D-CALL-NET 運航技術的検討、、、、
しつこいようですが今日もまたD-CALL-NETについての話題です。
D-CALL-NETは車に装備された機器がGなどを感知して車の重大事故を自動的に感知し、運転者などが救助救急要請を自らできないほどの重傷を負っていても、自動的に位置や事故の情報をドクターヘリ基地へ通報し、ドクターヘリが緊急発進するというようなシステムであると私は理解しています。
理論的には非常にすばらしい救助救命システムですが、ドクターヘリなどの運航技術的な検討をして、本当にそれが機能するかどうか、またそのシステムによるヘリコプターの運航が果たして安全確実に行うことが出来るかどうかを見てみたいと思います。
というよりこのシステムを考え出し,実際に運航をしてみようと機器を開発し通信連絡網を構築し、そしてすでに数十万台の車にすでに積まれているそうなのですが、当事者たちは公的ヘリを巻き添えにして運航実験をする前に少しは検討し、自前のヘリを使って実験でもしてみたのでしょうか。
このシステムを推進しているトヨタとホンダはどちらも子会社にヘリコプターを運航する会社を持っているのですから、少しでも運航が可能か、有効性はあるか、安全性は確保できるか、現行のドクターヘリや防災ヘリの運航実態に合っているかなど簡単に調べることが出来そうに思いますが、いったい何を調べてみたのでしょう。
子会社のパイロットたちは何の意見も聞かれなかったのでしょうか、あるいはパイロットたちは出来るとでも思っているのでしょうか。
昨日取り上げた熊本に事例で昼間に起こったとして運航の可能性を検討してみます。
熊本の例では事故車は国道から目撃なしの状態で10メートル転落し、重症で救急要請が出来なかったのですがD-CALL-NETの装置があれば、自動的に重大事故、救助を要する事故として、GPSの位置データとともにドクターヘリ基地へ通報されます。
最寄のドクターヘリ基地のヘリは緊急発進すると同時に、運航管理者が直近の消防へ支援車両と救急車を事故ポイントに一番近いランデブーポイントへと出動します。
場合によっては別動の救助隊が直接事故現場へと向かうことでしょう。
このような手順を経て動き出したものの内、ヘリが一番先に現場へは着きますが、もしうまく事故車を発見したとしても、最寄の着陸可能な場所へ着陸するか、最寄のランデブーポイントへ着陸するか、決定する必要があります。
最寄の現場直近へ着陸した場合は事故現場までは徒歩自力となりますのでどんなに近くても30分程度は掛かるでしょう。
ランデブーポイントへ着陸すると、消防の部隊を待つ必要がありますのでこれも時間がかかり、かつ、消防を案内して救急車か徒歩での移動となり相当な時間が掛かるでしょう。
ということで初動で動くべきは消防や救助隊で、何もドクターヘリがあわてていく必要はさらさらないということになります。
ならばそもそもD-CALL-NETの緊急情報はドクターヘリ基地へ入れる必要などさらさらなく、消防へ入れるべきでしょう。
ここまで考えると、ホイストの危険性と知らないで狭い機内に無理やりつけろと現実離れした意見を言っていた某ヘリ評論家がいた理由が良くわかりました。
ということでどこをどう考えても消防などの救助組織を飛び越えてD-CALL-NETとドクターヘリをリンクさせることはまったく利点などなく、それをもし実行しようとすると、現場直近着陸すらおぼつかないドクターヘリを奈落の底までの危険性を増すばかりです。
このようなことはパイロットのヘリの運航技術的限界と、ヘリの性能装備から火を見るよりも明らかなことなのですが、運航会社のパイロットはただのサラリーマン、大会社の利権に尻尾を振るドクターヘリの管理上層部はただの文化人と言うことで、なんでも言いなりということになっているようです。
このような事故救助事例は防災ヘリや県警ヘリで十分な性能のヘリに十分な装備をし、パイロットの十分訓練を受けた経験者が対応して行い、救助中、救助後にドクターヘリの医療介入が必要ならそれから飛んでいけば良いということです。
しつこいようですがドクターヘリをD-CALL-NETなどと言ういかがわしいもので呼ぼうなということはやめるべきでしょう。
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