ギアーダウン忘れ、、、、
昨日、海保のAB139が七里ヶ浜で胴体着陸したという報告をいただきました。
いろいろネットで検索してみましたが確認できませんでしたので、真相はわからないままです。
ヘリコプターも最近の機種は引き込み式の車輪タイプが多く、長くスキッドタイプで飛んできたヘリパイロットには少し違和感があり、両方のタイプを常に乗るパイロットは特に要注意です。
下げるのを忘れる可能性があるからです。
最近の例ではF15がやっていますし、航空の歴史上、引き込み脚が導入されてから現在に至るまで、忘れたころに出し忘れ事故が起こるということが繰り返されています。
特に一人乗りの飛行機と、普段、正確に着陸パターンを飛んで脚出しの場所や手順がきっちりと決まっていないヘリが特に危ないようです。
民間のヘリの場合、大型機の330や332は物資輸送が多いのでほとんど出しっぱなし、たまに遠くの現場へ移動するときなどしか上げることがないので本当に忘れそうです。
典型的な脚下げ忘れの例を挙げますと次のようなことがあったそうです。
聞いたところによりますとファイナルアプローチ中のF86が進入してきて、先行機が滑走路を開けるのが遅れたため、管制官はゴーアラウンドを指示しました。
パイロットはパワーを上げ、ギアを格納して上昇に移ったとき、先行機が滑走路を意外に早く開けたため、管制官はまた指示を変更し着陸許可を出したそうです。
パイロットはパワーを絞って再降下してそのままノーギアーで着陸してしまったそうです。
つまりギアー操作をするタイミングの時に他に気を取られる重大な変化が起こって、そちらへ注意力が集中してしまうような時が危ないようです。
今回の海保のAB139が七里ヶ浜海岸への救助のための着陸中に起こったのならば、普段慣れていない海岸への緊急の着陸に2名の操縦士はじめクルー全員の注意力が着陸にあまりにも集中してしまった結果かもしれません。
ギアーが下りていない場合で着陸しようとすると、警報音が鳴ったり、警報灯が点灯したり、脚位置指示計器が示していたりと何重もの警告装置があるのですが、人間思い込むとなかなかブレーキが利かないものです。
ヘリコプターは早くても150ノットくらいですので、引き込み式にして空気抵抗を減らして速度を上げるメリットと、機構が複雑になって重くなるデイメリットがほとんどプラスマイナスゼロですので、わざわざ引き込み式にしても利点はありません。
とくに長距離飛ぶ場合には空気抵抗の低下が速度と時間にメリットがでますが、ドクターヘリのように平均すると20分程度以下しか飛ばない場合はメリットはないと言っていいでしょう。
ヘリコプターに引き込み式の車輪を付けるメリットは、大型の重いヘリはダウンウオッシュが強すぎて、他のヘリや建物や、作業車の近くに着陸できませんが、離れた滑走路や広い場所などで着陸して、車輪で転がして駐機位置へ移動させることが合理的だからです。
不整地の着陸に不利である点や、ドクターヘリは患者とのランデブー着陸の時がフライトの中、一番に強い緊張状態になることが多く、パイロットが余裕をもってギアダウンの操作を忘れないでできるかどうかも心配になります。
今回、2名パイロット制の海保のAB139が救命救助の着陸時にギアーダウンを忘れたということが事実なら大いにあり得ることだと思いますし、ドクターヘリで引き込み脚を装備しているなら、特に十分注意して運航するべきでしょう。
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