農薬散布 実機から無人ヘリさらにドローンへ













 昭和60年ごろから農薬散布ヘリはほとんどは無人のラジコンヘリにとって代わりましたが、最近のドロ-ンの発達でついにドローンにとって代わりそうになったようです。

 ヘリコプターで始まった水田などの農薬散布は当初は粉剤の農薬で、1ヘクタール当たり30キロも投下するため、一日に100ヘクタールも撒くには3トンもの農薬を3時間程度で散布しました。

 その後農薬は液剤に代わったものの、当初はヘクタール30リッターで搭載投下重量は同じだったのですが、だんだんと面積当たりの投下量が少なくなり、最終的にはヘクタール1,2リットル程度まで低下しました。

 つまりは少量のいわゆる濃い農薬を正確に散布するようになり、無人ヘリ つまり搭載量のごく小さなラジコンヘリでも十分作業ができるようになり、経費が安いということもあって一挙に実機はいらなくなってしまいました。

 経費が安いと言っても無人ヘリは1機1000万円以上もしましたがそれでも十分実機に対して優位性があって、実機のヘリは飛ばなくなってしまい、一挙にヘリのパイロットが職場を奪われてパイロットは育たなくなってしまいました。

 ここへきて最近大発展のドローンですがやはり無人ヘリに比べてさらに機体価格が安いうえ、GPSとコンピューターの連携できわめて正確に散布出来るようになりそうです。

 農薬が原体散布と言って、有効成分が濃縮されていますので、散布むらが薬害を引き起こしたり、有効な効果が薄いところが出ることを防ぐことが一番難しく、実機の場合でもこれがパイロットの腕の見せ所でした。

 ただ水田の農薬散布の場合、小型で安価で手軽に正確に散布できるからいいかというと必ずしもそうは言えない面があります。

 というのは農薬がウンカ ヨコバイのような害虫を対象とする場合、小さな面積に散布すると、彼ら害虫は農薬のかかっていない隣の田圃へ避難し、1週間もして農薬の効果が落ちてくるとまた戻ってくるという習性があります。

 一つの町村に実機のヘリを5機も10機も投入して、一気に一日3000ヘクタールも散布するのは、害虫の行動範囲を一挙に殲滅するという広域防除の効果もあったそうです。

 技術的な進歩は一方通行で絶対にもとに戻ることなく、10年もすればドローンばかりが農村地帯を飛び回り、エンジン仕様の無人ヘリ一挙になくなりそうです。

 そういえば日本国中、50機以上のドクターヘリが飛び回っていたけれど、いつの間にか飛ばなくなったねーー

 というような、技術の進歩は日進月歩何が起こるかわかりませんので、何らかの技術革新が起こり得ることも十分考えられそうです。

 
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台風とヘリコプター


 


 観測史上初のコースを取っているという台風10号が東北地方へ上陸する構えです。

 長いヘリ生活では台風に翻弄された経験ばかりで良い話はありません。

 台風で被害を受けたヘリでは、関東地方で農薬散布のため河川敷に繋留されていた5機が増水で流されたということがありました。

 屋外に繋留されていたヘリが横倒しになった例は聞いたことはありませんが、自分が青森県の蟹田でしたか、ヒヤッとした経験があります。

 台風が接近してきたため早朝からの農薬散布は中止順延となり、クルーは一日自由の身となり、喜び勇んで青森まで遊びに出ていたところ、風雨で荒れていた天候が昼頃急に晴れ間が出ました。

 進路が急に変わってどうも台風の目が直上を通ったらしくて、ヘリが心配になって急きょ帰ったところ、なんと止めてあったヘリが45度くらい向きが変わっていました。

 強い風にあおられて動いたようでしたが、損傷はなくヒヤッとしただけで済みました。

 近辺に格納庫の設備があれば野外に置かないで格納するところですが、そうもいかないのが貧乏ヘリ会社の実態でした。

 物資輸送の中型大型ヘリはいったん横転してしまえば損害額が大きくなりますので、相当遠くでも避難格納したものですが、物資輸送の段取り、きりがあるので、自分勝手に避難することは出来ません。

 台風の動きと仕事の段取りを考えながら飛んでいると、天候が急速に悪化し非難する時期を失っしてしまったこともたびたびあります。

 ヘリが物資輸送で飛ぶ現場に重機類には事欠きませんので、ヘリの周りに杭を打っていただいて、ロープでがんじがらめに縛り付けましたし、AS330などではローターを取り下ろしてばたつかないようにしました。

 台風一過さて飛ぶぞと、材木搬出の現場へ飛んでいくとき、空港はほとんどそよ風でしたが、吉野の山へ入った瞬間、台風と同じような強風が吹き荒れていて、着陸さえできずに戻ったことがありました。

 同じように台風一過の快晴の空を八尾から三朝温泉まで普段は1時間半かかるところを1時間で着いてしまい、着陸しようとしたら30メートルの風が吹き荒れていて着陸できずに鳥取空港まで避難したこともありました。

 中型以上のヘリは20メートルくらいの風なら何とか直陸ぐらいはできるのが普通ですが、台風の風だけは油断がなりませんでした。

 日本国内のドクターヘリの現場はほぼ格納庫が整備されてきてはいますが、一部格納庫のない現場もあって台風のたびにどこかへ避難しています。

 この台風避難というフライトはなかなか油断が出来ないもので、避難の時期を失してしまえば動けませんし、ぎりぎりで飛ぶかどうかの判断も迫られたりしますし、早めに実働待機をやめて避難すればよいというほど単純簡単なものではありません。

 いつもいつもそううまく避難できるとは限らないということも忘れてはなりませんし、ヘリポートに隣接して格納庫があれば避難に失敗して危険なことに合うこともなく、ヘリは5分で100%安全な場所へ移動できます。


MRJ 2回も引き返し、、、、






 機体をアメリカに持ち込んでテストフライトを加速するため、名古屋空港から千歳空港へ向かったMRJが2回も続けて空調装置に異常をきたして引き返したそうです。

 最悪の悪い印象を業界に広めてしまったようです。

 機械ものは壊れたり故障はある程度避けられないので、一回目の故障は致し方ないと言えるのですが、失敗したのは2回も続けて同じ故障が起こったことです。

 

 航空機の故障探求は医者の難病診断治療と同じで、故障場所や症状によってはなかなか診断治療が難しいことがありうるのですが、製造メーカーが故障探求が難しいなどと言っていては運航会社は安心してその航空機を導入できません。

 今回の故障の状況は外部の者にはよくわかりませんが、いずれにしても同じような現象で2回も引き返すのは、技術力の程度を疑われても仕方が無いような状況です。

 さらに2回目引き返した後の処置でアメリカへの空輸を当分遅らせるということを言っているようですので、まだ治らないのか、あるいは復旧整備処置に自信がないのかと疑ってしまいます。

 今回の故障で私の経験で同じような例があって、ごく簡単な例なので紹介しておきます。

 航空機の電気系統には回路ごとにサーキットブレーカーという、過電流が流れるとスプリングでポップアウトして電流を遮断する小さなブレーカーがあります。

 ちょっとした航空機には100個も着いているのですが、飛行中にこれのうち一つが飛び出した場合、規定では1回は押し込んで飛行を継続できます。

 しかしまた飛び出したら、もう押し込むことはできず、重要な回路でなければ飛行を継続しますが、重要な回路なら引き返しとなります。

 このような事象が起こったとき、担当の整備士はこのサーキットブレーカーを交換し、飛んでみてくれという処置をしました。

 三菱の整備陣はこれと同じような処置をしたのでなければ幸いなのですがいかがでしょうか。

 

離陸できないところへ着陸するな、、、、




  離陸できないとこへ絶対に着陸してはならない、、、、という言葉はヘリのパイロットとして駆け出しで、ちょうど事業用操縦士の資格を取って、今から農薬散布の訓練を受けるようなころに言われたように思います。

 この言葉の意味はまずヘリは性能的に離陸できないような狭い、極端に障害物などで囲まれているところにも安全に着陸が可能であるということを言っています。

 もう一つ深読みすれば、空気密度が低くなる上空に行けば行くほど、ローターが支えることが出来る重さはどんどん低下し、エンジンの出力も落ちてきますので、標高が高いところへ着陸するときには、マニュアルによる性能確認と、確実な着陸操作を行えるだけの十分な技量というものが必要となります。

 さらには離陸に際しては着陸よりもさらに出力が必要ですから、障害物を超えるために必要なホバリング上昇性能を確認しておく必要があります。

 これは着陸と離陸にさいしてパイロットが十分な技量を持っていて、性能が十分と確認されていたとしても、風向風速がマニュアルの性能データを取ったものと違って、背ヘリに対しての風や、テールロータの性能上不利な方向の横風成分があるときの割引分をどの程度見積もるかということも重要なこととなります。

 さらに風の突風成分がどの程度影響するかということにも配慮が必要となるでしょう。

 私たちは非力な小型のピストンエンジンのヘリで、地を這って飛んでいましたので、離陸できない状況にもかなり出くわしていますし、そのような馬力不足でも十分安全に着陸するような配慮を常に行ってきましたので、着陸の危険性についても認識度は高いと思います。

 ということで離陸してきた場所と同じ標高の着陸場所が少々狭くても、風が少し変わっていようと、着陸に失敗するようならとても言い訳がましいことは言えないものだという認識はあるでしょう。

 台風の影響で風が悪かったとか、高温でエンジンの出力が落ちていたとかいうことなら、より出力のいる離陸はとてもできないことでしょうし、神奈川県内のより標高の高い着陸場所へは、離陸できないものとして着陸を拒否する事態が出てくることでしょう。

 風が悪かったとか、高温で出力が落ちていたというような認識があるなら、ヘリはほぼ常に飛べないことになります。

 早朝5時から農薬を散布し、全部終わって機体を川の土手で機体を洗浄し、基地ヘリポートへ飛んで移動しようと、所帯道具を積み込んで整備士も乗っていざ離陸しようと、エンジンのpowerを最大限の24.5インチまで上げてみると、ヘリは一センチも浮きません。

 整備士と目を合わせて笑ってしまいました。早朝は気温が25度、今離陸しようとした9時ころは35度になっています。

 整備士も心得たもので、広い滑走路のようなあぜ道まで車で送ってもらって待ってます。と、、

 70キロ軽くなったヘリは何とか、よたよた、川面に向かってダイブして離陸し、あぜ道で整備士を乗せて今度は、スキッドをこすりながらスピードを着けて何とか離陸し、基地ヘリポートまで飛んでいくことが出来ました。

 このようなことはごく普通の出来事だったので、どのタイプのヘリに乗っても、必要性がないのに50メートルも100メートルも垂直に離陸したり、50メートル上空から垂直に着陸しようなどというバカげたことは自然としないようになっています。

韓国で医者がドクターヘリを壊す??





 韓国でドクターが自分の病院のヘリポートに忍び込んで医療用ヘリを壊したという容疑で取り調べを受けたそうです。

 韓国では日本の常識では理解できないような事件が良くありますが、これには大変驚きました。

 酔っぱらって行ったようですので、深い恨みなどはなかったのでしょうかそれにしてもよくわかりません。

 このような不審者の不法行為を完全に防ぐには、完全に施錠できる格納庫以上のものはありません。

 私が現役だったころ韓国の医者がドクターヘリの現場へ来て研修を受けていたことがありました。

 韓国でもドクターヘリを飛ばすということを言っていましたので、その現場なのでしょうか。

 最近でこそ日本のドクターヘリの現場には格納庫が設置されているところが多くなりましたが、夜間の警備保安上の問題や、最近のように台風が続けて通過するとき、また冬季の積雪時など、無用の心配がなくなりました。

 また、不意の故障などで夜間に整備点検をするときなど、明るい照明の下での整備作業に格納庫は欠かせません。

 ドクターヘリが始まったころは、ヘリは365日雨ざらしの格納庫なし、給油設備なし、乗員の待機場所は倉庫の一角、というような悪条件が普通でしたがヘリポートだけは数億円の屋上というようなちぐはぐな状態もあったようです。

 私がドクターヘリに乗り出した頃、機会あるごとに命を預ける5億円のヘリを365日野ざらし雨ざらし、不審者侵入し放題に放置するのですかと、説いて回ったものでした。

 韓国もこれに懲りてドクターヘリの格納庫を設置するようになることでしょう。

また胴体着陸??うそでしょ、、、






 ニュースによると航空大学校の訓練機が仙台空港で胴体着陸したそうです。

 つい最近ヘリがギアダウンしないで胴体着陸し、アンテナや胴体下部を損傷したばかりですし、この2回の事故は両方とも国土交通省に所属する航空機です。

 しかも国土交通省の事故調査部門の安全運輸委員会が事故調査するのですから、事故調査の結果が見ものです。

 仙台空港では2015年11月にも同じような胴体着陸の事故が起こっているようですので、私でなくても効果のない無駄な引き込み脚は装備するなとでも言いたくもなります。(もちろん冗談ですが)

 今回の事故も海保のAW139の事故も、故意かそうでないのかよくわかりませんし、事故調査を尊重しているのかわかりませんが、ギアダウンを忘れたという証言がニュースに出てきません。 (これも冗談ですが)

 このようなニュースの流し方をするのは、好意的に解釈すれば、もしかして機構的に何らかのトラブルがあってギアが下りなかったことを含めて十分調査し、パイロットの責任の程度を含めて判断し、正しい事故防止策を出そうとしているということになります。

 初めから忘れたと言えば調査そのものはいらないとも言えます。

 辛辣に解釈すれば初めからギアダウンを忘れたトンでも事故なので、忘れたと言えば袋叩きに合いかねないけれど、1年後に事故調査報告が出るなら、世間は皆事故のことすら忘れていて、一年前の大失態はそれほど追及されなくて済むと頬かむりをしているということでしょうか。

 訓練生とは言え総員4名ものパイロットが乗っていて、だれかが気が付いて、ギアーと叫ばなかったのでしょうか。 ギャーとでもいいのですが、、、

 ギアレバーをちゃんと操作したけれど、機構的に故障していて降りなかったから胴体着陸になったと言う言い訳をしたい状況があったとしたなら、さらに罪が重くなります。

 ギアーを操作するとギアの位置指示計器が、まずはギアーが移動中という指示をし、ロックされて初めてダウンロックの指示が出ます。

 またギアーがダウンロックするときにラッチが噛む時の軽いショックが伝わってきます。

 また電動の場合は注意すると軽いモーター音が移動中に聞こえてきます。

 ギアーを下すと空気抵抗が増え、同じパス角速度で飛ぶとパワーがその分少なくなっていますし、パワーを標準通り使えば当然速度が幾分早くなります。

 太陽の位置によっては滑走路付近に映る自分の陰でもギアダウンを確認することが出来ます。

 4名のそれぞれの目、耳、体感がこのうち一つでも気が付いていたら胴体着陸は回避できた可能性が高いでしょう。

 今回の2つの胴体着陸の事故調査は部内調査とせず、どこか外部組織に依頼したらいかがでしょうか。より正確な調査結果が出そうに思います。

 でないとかりに、国土交通大臣が悪いとか、安全運輸委員会の組織運営が悪いなどという事故調査結果は初めから出そうにないと思うのですがいかがでしょうか。

ヘリコプターの着陸と離陸、、、





 ドクターヘリが着陸事故を起こし、医療関係者の方たちや着陸場所を提供していただいている方、またその周囲の住民の方たちに大きな不安を与えていることでしょう。

 事故機の直接運航する関係者はもとより、航空当局、さらにはドクターヘリの運行を発注している病院や県、そして厚生労働省関係者の至るまで、多くの関係者は真摯に原因の究明と再発防止に努める必要があります。

 このような事故の原因を考える上でヘリコプターはきわめて安全容易に垂直に離陸し、また垂直に降下して着陸できるものだという誤った認識があり、この考え方は全くの素人の一般人から、航空行政関係者、運航を発注する人たちから、これはプロのヘリパイロットまで蔓延しています。

 ヘリコプターの操縦訓練や資格試験において、離陸や着陸はどんな場合でも飛行機と同じように一定の角度で糸を引くように飛んで行います。

 垂直に離着陸するのは小型機で1.5メートル大型機で3メートル程度だけで、10メートルも20メートルも垂直離着陸するような離着陸方法はいかにパワーが十分な機種でも危険極まりなく、誰も教えませんし、試験でもそのようなことは一切しません。

 ドクターヘリの離着陸を見ていると10人中8人から9人は50メートルも100メートルも垂直に上がり、ほとんど垂直に下りてくるような飛び方をするパイロットばかりです。

 基本的な離陸は1.5メートルのホバリング高度を維持したまま、速度をつけて転移揚力が付けば上昇パワーで速度は最大上昇速度で上がっていきます。

 着陸は自分が決めたパス角度 8度とか12度、障害物があればそれをクリアーできる角度を保ってホバリング高度まで、速度を一定の減速率で着陸します。

 防災ヘリやドクターヘリがこのような原則的な離着陸をしなくなった理由は、一番は防災用ヘリポートの規制緩和で10メートル上空の仮想着陸対を認めたことが一つの原因となっています。

 もう一つ重要な原因はピストンエンジンの力のない、垂直に離着陸が物理的にできなかったヘリから、ジェットエンジンの強力なパワーを持ったヘリに代わり、一見簡単に垂直離着陸ができるようになったという背景があります。

 最近ではドクターヘリの離着陸、特に離陸を見ればそれが一目瞭然で、全く意味のない高度100メートルまで最大powerでホバリング上昇していく馬鹿なパイロットが多く見受けられます。

 ヘリがなぜ一定のパス角度を進入上昇していくのか、その基本中の基本を忘れ、安易に垂直離着陸を繰り返してきた報いが出たようなものです。

 まったく意味もない、不安全な離着陸にいつもいつも最大powerを振り絞って飛ぶことを強制されるヘリコプターもかわいそうなもので、そりゃたまには横風も食らってテールロータは悲鳴を上げるし、落とされたりしてオーバーパワーを使えば回されるは、落下は止まらないはと、危険この上ない状態にもなるでしょう。

 少々powerがあるなどと侮っていると落とされたときは同じ石だと気が付いても間に合いません。

ドクターヘリ秦野事故、風を知っていたか?









 東海大ドクターヘリ事故は台風の周辺地域の突風気味で方向の変わりやすい現場の風が影響したのではないかと言われています。

 運航再開の対策として「 消防機関と連携した離着陸場の風向きや風速の変化の確認強化 」をすると言っていますので、着陸の失敗が風の要因が強く、パイロットはあらかじめ風を十分に確認することなく墜落したのではないかと認識しているようです。

 消防本部によっては防災ヘリとの連携でいつも要求されているようで、ヘリに対していつも無線を通じて天候状況と風の情報を報告してくれます。

 さらにレスキュー工作車や散水車で先着していただく、消防隊員が吹き流しを携行してきて、立ててくれるところもあります。

 消防隊員の方たちには防災航空隊などで、気象状況や風向風速の報告の仕方などについて一応の教育を実施しているようですが、ヘリのプロではありませんのでパイロットが望むレポートが必ずしもあるとは限らないようです。極端な例では風向きを180度間違って報告してしまった例もあります。

 吹き流しはヘリが必要な風を指示出来る所、例えば工場なら建物の屋根の上などが望ましいのですが、一般的には他人様の土地を無償で善意に頼って借用していますのでそのようなことは不可能です。

 消防車の屋根の少し上につける程度が関の山で、吹き流しはほぼないと思ったほうが良いでしょう。

 また低いところに設置した吹き流しは正確な風の状況を指さない場合が多く、下手に信用するとえらい目にあいます。

 さらに言えばドクターヘリは救急車や先行の消防車よりさらに早く、地上支援の要員が誰もいないまま着陸する場合も多々あります。

 着陸地の安全確認から風の状況、周囲の状況などすべてをパイロットが単独で判断して着陸する場合もあり、風の状況を地上から送ってもらわないと安全に着陸できないレベルならドクターヘリは飛ばせないということになります。

 パイロットが着陸前に地上の風がどのように吹いているのかを観察して正確に知ることはかなりの経験と知識が必要で、今回のようなフェーン現象時の突風気味の乱れた風や、無風に近い穏やかで日照が強い時、瞬時に180方向が変わりやすい谷筋に直角に吹く強い風などが難しいようです。

 もう一つの着眼点は平素から天気図と現場の風の関係をいつも注意深く思いを巡らせておくと、天気図から現場の風を予想して現場に臨むと比較的正確に風をつかむことが出来ます。

 上空から木々の揺れ具合や水面の波、煙突の煙、田畑の作物の葉の流れなどを観察し、自分の予想と照らし合わすことによってより早く正確に風を知ることが出来ますが、全くの白紙で観察をはじめると時間がかかってかつ間違う可能性が出てきます。

 上層の風の流れと地形に影響されて変化する風の状況も経験と知識でかなり正確に判断できるようになります。

 飛行機のパイロットは管制塔から何度何ノットと正確に情報を受けることが出来、この情報は100時間のパイロットも1万時間のパイロットもまったく同じですが、ヘリのパイロットは風に対する熟練度はそれこそ天と地ほど差があると言っても過言ではないでしょう。

 消防との連携を強めて風の情報を密に得るということは、素人パイロットには重要でしょうが、プロのドクターヘリパイロットはそんなことしないと墜落するなら何回でも墜落することでしょう。

 

 

ドクターヘリ秦野事故 ヘリの性能から見ると、、、




 神奈川県の東海大ドクターヘリが着陸時に墜落したのは、着陸寸前にパイロットが誤って回復不可能な降下率に入れてしまったか、ヘリコプターの性能が一時的に最大使用可能パワーでもホバリングできない状態になってしまったかのどちらかです。

 あるいはどちらかが主因でどちらかが副因となる複合的なことが原因です。

 どちらにしても、着陸時の風が正対風であればほとんど起こり得ないのですが、おおむね風は常に変化するものなので、少しくらい風向風速が変わったとしても、いちいち墜落していては事故ばかりということになります。

 ドクターヘリに限れば、現実にはそれほど多く事故は起きていませんが、ヘリ全体では同じような事故は結構起きていますので、ハインリッヒの法則に、乗っ取れば墜落まではいかなくても激突寸前に回復できたというような例は30例はあると言うことになります。

 そのような激突寸前の情報を集めて正しい対応策を取っていれば今回の事故は回避できた可能性はかなりあるということも言えますし、逆に同種の事例で激突寸前の事例が多くあったのなら、今回の事故は起きても仕方が無いとも言えるでしょう。

 運航会社などが多くの運航実績から、このようなことが起きていることを知らなかったと言えば間抜けというしかないでしょうし、知っていたけれども適切な対応策や訓練や教育を行っていなかったとしたら、怠慢というしかないでしょう。

 私はこのような事例がドクターヘリの着陸時に起こるということは強く自覚していましたし、自分なりにこのようにならないための進入、着陸方法を取っていました。

 どのような着陸方法ですか教えてくださいと言われたことはありませんし、パイロットはすべて国家の免許受けて飛んでいるプロですから、それは人に聞くようなことではなく自ら編み出して確実に実行することがプロというものでしょう。

 少なくともドクターヘリのパイロットは2000時間も乗っているのですからそのような気構えが無ければプロとはとても言えないのですが、私がドクターヘリに乗り出した頃、私の周りにはそのようなパイロットは審査操縦士や教官操縦士を含めて見当たりませんでした。

 私は一応機長発令のための30時間の訓練を受けましたが、訓練にたずさわったパイロットの大方はわかっていないなというの実感でした。

 一例をあげると砂塵が舞う着陸で、パワーを最小限で砂塵の舞い上がり最小限の着陸を実行しているときに、ヘリの行脚を止めないので滑りこもうとしたとき、15000時間の操縦士の操縦桿を2000時間のひよこ教官が取って行脚を止めたため、砂塵が最大限に舞い上がったことがありました。

 ふつう いかに教官とは言え、自分の10倍近い経験のあるパイロットの操縦カンは触れないものですが常識もなかったということでしょう。

 防災ヘリの着陸場所の許可基準の設定は普通の障害物の制限から10メートル上空に仮想へリポートを設けてあるのですが、これは10メートル垂直に降下するという設定で、この垂直に降下する操作が大変危険な操縦でこの着陸方法で常に着陸しているといずれ今回のような目に合うことになります。

 今回のような着陸事故の原因は垂直に降下する着陸方法がヘリのホバリング性能の限界を超えてしまう恐れがあり、少々障害物があってもホバリングの高度が高くならないような進入方法をどのように実行するかが決め手となるのですが、そのようなことは誰も教えてはくれないでしょう。

 砂塵防止着陸法も同じ要領なのですが、ドクターヘリパイロットでそのようなことを実行しているパイロットは何人いるのでしょうか。
 

 

オリンピックも終わり、、、




 低迷を続けていた日本の国力も若者たちのオリンピックでの大活躍で底を打った様子で大変うれしい結果です。

 エコ、リサイクル、温暖化、原発の欺瞞で落ちるところまで落ちた、日本の企業経営も今日のシャープの中国人の新社長の日本語の記者会見で何か一縷の希望を感じました。

 鴻海は台湾企業ではなく、実は中共企業だと言われているようでしたのでシャープももう終わったと思っていたのですが、ほぼ完ぺきな日本語を話すとは少しは希望が持てそうです。

 NHKは朝から台風一辺倒で、自ら持てる、有り余る中継能力のテスト、訓練をしているのかと思うほど中身のない現場レポートを繰り返していて、災害報道に徹するのかと思っていたら、くだらない朝ドラだけは流しました。

 日本は関東だけではないので、いいかげんでつまらない台風中継は打ち切ったらどうかと思うのですが、いつになったらやめて、つまらない通常番組に戻すのでしょうか。

 貧困問題を取り上げた見事なばかりのやらせレポートで大炎上しているようなので少しは台風で目をそらそうとでも思っているのでしょうか。

 私の尊敬する武田教授が最近素晴らしいブログを連発しておられます。


 日本を滅ぼしたら、世界中を奴隷にするという白人支配が完成するという最後の最後で、豆粒のような日本が激しく戦って、負けはしたものの大打撃を与え、白人支配の流れを止めることが出来たそうです。

 あの時に日本が何もしないで負けていたら、有色人が金メダルを取るようなオリンピックはなかったことでしょう。

 ヘリコプターの世界はごくごく小さなものですが、たまには違った見方も大切だということがよくわかります。
プロフィール

bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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