ドクターヘリ 月 200回以上の出動回数は異常か?




 昨日のブログの内容その他で数件ご質問、疑問点をお寄せいただいていますので、順次私の考えを書いていくことにします。

 今日はまず200件はいくら何でも多すぎるというご意見についてです。

 豊岡ドクターヘリが7月一月間だけで213回も飛んだのはいくら何でも異常だ、そのようなことをしていると肝心の救命できる患者さんを逃す可能性があるというご意見をいただきました。

 豊岡でドクターヘリが導入される数年前、和歌山医大のドクターが豊岡にドクターヘリが入るにあたってどの程度の出動回数が見込めるか、研究されて発表されたことがあります。

 豊岡ドクターヘリが管轄する地域の面積、行政地域、背景人口そしてその地域で年間に救急車搬送された患者のカルテを詳細に検討し、和歌山で飛んでいるドクターヘリの実績から、ヘリ症例をカウントしてみると年間1000件の出動があるだろうという結果でした。

 当時各地のドクターヘリと言っても全国で10機にも満たなかったのですが、平均は年間300件程度で、その3倍以上の見込みがあるという、あまりにもすごい結論でした。

 果たして実際にドクターヘリが豊岡に導入されると、その予想は見事に当たり、ちょうど年間1000件程度飛行し、他の地域の倍以上の出動回数の実績を記録しました。

 豊岡のドクターヘリの出動回数が多すぎるという意見の方は、地域の救急車搬送の患者のカルテをすべてあたってみて、ドクターヘリが飛ぶべきであったものがあるかないか、点検されるとよいと思います。

 もう一つはあまりに出動回数が多いのは軽症の患者にも対応しすぎていて、肝心の重症者を外していないかという危惧を持っているという件です。

 多すぎる出動回数で、重症者を落とす可能性と、飛ばないで重症者だけにのみ対応するというやり方では、どちらが重傷者を落とす可能性が高いか少し考えてみればわかります。

 救急の患者は軽症のままであればよいのですが、症状がいつ急変して死亡に至るかわかりませんので、ドクターが出向いて診察することがより重要でしょう。

 出動中により重症の患者さんからの要請があって、救命できないといけないから、飛ばないということになると、あるかないかわからない次の要請のためにある程度重くない症状なら飛ばないという姿勢は正しいのでしょうか。

 そのような場合に備えて、ドクター2名制度で、2か所目へもすぐに急行する姿勢や、あるいはドクターカーをも待機させるような積極的な救急医療体制が理想と言えるでしょう。

 ドクターヘリがドクターの緊急デリバリーシステムであって、患者さんの搬送道具ではありませんので、2件目でも3件目でも次々とドクターを医療器材とともに送り込むことが理想で、あとは症状に応じて救急車搬送するなり、ヘリがピストン輸送するなりすればよいでしょう。

 豊岡で月に213件ヘリが飛んだということは、213回救急医が往診にかけつけたということで、それは救急医が積極的に現場へ出て行ったということです。

 救急医局にドクターの数が十分でないドクターヘリ基地病院は初めからそのようなことは無理でしょうし、重傷者のみに限定してヘリを飛ばすことは仕方がないでしょう。

 しかし見てもいない患者の症状をヘリ対応か救急車で十分かなどとうまくより分けて、重傷者を見落とすことはないのでしょうか。

 重複要請で重症者を見捨てるようなことのないような対策を十分とっていれば、200回でも300回でも飛んだほうが良いと思いますがいかがでしょうか。

 豊岡の救急医は重症患者を病院で待つ姿勢ではなく、ヘリでもカーでも、自転車でも何でもいいからとにかく患者の元へ出ていくという姿勢なので、パイロットも大いに鍛えられていることでしょう。

 ただし300回もなるとパイロットは絶対に持ちませんのでその辺の対応は抜かりなくお願いします。
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bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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