調子などもそれとなくわかることになります。
パイロットはその日の気象状況について、運航の障害となる可能性があることはクルー全員に知らせておくことになります。
現地の気象状況と天気図、そしてその日の予報などを総合して、当日のフライトに支障があるか、注意点があるかをパイトッロは読む必要があるのですが、当日の朝の朝礼でパイロットは天候に関して何かを言ったかどうかが事故を分析する上で大変重要なことになります。
天気図では台風に吹き込む風で局地的に西高東低の冬型のような気圧配置になっていてしかも、風の向きが北風になっていてフェーン現象の起こるような状態です。
富山県の山間部で真夏に物資輸送していた、当時エースヘリの330が空荷でヘリポートに着陸するときに落とされて墜落炎上し、死者が出る事故が起こっています。
このときは気圧配置がちょうど逆で南風が強風で吹いていてしかも、変化が大きい荒れた風であったように思います。
空荷の大型機の330は少々の背風や突風では落ちませんが、見事に墜落してしまいました。
台風に吹き込む風は少々弱くても油断がならないほど、強弱や方向の急激な変化があって、普通に巡行していても大きく揺れて、乗っているだけでも酔っぱらうほどなので、朝礼では医療クルーに今日は揺れますと言うべき天候状態であったように思います。
もちろんパイロットが気象情報と現在の状態などを考えてそのように判断したらの話ですが。
当日の出動は10時ころで病院へリポートから約10キロしかない秦野のコベルコのグランドだったそうですから、普通に飛べば3分で着いていしまいますので、出動要請から着陸まで長くても10分ですから、パイロットは朝のブリーフィングの気象判断から、今日は何に注意して飛ぶかの腹案を持っていて、あらかじめ着陸のプランニングをしていないと、現地へ着いてからどのように着陸するかという程度ではとても間に合わないでしょう。
また台風が近い場合の風の荒れ方や、フェーン現象の風の吹き方などは知識と経験で身に付くものとは言え、日ごろからのパイロットとしての日常の勤務態度の差が大きく出てきます。
この日の朝、パイロットは朝のブリーフィングで台風とフェーン現象で今日のフライトは大きく揺れる恐れがありますと、皆に注意喚起したかどうかが大変気になるところです。
気象状況について他人に注意するものは自分が注意しないはずがなく、今回の事故は防ぐことが出来た可能性が高くなります。
この件はアメリカ帰りのパイロットにも防災のパイロットにも同じことが言えますが、ドクターヘリのパイロットには、いったん飛び上がったら判断する十分な時間がないことが大変不利となります。
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