ドクターヘリから日よけ落下、、、
佐賀県ドクターヘリが窓に着けていた日よけを落としたと言うニュースが27日でしたか入っていました。
調布の事故に話題が集中していて取り上げることが出来ませんでしたが本日取り上げてみます。
佐賀県は西日本空輸が担当していて、ヘリの種類はベル429が正式機ですが当日は何が飛んでいたか情報はありませんのでわかりません。
患者を収容して飛行中、心肺蘇生の施術中にドアが開いてしまい、すぐに閉めて病院まで飛んできて、窓に取り付けてあった日よけがなくなっていたということだそうです。
EC135の場合、運航当初は日よけを窓の内側に着けていましたが、その後導入される機体には相当濃いサングラス状の色つきプラスチックが着いていますので、日よけを別に着ける必要がなくなりました。
そもそも、窓の内側に車で使うような日よけを着けてよいかどうかは微妙なところで、普通でない突起物が出来ることと、視界をさえぎる可能性があるため規定上は不可と言うことになる恐れがあります。
そのためドクターヘリに使用される可能性が高いEC135は確かオプションであったと思いますが遮光ウインドウが装備できるようになっています。
何のために着けるかというと、日よけの意味よりも患者さんなどのプライバシー保護のためのものであるようで、救急車等のそれと同じ目的でしょう。
今回のトラブルは吸盤などで取り付けてあったごく軽い日よけが吹き飛んで落下したと言うこともありますが、それよりも重要なのは機内に強風が入るほどドアが開いてしまったと言うことがより重大でしょう。
飛行中、ドクターは患者に対して、心肺蘇生中であったと報じられていますので、心臓マッサージ中なら中腰まで立ち上がって患者の胸部を圧迫しますので、シートベルトははずしている可能性が高く、さらに機内にはカルテ等の書類や、使用中の薬品箱、吸引機や小型エコーなど多くのものが固定されないで床などに転がっている可能性もあります。
たまたま落下したのは日よけだと言ってはいますが、ドクター自身が落ちる可能性から、多くの備品書類などが落ちる可能性があったということになります。
ということなら今回のトラブルは結構重大な出来事と言え、十分な対策が必要と言えるでしょう。
数億円もするヘリが大変お粗末なドアーロックであったりしますので、搭乗者はよくその点を自覚し、自らの命を含めて十分気を着けて飛ぶ必要がありそうです。
患者さんのストレッチャーのロックや後部ドアのロックなど一旦外れたら大変なことになりかねませんので、今回の例を教訓に安全確認の徹底を周知して間違いのないようにするべきでしょう。
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調布 小型機事故(4)、、、
今日も調布の小型機事故の続報ですが、運航技術的な面に限って検討してみます。
新聞やテレビの報道ではエンジン故障の証拠になるようなことが出て来ていないのでピントはずれなことを言っています。
燃料を満タンにして必要数の5倍も積んでいた。
満席6人の所を5人も乗っていて重すぎたのではないかと言うことも上げています。
当日気温が34度もあって空気密度が低く馬力が十分でなかったのではないかと言うことも取り上げています。
つまりもっと軽くしないと離陸できないのではなかったかと言うことを言いたいようですが的外れです。
元々ヘリコプターも同じなのですが、小型のものは自家用使用を前提として造ってあり、旅客機や大型ヘリなどとは設計思想が違っていて、素人のあまり知識が十分でないパイロットでも安全に飛ばせるような設計になっていて、基本的には満タン満席、最高気温の状態でも安全に離陸できるような設計になっていて、普通にやれば間違って重量オーバーなどは出来ないようになっています。
大型機などはプロが飛ばしますので、燃料タンクが大きくなっていたり座席も余分に多く着けることができたり、貨物も多く詰めるような構造になっていたりしていますが、遠くへ飛ぶときには座席や荷物を減らしたり、近くへ飛ぶときには余分の乗客荷物が詰めるような設計となっていて、運航時に気温や標高、滑走路長などの条件で重量を調整することになっています。
その点自家用機などでは座席が6席あれば6人乗るし、200リッターのタンクがあれば200リッター入れてしまうのでそれが重量オーバーならいつも綿密に計算する自家用パイロットは少なくて、大きな危険性がありますから初めから満タン満席で重量がオーバーするようには作ってありません。
面白い実例を紹介しますと、ベル206Bジェットレンジャーは座席が5席で、燃料は76ガロンが満タンになっていましたがこの状態がちょうど制限重量とほぼ一致しています。
普通に飛ぶ場合には重量オーバーはほぼありえない状態なのですが、実は燃料タンクの容量は構造上96ガロンだったのです。
給油口を一番上に着けないでタンクの上から2割くらい下がった所にわざわざ着けてあり物理的に76ガロンしか入れられないようにしてありました。
その後長い期間76ガロンで飛ばしていたのですが、世界中で206Bの運航を習熟してきて、あいているタンクの上20ガロン分にも燃料を入れようということが起こり、最終的には給油口を上に移動させ、20ガロン余分に入り、しかも重心位置が後に外れる可能性もある中、認可になりました。
と言うことで長く飛ぶときには重心位置を確実に計算し、搭乗人数を減らすなり荷物を減らすなりして重量も加減し、完璧に準備する必要が出てきました。
航続距離が伸びたのですが素人が重量オーバー重心位置の外れた状態で飛ばす危険性が増えたのです。
基本的に自家用目的の航空機はこのような基本設計が普通で、元定期便機長の解説者たちが今回の事故解説で重量や気温が事故の一因であるかのような解説をしていて、新聞テレビもそれに乗せられていますが、満タン満席で少々気温が高くてもまともに離陸できないような自家用航空機は事故続出でしょう。
今回の事故は残った映像からパイロットは離陸を普通に継続していて、エンジン停止ではないようですから、あと考えられる原因は点火系統に異常か操作ミスで出力が低下したか、スロットルの位置が何らかの理由で全開でなかったか、滑走開始直後に戻ったかなどが理由でしょう。
調布 小型機墜落(3)
今日は昨日の続きで調布小型機事故の運航上の法的検討をして見ます。
パイロットの慣熟飛行に第3者を同乗させることは法的な問題はありませんが、お金を取ると言うことを前提として乗せれば白タク営業となり、違法行為となります。
もうひとつは同乗させた第3者に操縦カンなどを触らせることは飛行訓練をさせるに際して必要な操縦練習許可書(国土交通省発行)を持っていなかったようですのでこれは違法行為となります。
故川村機長はパイロットの養成を目的として会社を立ち上げたと言うことを自身のホームページで言っているいるようですから、今回の飛行目的は訓練とまでは言えませんが、自家用操縦士の資格取得を目的とした顧客、またはそれに興味を示した訓練生の予備軍と言える人を体験目的飛行を有償で行っていたと見ることが普通でしょう。
前席に座った方が操縦カンを持っていたかどうかは生き残った後席の人に口裏を合わせられない状態で証言を取ればこの飛行が違法であったかどうかはほぼ立証できるでしょう。
もうひとつ違法が疑われる点は自家用機である事故機を時間で借り上げて飛んでいたということは貸し出したほうが言っていますのではほぼ間違いはありませんが、その航空機を使用して操縦教育なり慣熟飛行なり、体験飛行を客から金を取って、飛んでいたことが立証されたら白タク営業となり、厳正な法の捌きを受けることとなりますが被疑者がすでに亡くなっています。
こんなことは川村機長が立ち上げた会社の書類を調べたら5分でどうであったか、白か黒かなどわかることであり、関係者がいくら口裏を合わせても、とても隠し通せないでしょう。
クラブ制度でこのように法の網をくぐって航空機使用事業まがいのことをやる実態は数限りなくあり、実際に上げられた例はあまり多くないようですが、事業で航空機の運航を行うことのハードルが高くて値段も高くなる傾向がこのような事を助長していると言う面も否定は出来ないようです。
と言うことで日本国中で国内でライセンスを取ろうとする人たちのハードルがまた上がり、皆こぞって海外へ免許を取りに行くことでしょう。
海外のパイロット養成会社などは治外法権なのでどのようなことをやってきても日本の法律は及ぶことはないのですが、ICAO加盟でライセンスの有効条約を結んでいる国同志のライセンスを書き換えは拒むことは出来ないでしょう。
国内で免許を取ろうとする人たちは、会社員などで長期間の休暇をまとめて取れない状態でしかも何とか安く取りたいと言う人たちなので、そういう人たちの需要が結構あるということもひとつの要因となっています。
日本のパイロット養成制度がうまく機能していない一つの現象として今回の事故の背景要因となる可能性があり、これは行政当局が適正に制度を運用していく、責任からも事故調査は真剣に取り組んで欲しいものです。
調布 小型機墜落 (2)、、
一昨日の事故から新聞テレビはこれでもかと言うほど取り上げていますので、当ブログも負けないように、今日もこの話題を取り上げてみます。
色々問題点が多くてすべてと言うわけに行きませんので、今日は運航技術的な問題を取り上げ、白タク問題など航空法上のことは明日にします。
どうやら事故機は何らかの原因で離陸に必要なエンジンの出力が出ていなかったようで、十分に高度速度を獲得できず、墜落現場の様子から最終的には失速して民家に激突炎上したようです。
サーカーコートで撮影された映像音声ではエンジンは異常音はなく、速度が遅い様子で、ふらふらと左の方へ流れていく様子が写っています。
小型機の訓練で言うスローフライトのような飛び方で、速度が70ノット程度では水平飛行するのには90%程度以上の大きなパーワーが必要で普通の離陸上昇にするには残り10%つまり100%パワーを使わないで高度だけ維持上げようとすると今回のように失速墜落してしまいます。
離陸のはじめに100%パワーで滑走を始め、途中から90%程度のパワーに絞った状態で離陸を続けるとちょうど今回のような状態で墜落します。
あるいは滑走の最初から90%のパワー程度で離陸すると同じようになるでしょう。
パイロットが気が着かないでこのようなパワーセッテングで離陸してしまうことはありえるかどうかと言うことと、エンジンが故障していないのにこのようなことになりうるかどうかがひとつの、事故原因調査のポイントとなるでしょう。
多くのマスコミの報道や航空評論家諸氏の解説を見ましたがこのことを言っていた人は一人としていませんでした。
航空自衛隊の訓練の科目の中で、編隊飛行の訓練のひとつに編隊離陸の科目があり、離陸は僚機の使えるパワーの余力を与えるため2機編隊では98%、4機以上では96%パワーで離陸します。
もちろんパワーが落ちた状態で離陸しますので、滑走距離は伸び、速度高度の獲得は単機離陸より遅くなり、その性能の下落はマニュアルの性能表で知ることが出来ます。
参考ですが大昔、F86Fのブルーインパルス時代、離陸直後に滑走路上で4機編隊のままロールを打つ科目があり、ロールの最終段階で一番下になる4番機が基地周辺の松ノ木にテールを当ててから以降この科目は行わないようになったそうです。
100%パワーなら十分安全な高度で出来るのですが96%のパワーだと十分な高度速度を得ることが出来ないと判断しかしたからでしょう。
民間のパイロットは96%や98%で離陸することはありえないでしょうから、加速、高度、速度の感覚の差はわかりにくい事でしょうし経験600時間程度ならなおさらでしょう。
エンジンが故障していないのにこのような状態は起こるでしょうか。
起こります、確実に起こりえます。2つの例が考えられますし、離陸中ではありませんが実際に自分自身でも経験しました。
エンジンの音が変らないのにこのような状態が起こるのは、ひとつにはスロットルをパイロットや同乗者が意識しないで動かしてしまったり、振動やフリクションの緩みで、戻ることがありうるからです。
定期便の副操縦士が離陸中は機長の持つスロットルに後方から手を添えて戻らないようにしているのは万が一のこのような危険性を防ぐためです。
もうひとつはスロットルのストロークの前方向に何かが挟まっていたりすることもありえます。
小さなナット類が挟まっていると致命的です。
自分はT1の訓練中、ファイナルターンで速度を切ってしまい、最後まで我慢していた後席の教官がゴーアラウンドのため思いっきりスロットすを前に出したとき、前席の自分の人差し指が思いっきり挟まれたことがありました。
もうひとつ考えられることは、航空機のピストンエンジンのシリンダーヘッドには2つずつの点火プラグがありこれは片方の故障に備えて着いているのです。
通常は2つで100%のパワーが出るのですが、片方が死ぬと5%から10%馬力が落ちるようです。
ピルトンエンジンの航空機は離陸前にこの系統の点検のためスイッチで片方づつ切って両方が正常であるかどうか確認します。小型機の場合この点検は離陸直前に滑走路のすぐ脇でパワーチェックなど他の点検と一緒に行った後離陸することとなります。
この事故機は離陸前点検はすでに行ったと管制塔に通知して先行機に順位を譲ってもらって先に離陸したようですが、このとき急いでいたので、走行しながらこの点火栓の点検を行って片方のスイッチを戻すことを忘れたか、十分戻っていなかった可能性でパワーが出ない状態で離陸してしまったのではないでしょうか。
このスイッチは安全上のためスプリングリターンになっていてきった状態でとめられない物もありますが引っかかって戻らないと言う可能性もあります。
経験が十分なパイロットならこのような不具合でパワーが出ないことに気が着いて離陸を中止したかも知れないのですが600時間程度でしかも高性能のマリブにどの程度なれていたかもあまり定かではありませんので断定は出来ませんが原因究明のひとつの要素としては十分可能性はあります。
明日はこの事故機の運航の法的問題点を取り上げます。
このような事故に至る経過の予想は正しいかどうかわかりませんが高級評論家諸氏はまったく言っている人はいなかったようです。
パイパーマリブ 離陸直後に墜落、、
昨日昼前 調布飛行場の滑走路17から離陸した5人乗りのパイパーマリブが直後に墜落炎上し、地上の方1名を含む3名が死亡し、負傷者も出たそうです。
パイパーマリブは小型単発機の最高級機種で、低翼引き込み脚、与圧キャビンで20000フィート以上を200ノットで巡航できる高性能の性能を持っています。
セスナなどの基本機首で訓練を受けたパイロットが乗りこなすのは少しレベルが上級で結構事故が多かったように思います。
今回の事故は目撃者がエンジンの異音を証言してはいますが、生き残った搭乗者の証言や燃えたとは言え残骸が残っているほか、墜落直前の飛行y状態を取った動画もあるようですから、相当程度正確な事故調査を期待できそうです。
元々ヘリや小型機を含め殆どの航空機の事故原因は80%以上がヒューマンエラーで起こり、残りの機械的な不具合が原因とされる事故も、整備上や設計上、運航管理上の原因も人間が関与していますので、すべての事故は人的な原因で起こると言うことは言えるでしょう。
今回の事故原因は今後明らかになることでしょうけれども、賢明な読者の方は昨日私が取り上げたJAPAN DISCOUNTの匂いがぷんぷんしていることを感じているのではないでしょうか。
飛行時間600時間のパイロットが教育証明を取って、飛行機は所有者から時間借り上げで調達し、パイロットの資格が欲しい訓練生を集めて事業として訓練をすることについては日本は自由な社会で法的な制約をクリヤーしていればなんら問題はなさそうですが、個人的には自分の子供にこのようなところで訓練を受けさせることはしないでしょう。
飛行時間だけがパイロットとして,教官パイロットとしての実力ではありませんが、それにしても飛行時間600時間のパイロットの能力がどの程度かほぼわかるからです。
JAPAN DISCOUNT ヘリの世界にも、、、
今日のテーマも昨日の続きです。
ヘリのパイロットの育成がうまく行かない恐れが大きくて、近い将来、ドクターヘリや防災ヘリなど公的ヘリに乗るパイロットがいなくなるという事態が迫っています。
ヘリパイロットがどれだけ多数いても、技術的に未熟で使えないものばかりではどうしようもありません。
このような現象はJAPAN DESCOUNT という今日本社会の各部分にみられる劣化現象の一つで、今現実に大変なことになっているのは土木建築やトラック運転手の世界で一旦、待遇や仕事自体の激減で離れていった職人はそう簡単に戻ってこないようですし、使えるかどうかわからない新人の養成も間に合わないようです。
そしてそのような分野には必ず外人を雇えばよいと言う安直な方法を実行し、事態をさらに悪くする傾向があるようです。
家電業界は優秀な技術者処遇DESCOUNTで中韓へ技術をすべて献上し、いまや見る影もない状態となってしまっていますし、これを取り返すには失った年月の倍以上の時間が掛かることでしょう。
ヘリパイロットの処遇のDISCOUNTはバブル時代に始った、ヘリの需要の急増にパイロットが足りなくなって、自衛隊OBを年収300万円で導入し、年収1000万以上の既存のベテランパイロットに向かって、天下りの経営者と文系管理者がお前たちの給料は高すぎると言って、給料を値切り出したときに始りました。
ここで給料を値切るベクトルは確実に動き出したのですが、案の定300万円で雇ったパイロットは300万円の仕事しか出来ないことがわかったのですが後の祭りでした。
その後バブルがはじけ、経営者陣にとっては幸運にもパイロットがだぶ付き出したので、給料DESCOUNTだけに専念でき、高度な技量を持ったパイロット養成など必要なくなり、高い技術陣の余力でここまで着ましたがいよいよベテランの引退のピークを迎えてうしろを見たら、あの簡単なドクターヘリすら飛ばせるパイロットがいなくなったようです。
最早 ヘリパイロットは年収300万円で、分数計算と中一英語が出来ない程度の学力で十分やっていけるという程度の職業レベルにまで落ちてしまっていることでしょう。
この急降下のベクトルはそう簡単に上昇へ変える事は難しく、この業界を見たまともな、あるいは優秀な若者たちはヘリのパイロットを目差すなら自衛隊へ行くことでしょう。
幸い自衛隊のヘリパイロットの処遇のDESCOUNTはまだ起きていませんし、東南アジアの安全保障状態の緊張化でその処遇はあがることはあっても下がることはないでしょうし、新しい機種技術の導入は進むことでしょう。
定期便のパイロットの処遇のDESCOUNNTはすでに行く所まで行ってしまい、すでに500万円程度の機長が誕生しているようですが、これも今後は500万円程度の能力、経験、技量しかない者ばかりが飛ばすことになるでしょう。
悪貨が良貨を駆逐するという日本社会全般に蔓延するこの方向性は、いまだ改善の方向性は見えず、深い闇に落ちていくことでしょうけれども、その中で医者の養成、育成制度だけは比較的うまく行っているようです。
もちろん国家として、その必要性に早く気が着いて養成制度を整備したことがありますが、それに裏打ちされた高い処遇と将来性が優秀な若者をひきつけるということの表われでしょう。
ということならヘリのパイロットの問題など、大きな日本社会の各部分のほんの小さな取るに足らない歯車で、なんと言うことはないのかもしれません。
ヘリを飛ばすことを止めればそれですむことですから、、、
どうしても認めたくないのか 副操縦士方式、、、
先日の各省庁合同で行われた公的ヘリのパイロット不足に対応するためどのように養成するかと言う会議が昨日まで相当ニュースに取り上げられていたようです。
いま公的ヘリを含む民間ライセンスで飛んでいるパイロットの多くは40代50代以上の年齢層が多く、近い将来大変なことになるようですがこれといった決め手の対策は見出せなかったようです。
報道では出ていませんでしたので、取り上げられなかったのではないかと思いますが、新人がライセンスを取っても飛べる仕事がないので飛行時間が延びず、ドクターヘリ2千時間のハードルを下げるようなことも言っていたようです。
これは自殺行為とも言える対策で、2千時間の飛行経験を設定したのは農薬撒布最盛期の話で、2千時間のパイロットは普通1000時間程度の農薬散布を経験していると言う想定で、1000時間も超低空飛行や不正地への離着陸に習熟しているという条件でした。
いま農薬散布飛行が壊滅的になくなった今の時代のパイロットは厳しい低空飛行や狭い場所への離着陸は殆ど経験がなく、同じ2000時間と言えども大変中身の薄い飛行経験であることは間違いないでしょう。
この状態で必要経験飛行時間を下げると言うことですから、何をか言わんやです。
むかし農薬散布が盛んなころ、パイロットは促成栽培でライセンスを取らせ、いきなり農薬散布の厳しい現場へ放り込まれたのは、経験者が誰もいなかったからで、短時間の訓練での厳しいフライトで多くの犠牲者が出たことは特攻隊のそれと瓜二つです。
厳しい現場なれば教官パイロットと訓練生と言う方式で必要なだけ訓練すれば良いというものですが、残念なことに農薬散布のヘリコプターがあまりにも小さくて、教官パイロットを余分に乗せれば十分な燃料と農薬が積めなくて、短時間の訓練で独り立ちさせざるを得なかったものでした。
イギリスのウイリアム王子は半年ほどの訓練の後、ドクターヘリのパイロットとしてデビューしたと言うニュースが一月ほど前に流れましたが、注意してみているとやはり副操縦士としての勤務でした。
十分に機長として安全確実に飛べるようになるかでどの程度掛かるか大変興味があります。
もちろんイギリスの医療用ヘリはほぼ日本と同じMD900 EC135 BK117などですから、規定上は副操縦士の必要としないひとり操縦のヘリで、ウイリアム王子の飛行時間が公式には記録されないこととなっています。
その点旅客機などは二人操縦の航空機で2人目のパイロットは副操縦士としての公式時間として経験時間になり、その経験時間が一定以上になれば機長の受験資格が出来るようになっています。
日本の民間ヘリのライセンスは事業用操縦士の資格でほぼすべてのヘリが機長として飛行できる公的な資格であって、その初心者の資格しか公的な制限はなく、ドクターヘリを飛行経験200時間事業用操縦士が機長として飛ばせることになります。
実際には500時間運送用操縦士という社内資格が要るのですが、それにしても技量が必要十分であると言われる2000時間とはあまりにもかけ離れています。
ですからこのギャップは副操縦士として2000時間まで乗務させることが安全上も経験付け訓練としても一番の早道で、これは自衛隊も海上保安庁も、外国も皆そのようにしていますのでこれを取り入れる事が機長育成の早道でしょう。
このような方式を日本の民間ヘリ業界はなぜ取り入れなかったのかというと、会社幹部や管理文系の社員などが富士山頂物資輸送や超長つり木材搬出など高度なパイロットを多く抱えていて、技術水準の感覚が麻痺し、2000時間程度のパイロットはごろごろしていて、会社内の評価、扱いは屑のように扱っていたからでしょう。
いまやその2千時間のくずのようなパイロットすら育てることに苦心し、それに失敗して誰もいなくなって悲惨な将来が待っていることに気が着いたのでしょうか。
副操縦士と乗せ、みっちりと育てていくしかないでしょう。
会議で出た対策では効率的な訓練のシラバスを作ってそれによって訓練するといっていますが、法で禁止されているため、狭い場所への離着陸や自由自在に低空飛行する訓練が出来なのではそれも無理でしょう。
またライセンスを取るのに補助金を支給するなどと寝言を言っていますが、ライセンスを取ってから2千時間の技量までどのようにするかが出来ないから育たなかったということがわかっていないのでしょうか。
最早残された時間はそれほど余裕はなさそうです。
東北エアー 物資落とす、、、
東北電力の子会社のヘリ会社 東北エアーサービスの物資輸送中のヘリコプターが作業小屋を運搬中、ドアーなど3点を落下させたと言うニュースを書き込んでいただきました。
物資輸送中のヘリが物を落とすと言うインシデントは結構良く起こっていて、落下自体が重大な事故にならないように飛行経路は道路を横断したり、民家の上空を飛ばないように遠回りしても避けるようにしています。
今回の例もそうなのですが、物資輸送は荷物を山上の現場へ輸送する場合と、工事の進捗で物資を集積場所へ下ろす場合、そして送電線工事の場合は離れた鉄塔工事現場同士へ転送する3通りの運搬があります。
そして今回のようなインシデントが起こるのは殆ど、基地へ戻す回収か別の鉄塔現場間の転送の場合で、基地から上げる場合は殆ど起こらないことが多いようです。
その理由は輸送する荷物の梱包具合や、ワイヤーのかけ方などをヘリ会社の整備士などが逐一確認するためで、山上では工事業者の作業員が確認をすることと、作業現場の急峻な傾斜などのため十分に確認を行えないことがあるようです。
特に今回のようプレハブの作業小屋は図体が8畳10畳もある大きさの割りに重量が1トン少ししかなく、ヘリのダウンウオッシュと前進飛行時の風圧で大暴れする事も良くあって、ドアのロックが外れたりすると、ばたついてすぐに飛んでしまいますし、一旦ドアが飛べば風を孕んで、窓も全部飛んでしまうようなことも起こります。
ドアーや窓が飛ぶと地上の人に当たれば大変な事故となりますが、通常は飛行経路路を慎重に守って飛ぶのでその可能性はないでしょう。
鉄塔工事のヘリの飛行は電力会社と地元が綿密な交渉打ち合わせを行ってはじめますのでこのようなちょっとしたインシデントも結構目撃されることも多く、ニュースネタになってしまいます。
定期便の航空機も着氷した氷の塊や、フラップなどの部品を落としたり、自衛隊のヘリや保安庁のヘリも点検口を落としたり、ボルト類を落としたりと結構報道されていますし、オスプレイは兵士が飲料水のペットボトルを落としたりと話題には事欠きません。
各言う私も現役時代は10回くらいは何か落としていますし、そのうち最大のものは1,5トンもある材木でした。
そういえばライセンスを飛行中のヘリから落として一月以上飛べなかった後輩もいましたので、皆色々なものを落としているようです。
国土交通省 ヘリパイロット確保検討結果
公的ヘリのパイロットの確保があまりにも見込みが立っていないと言うことでやっと重い腰を上げて検討会を実施してその結果が発表されたようです。
わがブログには少し読者の方から書き込みをいただき、素人目にもとても対策になっていないとの事を言っていおられる様ですが私も少し意見を書いてみます。
まずは最後の項目に有る若年退職の自衛隊パイロットの活用を取り上げていますが、人の懐を当てにするようなことを公に書くなと言うことが言えるでしょう。
当てにするなら自衛隊にそれなりの費用負担を申し出てどのようなパイロットをどの年齢で何人確保するか相手と相談して了承を得る必要があるでしょうし、貴重なヘリパイロットを民間へ出す余裕はないといわれればそれでお仕舞いです。
その他は色々ありますが端的に言えば、金があるからと言って、分数計算や中一の英語が出来ない者にヘリのパイロットの訓練などさせるなと言うことに尽きます。
医師の養成課程ではそのような不適格なものは殆ど入れないような選抜制度を採っているようですが、ヘリのパイロットはどんな馬鹿でもなれるとでも思っているのでしょう。
1000万円の訓練費用が出せないから志願者が少ないなどと言う分析をして入るようですが、まともなヘリのパイロットを育成したいなら、すべて国家費用で国立大学並みの費用で養成し、しかるべき将来性を保障して、優秀な人材を選抜して育成することに尽きます。
1000万円もの訓練費用をどこの馬の骨かわからない馬鹿物に与えて、零細規模のまともな訓練が出来るかどうかわからないような民間飛行学校へ入れてばらばらに育てて何とかなるとでも思っているのでしょうか。
集中教育、一貫教育、に尽きるでしょう。そして将来の保障がどの程度か、若者はヘリのパイロットになりたがっているものは多いでしょうけれども今のシステムではとても将来を掛けることは出来ないでしょう。
自衛隊と海上保安庁くらいしかヘリのパイロットとしてまともに将来を見通して生きて行けるような制度はなく、ドクターヘリや防災ヘリのパイロットを目差す優秀な若者などありえないでしょう。
と言うようなことを解決すればいつでも優秀な人材は多数応募してくるでしょうけれども、今の悲惨な状態を作った人たちにはとても解決できないのでしょうか。
自衛隊から引き抜いて、後は外人でも雇えばよいとでも思っているのでしょう。
ドクターヘリ運航 大手が受注できないのは、、、
防災ヘリやドクタヘリが運航を始めたころはおおむね大手のヘリ運航会社 朝日航洋と中日本航空が受注することが普通でしたが、最近は大手は一般に元気がなく、小規模の会社が受注することが多くなっています。
特にドクターヘリは運航契約条件が良く、同じヘリを使い、1年365日運航する同じような条件の報道ヘリと比較すると5割も契約金額が高くなっています。
もちろん民間の契約は契約条件金額などは公表されることはありませんが、このように条件が良いのはヘリコプターの運航契約だけでなく殆どすべての業種で同じようになっていますので、元々企業体力が強く、多くの要員を抱えているはずの大手ヘリ運航会社がいとも簡単に地元企業ではなく、はるか遠くの小さな会社に契約を奪われてしまうにはやはり何か原因があるのでしょう。
ドクターヘリの運航契約の場合、運航要員不足のため、飛ばす実力がある会社が極めて限定されてしまう関係で、最近は金額が競争になる場合は少なく、安全確実に運航できる体制を提供できるかどうかが決め手になっているようです。
と言うことで小さな会社でも契約に至っていると言うことは十分な運航体制の提供が出来るからこそであると言えるでしょうし、今は大手も小さな会社もレベルは変らなくなっていると言えるかもしれません。
運航契約応札で、従事するパイロットや整備士 運航管理者の経歴を表明しますので、それを見ただけでどの会社を選べば良いか一目瞭然で、それだけ大手が従事者の経歴で差を着けられなくなってきたということでしょう。
長年 準地元企業として50年以上冬季の悪天候の中を急峻な山岳地帯で飛ばしてきた大手ヘリ会社がいとも簡単に九州で雪を体験したことのない会社に負けてしまうということは、運航要員の育成がまったく出来ていないと言うことの現われで、これが日本の民間ヘリ業界の衰退を如実に物語っています。