航空機の中のヘリコプター、、、、




 もともと日本の航空制度ではヘリコプターと言う特殊な航空機の扱いは一般の航空機とまったく同じ扱いで今のその基本的な制度は変わっていません。

 航空の正常な発展に事故や危険性はあってはならないという考えが基本的にあり、航空機と言うものが巡航したり、離着陸するなどすべての段階で、障害物や他の航空機にぶつかって墜落することなどはもってのほかということになります。

 離着陸の場合に正常に飛行していて、障害物にぶつからないかとか、滑走路の脇にぶつかるものがないかとか、滑走路の広さや長さや強度などは十分に安全率を持って造ってあり、パイロットが離着陸する段階でいちいちそのようなことに注意を取られて事故を起こさないようになっています。

 このようなことはヘリコプターの場合もまったく同じように基本的に決められていて、ただ飛行の自由度が高いヘリに合わせて、その基準値が違うだけで、パイロットは着陸進入中に障害物にぶつからないか心配しながら飛行することはないように決められています。

 これは臨時に着陸場所を決めて着陸する場合もまったく同じで、事前に調査し、申請し、許可を取ることになっていますので、飛行場や正式なヘリポートに離着陸する場合とまったく同じです。

 また飛行作業の内容で農薬散布したり、救助訓練をする場合なども、事前に空域を調査し、安全性を確認して申請し、許可を受けてからしか飛べないようになっていますので、基本的にパイロットが何か特別なものにぶつからないかと言うような心配をしながら飛ぶということはありえないということになっています。

 ですから農薬散布飛行で送電線に衝突して墜落するのは、基本的には許認可申請はまともだったけれどもパイロットが馬鹿で失敗したということですべて一件落着しています。

 ということで日本ではヘリコプターのパイロットが障害物を縫って離着陸したり、危険性の高い内容の低空飛行をするような特別な操縦技術はまったく求められることもなく、当然訓練もする必要もなく、そのような状態は起こりえないということになっています。

 このようなことはもちろん建前上の話ですから、日本で飛ぶヘリコプターが他の国で飛ぶヘリコプターと違いがあるわけでもなく、どこかの知事さんが言っていた様に、わが県のドクターヘリには赤外線で障害物がわかる装置があり、どんなときでもどんなところでも飛べるというような魔法の機械も存在はしないでしょう。

 ドクターヘリなど人命救助のヘリは障害物にぶつかるような飛び方はしない、する必要がないという基本的な体系から一挙に安全確認の諸制度を無視して、許認可を受けることなく自由に飛んで良いとなったのですが、さて今までのように超保護されて来たパイロットにいつから超能力がついたのでしょうか。

 訓練もすることなく、審査や特別な免許を与えることもなく、なぜ自由に飛ぶことを許す根拠はどこにあるのでしょうか。

 よくわからないのですが誰かこれに答えることが出来るのでしょうか。
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連続するヘリコプター事故、、、






 11月22日の群馬県安中で起きたR22の事故以来、世界中でヘリコプターの死亡事故が連続しています。

 アメリカ ニュージーランド 台湾 インド このほかに韓国でも米軍機が墜落したようです。

 航空事故は続くというジンクスがあり、日本でもヘリコプターの事故が続いたことが良くありましたが、バブル以降、日本では民間ヘリコプター運航の量が半分程度以下に少なくなってしまっていて最近は事故そのものの数がずいぶんと少なくなっています。

 しかし油断は出来ないもので、やはりある程度の確率でおきますので、安全に対する感覚は失ってはならないでしょう。

 事故が少なくなるとどうしても油断が出てきて、さまざまな安全対策がだんだんと手薄になってくる傾向があり、いったん事故があると、また緊張感が出るということの繰り返しになるようです。

 日本にヘリコプターが入ってからの事故件数は数百回の単位になるほど多く起こっていて、今後新たに起こる事故の原因は過去起こった例がないということはないほど多くの事故が起こっています。

 つまり、今日本でヘリの事故が起これば、同じような事故が過去に起きているということになり、過去の事故をすべて検証して、それに対する予防処置を抜かりなく取っていたら新たな事故は起こらないということになります。

 しかし人間の知恵や記憶力、過去のことに対する真剣な反省などは本当にお粗末なもので、何回も同じような間違いを繰り返すものです。

 まったく話は飛びますが、前の太平洋戦争などは過去の軍の暴走だとか、強国アメリカに戦争を挑むなどはまったく無謀な戦争だったとか、簡単に結論付けてしまう考え方ではまた同じ間違いをすることになるでしょう。

 過去の間違いを知っていれば新たに、同じ間違いは絶対にしないなどと言う考えほど浅はかなものはないでしょう。

ヘリコプター ホワイトアウトもいろいろ、、、、











 雪の季節のヘリコプターの最大のピンチ、ホワイトアウトも色々あるというお話です。

 一般的にはヘリコプターが雪でホワイトアウトと言う状態になって墜落と言う場面は、ホバリング中に自分の激しいダウンウオッシュで降り積もった雪を舞い上げて、視界を失って姿勢制御できなくて墜落と言うものが一般的に知られています。

 数年前に青森県の海上自衛隊基地で滑走路上でホバリングの訓練をしていたSH60が見事に横転してしまいました。

 この状況を想像するに、広い滑走路ですからかなりの正対風でホバリング中は舞い上がった雪は後方へ飛んでいくので視界を失うことはありませんが、エプロンへ移動しようとしたか、ホバリングターンをした時、後方から風が来る背風状態になったときにいきなり自分が舞い上げていた雪が一挙にヘリを包んでしまったのではないかと思います。

 ホバリング状態のホワイトアウトでもまったく雪が舞いあがらなくてもなるという事例が自分の体験であり、大きく姿勢が乱れたことがありました。

 当日はどんよりとした全天曇りで日差しはまったくなく、着陸地点が広い田んぼを踏み固めて少し凹凸がある程度でした。

 風もまったくない日で、送電線パトロールを終えて着陸するとき通常通りに進入し、ホバリングをして、接地するべく、前方下方向のチンバブル(下方確認用の風防)へ視点を移したトタンに姿勢がわからなくなって大暴れしていました。

 もちろん回りの風景も真っ白ですし、チンバブルを通してみる地上の様子も真っ白ですから、大暴れしていることは自分自身ではまったくわからず、遠方の地形などを見て初めてわかったしだいです。

 近くに障害物があったり、接地面がでこぼこしていたら大事故になるところでした。

 ホバリング中以外に巡航飛行中に起こるホワイトアウトは、普通に雲に入ったときと同じなのですが、違いがあるのは、雪の降り方がだんだん強くなってきて、少しずつ視界を制限されてきて、外の山や平地など地形地物が積もった雪で真っ白なので気が付くと視界がまったく失われ、姿勢がわからなくなる現象が起こります。

 雲に入って視界を失う場合はある程度、雲の境界がわかりますが降雪中の巡航飛行ではいつの間にか視界が効かない状態になるので大変危険性が高いと言えるでしょう。

 降雪地域に入っても、地上にそれほど雪が積もっていない時や、積もっていても急な山間地など風景が真っ白にならないときには比較的ホワイトアウトになりにくいといえるでしょう。

 巡航中のホワイトアウトで怖いのは、地上の積雪風景と雪の降り方で視界を失って行く状態になるときに、さらに雲の中へ入ってしまうことで、雲の境界が非常に見分けにくく、最大の危険性があります。

 このような状況で飛ぶことは極力避けなければなりませんが、しかしまたどの程度の状況ならどうなるかと言うことを知らないということもまた危険だということはいえるでしょう。

 厄介なことです。

 役立たずの防災ヘリを、、、、、




 先日 ある方からの書き込みで 「役立たずの防災ヘリを止めれば、、、」 という厳しいご意見をいただき、私が 「貴重なご意見と、、」 いう返信を入れました。

 今日はこの貴重な意見についての記事ということで忌憚のない思いを書いてみます。

 結論から言うと防災ヘリはいらないと言うのが私の意見で、その読者の方とまったく同じです。

 色々理由はありますが、防災ヘリが想定する出動要件に見合う出動事案の起きる回数があまりにも少なすぎるという致命的な理由がまず第一でしょう。

 いいや 災害多発国日本ではいつ何時あるかわからないからこそ防災ヘリを導入したのだと言う意見が出るでしょうけれども、今の出動実績数から言うと3県に一機でも多いでしょう。

 県単位に配置したばかりに実働回数の割には訓練ばかり必要で、しかもその連度を保つだけの予算が希薄になって十分な維持が出来なくなって来ています。

 そして肝心の大災害時には県ごとの組織運営のため、うまく連携して活動しているとは言えないような状態となっています。

 このような欠陥は消防ヘリや県警ヘリも同じようなことを抱えていると言えるでしょう。

 最近になってこのような公的ヘリ全体のパイロットの採用、養成、育成、人事技量管理の欠陥がもろになってきて早急な改善が必要となってきているのは、すべては各県ばらばら運用が発端、最終的理由となっています。

 将来的に健全で適正な運航を目指すならば、公的ヘリの県単位運航をいい加減にあきらめ、全体の機数を整理し組織を大きくして全体的な人事管理、機材管理、技量技術管理をしないことには、ドクターヘリのパイロットが足りないからどうしようなどと騒いでいる程度では何の解決にもならないでしょう。

 いきなり一挙に解決は出来ないでしょうから、とりあえず、役立たずの防災ヘリなんかいらないので3分の一にして統合し、それを手始めに全体像を変えることを始めるべきでしょう。

 民間ヘリ会社に丸投げしていて、気が付いたら今のようなざまになってしまったようです。

いよいよ雪の季節 到来、、、、






 いつまでも暖かく紅葉が遅れ遅れになっていた季節が一挙にすすみ、いきなり札幌では60年ぶりに11月に40センチ以上の積雪を記録したそうです。

 もうすでに札幌のような平野部で40センチの積雪を超えたようですから山間部などではすでに根雪になるほどの量が積もっていることでしょう。

 今晩あたりから真冬並みの寒気団が日本列島に下りてくるそうですから、本州の山々も一挙に雪景色することでしょう。

 この時期から根雪が解ける来春までの間はヘリコプター運行関係者にはつらい季節となります。

 特にドクターヘリのように基地ヘリポート以外の場所に着陸する運航にとっては多くの危険性があり、同じように雪の上を飛ぶ運航でも基地にしか着陸しない場合とはずいぶんと厳しさが違ってきます。

 特にドクターヘリの運航はいったん基地を飛び立つと、必ずランデブーポイントか患者さんの直近かどちらかの現場へ着陸する必要があり、除雪や圧雪されていない、あるいは新雪の爆発現場のように舞い上がる雪の中へ着陸する必要が出てきます。

 このような現場の離着陸が本当はどの程度の危険性を孕んでいるかは相当な積雪地域の運航経験があるパイロットに取っても状況判断と適正な操縦技術が求められる特殊な事柄と言えるでしょう。

 高度な離着陸技術はもとより、降雪状態で飛行技術や天候判断なども、通常の雪のない季節地域とは一味もふた味も違ったものになり、このようなものの基本的な訓練はぜひともシラバスを決めて事前教育が必要といえるでしょう。

 ベテランといえるヘリパイロットにはこのような雪のオペレーションの経験が必須なのですが、2000時間程度ではどこで飛んでいたとしても十分な経験を持っているとは言いがたく、このあたりの教育訓練がどの程度行われたか程度は確認が必要でしょう。

 無事に暖かい春を迎えるために、、、、、、

ドクターヘリパイロット 若手求む、、、





 毎日新聞がドクターヘリのパイロット不足を取り上げて相当な反響があるようです。

 前回はNHKが取り上げたのですが内容は同じようなもので、目新しいものはありませんが、より深刻に認識しているようです。

 このブログでは何回となく取り上げていますし、私のようなものが講演に講師として呼んでいただいたのもこの件がテーマでした。

 新聞では50代以上のベテランが3分の2以上で35歳以下はひとりもいないと悲観していますが、それでも実情を知らない記者が書いている証拠を教示しますと、50歳以上はベテランと気安く呼んでいますがそれは年齢が50歳以上で人生のベテランでしょうけれども最近のヘリパイロットの50代以上の者の半分程度はヘリパイロットとしての経験はそれほどなく年ばかり食っているものが多くなっています。

 いずれにしても厚生省も国土交通省も知ってか知らずか、民間業者に依存しすぎているのか、信用しすぎているのか良くわかりませんが、少しでもその気になれば5年後10年後どうなるか程度のことは馬鹿でもわかりそうなものです。

 今から調査するそうですがそれもどうせ民間運航会社からアンケートでもとって、補助金をばら撒いて民間飛行学校を太らせる程度の対策でお茶を濁しそうな感じがします。

 もしそうでなければ良いのですが、今現在、相当程度の対策を打って、直ちに要員の養成育成を始めたとしてもその訓練生が一人前に飛べれようになるには10年後で、今の50代以上の半分はいなくなっているでしょうから、ドクターヘリや防災ヘリの運航を止めない限りは、飛ぶパイロットの技量は急降下となりそうです。

 もはや手遅れというのが実態ですが、それでも何もしないより何らかの手を打つほうがましなことは確かです。

 ことはパイロットの養成制度だけではなく、法制度から運航契約、人事管理、訓練のあり方、勤務体制、自衛隊パイロットの活用の問題点などなどほとんどすべてを検討改善する必要があることはこのブログでほとんど取り上げています。

 過去の記事を読んでいただければわかるでしょうし、読まなくても業界関係者はほとんどお見通しなのですが、現場レベルではなにも改善は出来ないというねじれた中での運航が続いています。

 農薬散布ヘリを250機飛ばした時代の日本人の活力はどこへ行ってしまったのでしょう。

ヘリコプターで蕎麦を食べに行くことは悪いことか?(2)




 一昨日起きたR22に死亡事故はその後の報道で小諸の蕎麦屋さんへ蕎麦を食べに行くことが飛行目的であったと報道されています。

 2010年に私はこのブログでヘリを使って蕎麦を食べに行くことは悪いことなのかという記事を書いていますので今日はその続編となります。

 民間の航空機が飛ぶ場合にその飛行目的が良いとか悪いとか差別を受けるいわれは航空法の精神からは、まったくないと言って良いでしょう。

 蕎麦を食べに行こうが釣りにいこうが自由民主国家では、まったく自由ということになりますので、テレビや新聞が一言でも今回の事故に飛行目的を批判するようなことを言うと、テレビや新聞はつまらない事件で飛ぶなということになります。

 航空法は航空の発展をもって国民生活の利便性を推進するということが目的ですので、どこにでも離着陸でき、2地点間を直線で200キロ以上の高速で移動できるヘリコプターは、他人の権利や安全を侵さない限りもっと自由自在に飛行させることが航空法の目的に沿うでしょうから、適正に整備されて法的な要件をクリアーしている蕎麦屋のヘリポートへ飛んでいくことは誰からも非難される筋合いはないでしょう。

 それよりも狭いところへ安全に自由自在に離着陸できる現在のヘリコプターの性能を無視した離着陸場所の過剰な制限がヘリコプターというすばらしい乗り物の普及を阻害しているように思うことはごく普通ではないでしょうか。

 規制当局はドクターヘリなど公的ヘリに対してほとんど無条件でどこにでも離着陸をすることを許しながら、その運航を担うパイロットに新たな訓練や技量を求めることなしで野放しにしています。

 しかもそのような運航は人命がかかっているような場面ばかりでパイロットは相当な緊張状態で運航することが普通で、安全運航の継続には相当な制約を課す必要がありそうです。

 公的ヘリの緊急状態の運航でも、そのような制限事項がいらないという事なら、通常のヘリの離着陸条件は大きく緩和してもなんら問題がなく、大いにヘリコプターの普及に貢献し、よって国民はヘリコプターの恩恵に預かれる場面が増えることでしょう。

 ヘリコプターで蕎麦など食べに行くなというような風潮がヘリにかかわる規制緩和を妨害し、ヘリコプターの運航技術の発展を阻害し、ヘリパイロットは障害物のまったくない広大なところへしか離着陸が出来ないような、いびつな形態が世界のヘリの常識から日本のヘリが置いていかれる原因となっているのではないでしょうか。

 蕎麦を食べに行くヘリが墜落するなら、より厳しい条件で運航する防災ヘリやドクターヘリは墜落して当然ということにならなければ良いのですが、、、、

R22悪天候で墜落??、、、、



 



 昨日は東京へリポートから小諸のヘリポート付きの蕎麦屋さんへ向かったR22が悪天候のため碓氷峠付近の上信越道の法面に墜落し、載っていた2名の方が亡くなりました。

 目撃者の話では現場付近は大変霧が濃かったようですので、いわゆる関東平野と軽井沢付近の天候の大きな差が事故に繋がったようで過去の自分の経験からそう判断しました。

 関東平野と小諸付近は急激に方向が3000フィート以上もあるような地形で、碓氷峠を酒井に大きく天候が変わるところで、速度が遅く、上昇性能も低く搭載燃料も少ないような非力なヘリは相当慎重に天候調査を行って飛行の可否の判断をする必要があります。

 自分が若いころ、まだ20代半ばで1500時間程度の飛行経験しかなかったころ、佐渡ヶ島での農薬散布を終えて、お土産のお米を40キロも積んで川越への基地へ飛行したときの失敗は忘れることが出来ません。

 長野へリポートで給油し、天候を調査し関東平野は霧であるとわかっていましたが、長野は快晴で、しかもお昼近い時間でしたので、霧はだんだんと上がり、切れ始めると判断し小諸をすぎて碓氷峠を越えて下へもぐろうとしましたがまったく切れ間がないびっしりの霧がはれる気配がなく、長野へ引き返し1時間以上も飛行時間をロスして、上司にひどく叱られたことが今回の事故を聞いて頭をよぎりました。

 今回の事故は逆のコースですが、東京へリポートを出発してすでに2時間近い飛行をして事故を起こしていますので、順調なら後30分もしないうちに小諸につけるのですが、すでに残燃料は1時間を切っていいたことでしょうから、東京へ戻る燃料はすでになく、最寄の高崎や群馬のヘリポートにはガソリン燃料が給油できるかどうか怪しいでしょうし、どうしても小諸へ飛び続けたくなったとしても不思議ではありません。

 戻るには燃料が少なすぎ、前進するには天候が悪すぎるという悪条件の中での迷いが悪天候の中へ引きずり込んだという状況でしょうか。

 えてして初心者は性能の劣るへりに乗らざるを得ないので、このような条件になるとさらにより厳しい困難な判断が必要となり事故に結びつく可能性も高くなります。

 事故の本当の原因は今後の調査に待つしかありませんが自分のごく若いころ、逆コースですが同じような性能の低いヘリで同じような気象条件で引き返して上司に叱られた経験が思い出されたものです。

 ドクターヘリ着陸と地上支援、、、




 ある時期から航空法が改正され、ドクターヘリを含む人命救助のヘリは離着陸場所の事前申請許可なく、いきなりどこへでも着陸しても良いことになりました。

 以前は着陸場所が十分な空域と着陸に十分な面積があることが条件で事前調査し書類を作って申請し、それを航空当局が審査して許可が出たらやっと着陸出来たので、離着陸の安全性が行政によって保障されるというシステムでした。

 ドクターヘリは他の救助ヘリと違って日常的に離着陸を繰り返しますので、まったくフリーにするとやはり相当な危険性があるでしょうし、今までの規制はなんだたのかということになります。

 そこでドクターヘリの無許可地への離着陸を認める条件を法的でなく自主規制、内規として決め、運航業者に守らせることを強制したようです。

 一つ目は従事するパイロットの最低飛行経験を2000時間以上とすることで、この件は最近の熟練パイロット不足から条件を緩和しろという声が出てきているようです。

 2つ目の条件は着陸する場所に地上支援の消防隊員などを必ず配置することで、着陸時はその地上支援を受けて着陸すればある程度の安全性は確保できると思ってそう決めたのでしょう。

 この2つめの条件は当初からある程度問題を含んでいたのですがそれは一向に改善されないばかりか、有名無実になってきていると言えるでしょう。

 その問題点の第一は地上支援の内容とその責任範囲についてなのですが、ほとんど何も決まっていないと言え、要は何が起こってもパイロットの責任が軽くなるということはありえないということは確実なようです。

 たとえば風向風速の通報を間違って逆に伝えてそれが原因でヘリが墜落した場合とか、障害物の通報が抜けていて、電線にぶつかって墜落した場合のことは何も決まっていませんし、地上支援する隊員の教育訓練はどうするとかもまったく決まっていないようです。

 もうひとつ最近はCPA(心肺停止)事例などでは地上支援なしの現場へ着陸する事例も普通にあり、当初の安全施策が法定でないためまったく無視して着陸を実行しているようです。

 ドクターヘリが飛び出した当初は地所支援部隊が到着するまでヘリは着陸しないというような不合理なことも平気で行われていましたが最近ではそのようなことはないようです。

 つまり当初安全のため、自主規制内規として始めたことの条件がなし崩しに変化していることは確実なのですが、そのことに対する規制当局や運航会社、基地病院、行政などの間での再検討の動きはほとんどないようなのですが、このことには少し注目する必要がありそうです。

 地上支援部隊の隊員は何をするべきか、どこまで責任が及ぶのか、運航会社と消防にはお互いに指揮命令権はないので責任範囲と支援内容、そしてどちらに主導権があるのかなどほとんど何も決めないでスタートし、今でも地上支援の隊員は何をしたら良いかとパイロットに質問したいようではいったい何を決めてドクターヘリが飛び出したのか、そんなことで本当に良いのかという気になってしまいます。

 今に始まったことではないのですが、いまさらですが、私が飛んでいたころ、地上の誘導にしたがわないと何回厳しくお叱りを受けたことか、そのつどお宅の誘導に従っていたら日が暮れてしまいますとやりあったものでした。

ドクターヘリパイロット 一番のピンチは?、、、




 今日はドクターヘリを飛ばすパイロットの一番のピンチは何かという話題です。

 ヘリのパイロットに取って一番のピンチは天候が悪化して、前にも後ろにも進めなくなったり、機体のどこかがトラぶって直ちに不時着しなければならなくなったときです。

 どちらも度胸さえ決めて、適当な場所を選んで着陸すれば何とかしのげますが、ドクターヘリの場合は患者さんを乗せているかどうかで緊張感がまったく変わってきます。

 ヘリが現場へ向かって飛んでいて、まだ患者さんを収容していない時でしたら、無線で理由を言って救急車対応に切り替えてもらえれば、救急搬送は遅れはしますがヘリのほうは自分の安全を優先して不時着なり引き返すことが出来ます。

 しかしこれが重症患者さんをすでに収容して飛んでいるときにはずいぶんと緊急度が跳ね上がります。

 5年の経験では一度だけこのような例に出くわしたのは、飛行中に原因不明の異常振動にみまわれた時です。

 離陸して2分後くらいから経験したことのない異常振動が始まり、速度を落とすと振動はほぼなくなり、巡航に戻すとまた大きな振動が出て、飛行継続をあきらめて最寄の小さなグランドに着陸しました。

 着陸中に基地病院へ予防着陸する旨無線で連絡し、最寄の消防へ救急車の手配を依頼し、無事着陸し、飛行の継続をあきらめて救急車を待ちました。

 運よく10分くらいで救急車は到着し、無事基地病院へと見送りし、十分時間をかけて振動の原因を調べました。

 

 ヘリコプターにとって原因不明の異常振動は大変な危険性を孕んでいますので色々と点検して色々と調べましたが機構的な不具合は発見できませんでした。

 結局。整備士席のドアーがシートベルトの端末を挟んで5センチほど機外に出ていたものが風圧でばたついて機体を叩いていたと結論であると判断し、無事飛んで帰ることが出来ました。


単純なミスでしたがもし本当に機体の不具合での振動なら大変なことになっていたでしょう。

 このほかには患者さんの乗せた基地へのフライトが降雪で確実性が保障できないとして救急車で搬送してもらったこともありました。

 このようにドクターヘリに取っては患者さんを乗せた状態での緊急事態や天候急変はパイロットに取っては大変なプレッシャーとなりやすく、重大な判断を誤る可能性もあり、パイロットの本当の実力が試される大変な試練となります。

 航空機なんだから機体の調子の悪いときや天候の悪いときは飛ばなければ良いというようなものですが、365日毎日飛ぶドクターヘリはそのようなことも言っておれない事情があります。

 



プロフィール

bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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