ドクターヘリは2000時間以上 物資輸送は何時間から、、、
ドクターヘリのパイロットの最低飛行経験時間を2000時間以上と言うことを業界内部で決め、これを厚労省の基準のようにして制限をかけて、運航しています。
これとてもパイロットが個人的に管理している記入している飛行記録を唯一証明文書としているので、嘘は書き放題ということになります。
ヘリコプターが飛んで為す仕事には千差万別あり、どこかの自動車会社が飛ばしているような、計器飛行方式による旅客機と全く同じように乗客を運送する仕事から、何トンもある鉄塔部材を吊り下げて、40メートル下のボルトにはめ込むようなものまで、何をしなければならないか想像がつかないほどです。
私たちがヘリのパイロットになった40年以上前は、とにかく日本国中で田んぼに薬を散布するヘリを250機も飛ばす必要がありましたので、免許を取ったらすぐにこの超危険でむつかしい仕事をやらざるを得ない、避けて通れない時期でした。
と言うことで墜落は普通で、麻疹と同じように一度は電線に架かって墜落しないと一人前ではないと言われた時代でしたので、多くのヘリパイロットは事故を乗り越えて一人前になったものでした。
ヘリパイロットが500人も1000人も同じような経験を経て成長していく過程を見れば、平均的にこの仕事は何時間くらい、これはむつかしいから3000時間くらいからなどとある一定の基準のようなものがわかってきます。
ドクターヘリが始まったときにはまだものような基準を適用できるパイロットの育ち方がありましたので、普通の運行会社でヘリパイロットとして2000時間飛んでいれば、ドクターヘリの運行内容からほぼ安全に飛ばせる技量は身に着いているだろうということは予想できたものです。
今、新たにドクターヘリに参入してくるパイロットはこのような道筋は経ていないだけでなく、経験2000時間飛行と言うものでも、まったく共通性がない場合も多く、そもそもどのような飛行内容なのかもよくわからないということが実態でしょう。
私たちのころは農薬散布で飛び始め、数年したら送電線パトロールで飛び、それも3年ほど経験したら、テレビ局の取材飛行でほぼ10年過ぎて、技量的に極端に劣っていなければ物資輸送に進むという道筋が決まっていました。
と言うことで3000時間くらいの飛行経験があってこのような標準的な道筋を経て来ていると物資輸送に進むことが多かったようですが、私は上司の受けが悪くて干されていたようで33歳4000時間も飛んでから物資輸送を始めました。
このような民間ヘリパイロットのたどった道筋は機種や仕事が変わるごとに大きな試練があり、技量的にうまく対応できないパイロットは階段を上がれなくて、原級に留められて同じ仕事を一生続けるというようになっていました。
3000時間乗ったら皆物資輸送、10000時間なるころには全員332で木材搬出と言うわけにはいかないと言うことです。
ヘリコプターには機種限定の国家試験があり、これに通らないと上に上がっていけないのですが、この試験程度はほぼ誰でも通るというのが相場で、特にどこかの防災ヘリを飛ばすために試験を受けます、と言うことなら不合格と言うことはありえないでしょう。
ただし国家資格を得たからと言って、山岳救助が出来るかどうかは全く別問題で、しかも、どれだけ訓練してもできないものできないという冷徹なプロの世界の掟が厳然と存在します。
50機も防災ヘリが全国に在って、50人の機長がいたとして、正確に個々の技量を判断すると1番から50番まで成績順に並びます。
ところが50機はすべて別の組織で運航していますので、成績順の序列は存在せず、そもそも技量の適格性を判断する制度も一切なく、機長不適が何人存在するかと言うようなことは一切わからないようになっています。
そしてこのような不適切なパイロットの管理育成制度が改善されるような話はありませんので、落ちるところまで落ちるしかないのでしょう。
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