先に着くのは ヘリ?新幹線?

 

 
 
 
 フジテレビらしい、大阪弁で言うあほみたいな番組がありました。
 
 新幹線は時刻表で時間通りに走りますし、ヘリが何ノットで飛べるかは決まっていますので、生で競争するならとにかく、録画の切り貼り番組ではバラエテー番組としてもあまり良い企画とは言えないでしょう。
 
 新幹線とヘリの速度のことでは、以前にも何回かこのブログで書いたことがあり、報道ヘリがレシプロからジェットヘリに変ったきっかけの一つの大きな理由が、取材飛行で新幹線のスピードにまったく着いていけなくなったことがあります。
 
 350でも今の新幹線にはほとんど歯が立たず、高須クリニックの院長が乗るアグスタ109の民間最速機をこの番組で使って欲しかった所ですが、最近のテレビ局は貧乏なのでしょう、350B 2機とは情けないものです。
 
 番組では東京駅と東京駅上空がスタートで、到着地が同じように仙台駅と同じく仙台駅上空となっていて、これなら別にわざわざヘリを使う意味はなく、セスナでもF15でも良いのであって、ヘリと新幹線の速度だけが問題となるだけで、あまり深い興味がわく問題でもありません。
 
 ここにヘリコプターの移動手段としての隠された優位性がある設定と,そうでないまったくの2地点の設定の違いがあり、ヘリコプターが救急患者さんの搬送に使う理由が出てくる要素があります。
 
 この企画の設定がたとえば、東京世田谷の誰か芸能人の自宅から、仙台の秋保温泉へは交通手段として何を使えば一番早く着けるかということなら、ヘリコプターの優位性が出るかもしれません。
 
 今 ランデブー方式で患者さんの場所から一番近いランデブーポイントでピックアップし、基地病院へ搬送する設定が、救急車のみを使用する場合とどれほどどちらが早いかということがヘリコプターの優位性として言われています。
 
 ランデブーポイントではなく、これが患者さんの近くのどこでも良い、着陸可能な場所でピックアップすることが原則となるならばさらに時間が短縮できる場合が多くなり、ヘリコプターの優位性はさらに上がるでしょう。
 
 ヘリコプターが任意の地点を自由に離着陸できる法制度の下、定期便、新幹線を乗り継ぐ設定とヘリで移動する設定とを、時間を争ったら500キロ以内ならば圧倒的にへりの勝ちとなって、ヘリコプターの普及は大いに進むのですが、何しろ現行法制度では飛行場以外は現実的に着陸出来ないこととなっていて、この番組のような設定で、新幹線とヘリが競争しても何の意味もないということだけは言えそうです。
 
 何の意味もない番組は何の価値もないということでフジテレビはゆっくり降下して墜落滅亡に向かっているということでしょうか。
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華麗なる転進 パイロットからドクターへ、、、


 
 40年近くの長いパイロット人生のなかでパイロットであって医師 ドクターである方のことをかなり知ることになり、八尾勤務中には自家用小型機を所有しておられる先生とも知り合いになったことがありました。
 
 また R22ロビンソンが入った当時からはヘリを操縦されるドクターもお見受けしたものですが、これらのかたがたはほとんどが、開業医をしながら趣味でパイロットの資格も取ったという経歴の方でした。
 
 中にはベル206ジェットレンジャを飛ばす方までおられたのですが、このような方たちの中には航空身体検査指定医として、小型機のパイロットの航空身体検査に大いに便宜を図っていただいて、助けられたパイロットも多くいたようです。
 
 みずからパイロットなので、パイロットの気持ちが良くわかり、少々具合の悪いパイロットも何とか飛ばせて上げようといろいろ規則を調べて判定をしたり、健康面でのご指導をしていただいたものです。
 
 ということでドクターからパイロットへという華麗なる転進ではなく趣味として飛ぶ方は多くありましたが、他におられるということは聞いたことがない例で、私が唯一知っている先生は元はパイロットだった方が泣く泣く医者になったという変わった経歴の方で、本人には華麗なる転進とも言えないのですが、他から見ると見事な華麗なる転進と言えそうです。
 
 この方、H先生は大学を出て航空自衛隊の幹部候補生から戦闘機パイロットになって、やっとF86Dの実戦部隊へ配備されたとき、実家で開業医を継いでいた兄が急に亡くなって、呼び戻されてなくなく医学部に入りなおして医者になったそうです。
 
 どうしても飛ぶことを忘れることが出来ず、開業医をしながら自家用機を持っておられて、私の会社のエプロンのすぐ横に駐機しておられたのですが、お忙しいと見え殆ど飛ぶ、姿を見ることはありませんでした。
 
 その空港の小型機や、定期会社のパイロットまで一手に航空身体検査を引き受けていただいてずいぶんとお世話になったものでした。
 
 パイロットから医者になったという日本では唯一の例ではないかと思うほどで、ほかでは聞いたことがない話ですが、当人は根っからパイロットだったと見えて、殆ど飛んだことがなく、機体の日常の手入れは若い方が時々見えて、エンジンの試運転などしている万全の機体で、急にちょっと九州まで整備に出してきますと言って、一人で飛んでいかれたのに驚いたことがありました。
 
 このようなことを懐かしく思い出すと、ドクターヘリを自分で飛ばすフライトドクターがいずれ日本にも出現するかどうか大変興味深いものです。

秋田県と山形県のドクターヘリ連携、、、


 
 
 
 秋田県と山形県のドクターヘリが連携し、お互いに県境を超えて100キロ圏までカバーすることを12月8日から開始するようです。
 
 このニュースでも言っていますように、実態は冬季など天候が悪い場合、県内であっても山越えで飛ぶことは困難なので、秋田県のヘリが酒田市付近まで海岸沿いに、そして山形県のドクターヘリが標高の高い山岳部を超えることなく、内陸部の湯沢市をカバーするという非常に合理的な連携です。
 
 東北地方の冬場、強い冬型気圧配置になった場合は山間部は殆ど吹雪状態になってとても山越えはできないのは普通ですが、少しくらい冬型が緩んでも山間部は雲は取れることは少なく、超えることは困難ですので,少しくらい遠くなっても、山越えしなくて良い方法で患者さんの元へ飛ぶことが最善の方法です。
 
 真冬の山間部は、冬型気圧配置が緩んで、高気圧が移動性になって直上を通過してから、次の寒気が張り出す直前くらいまでしか、確実に飛べる日はありませんので、怪しい天気で引き返す可能性があるなら、山越えしなくてよい隣の県へはじめから要請したほうが確実でしょう。
 
 これはドクターヘリが縦割りの都道府県境界で運航するシステムがあるから、わざわざこのような協定を結び、一旦入った要請で天候を確認してから、さてでは隣の県へ依頼するか、、、というような動き出ですから、5分程度は出動が遅れることでしょう。
 
 はじめから酒田付近は秋田県ドクターヘリ、湯沢付近は山形県ドクターヘリと決めて運航を始めても良かったくらいで、それが出来なくても12月から3月はお互いに担当区域を入れ替えて要請の第一報を入れるようにしても良いくらいです。
 
 大阪和歌山でやっているような一回出動何十万などという、営利運航のようなことはしないで、出動した県の負担とするということは非常に大きな進歩ですが、それを是非定着して、助かる命を助けて欲しいものです。
 
 今回は山形と秋田がお互いにうまくカバーできる地域がほぼ同等にあったから、県同士の話し合いもうまく行ったのでしょうけれども、これが一方的に他県がカバーすることになるなら金を取ろうとする意見が幅を利かし、人の命を救うのに一回何十万円ではありがたみも薄れるというものです。
 
 地獄の沙汰も金次第では、、、、、、

 暑がり 寒がりはヘリパイロット無理かな、、、


 

 

 
 真夏の酷暑からまだ3ヶ月ですが、酷寒の季節はすぐそこに来ています。
 
 日本のこのような季節の移り変わりは、本来なら心地よい四季の移り変わりこそが繊細な文化を育んだともいえるのですが、厳しい屋外で活動するヘリコプターを飛ばす身には辛いものがあります。
 
 ちょっとした規模の会社に勤める本社勤務や事務所勤めのサラリーマンのは家を出て勤めを終えて帰りとこに着くまで殆ど空調のない、酷暑、酷寒にさらされることは殆どないでしょうし、大きな工場の現場で仕事をされる方たちも同じような環境が保障されることでしょう。
 
 ヘリのパイロットは屋外作業の現場の方たちと同様に、自然の中で働くことが多く、酷寒の時期に標高の高い所で飛んで、現場でエンジンを止めて待機したり、酷暑の時期にエアコンのないヘリで、さらに暑いエンジンの排気を被りながら長いホバリングを繰り返したりとなかなか厳しい労働環境となったことが良くありました。。
 
 好きでやっているヘリを飛ばす仕事ですから、何の文句もないはずなのですが、マイナス15度の吹きさらしが開けっ放しの誘導の整備士の窓から、雪交じりに入ってくる中での一日中延々と続くフライト、やっと一服するお昼の冷たい弁当は深く積もった雪の上、炎天下真夏の太陽の熱射と熱い排気ガスにまみれながらの生コン輸送、さすがにかなりへこたれたものです。
 
 田舎の小汚い旅館へ帰って、入るお風呂のありがたさ、夏のビールの美味さと、きつい労働の後には良いご褒美があったものです。
 
 自分は贅沢物で、会社の同僚などからは暑がりの寒がりと冷やかされたものですが、良く耐えてがんばったものでした。
 
 30歳のころに1年間 飛んだインドネシアは赤道直下で年中真夏、ずいぶんと暑い目をしましたが、一番印象に残るのは野外にヘリを留めていたあと、乗り込んでシートベルトのバックルを止めようとすると、太陽の熱で焼けていて、素手では触れないことがたびたびありました。
 
 ただフライトは長いものが多くて,飛行中は日本と違って結構さらっとした空気で汗ぶるぶるで飛ぶようなことは少なく、地上でのに中の炎天下の待機などでt愛器場所がないときなどは暑い目をしました。
 
 寒い目も暑い目もいっぱい経験したということはあちこち飛び回っていたということで、遠い思い出となった今では本当に懐かしい出来事でした。
 

空撮 マルチコプターVS実機ヘリ(2)


 
 マルチコプターの急激な増加で多くの方からの書き込みをいただいていますので、今回は続編です。
 
 実機のヘリが取っていた空撮映像の多くの部分がマルチコプターに取って代わられる恐れは大きく、すでにかなり侵食されたことはほぼ間違いないでしょう。
 
 農薬散布のヘリがラジコンに置き換えられたようになるでしょうか。
 
 私はそうはならないと思うのですが、それももしかすると風前の灯かもしれません。
 
 話はやや例になるかどうか怪しい話ですが、自動車の組み立てラインのロボット化が進んだとき言われていた話で、溶接ロボットや塗装ロボットのデータの打ち込み、つまり完璧に近い溶接や塗装の行程、技術のデーターはラインで同じ仕事をしていた一番熟練した職工の技術、動きを打ち込んだと聞いたことがあります。
 
 つまりいかに自動化が進んでも、どうやれば完璧に塗装できるかという行程は熟練した職工の腕の動きをロボットに教えることが出来るかどうかということで、マルチコプターがいかに安定して教えたコースをうまく飛ぶといっても、どのように飛んでいい絵をとるのかは誰かが教える つまり打ち込む必要があって、それは人間の目が実際に飛んで見ないとわからないということになります。
 
 ある程度の資料映像ならば、今の自動化の領域でGPSを使って飛行コースをトレースするような程度の絵ならば十分と取れるでしょうが、映画はもちろん、安物のテレビドラマでも、というと失礼ですが、取る絵は殆ど相当程度に高度化というか専門家というか、すこしでも素人ぽいものは普通絶対に許容されるころはなく、下手なパイロットの泣き所になっています。
 
 つまりマルチコプターが操縦者から見えない所へ飛んでいって、モニターを身ながら取れるような程度の絵はかなり使い道が限られてしまい、いわゆるプロが取った程度の絵しか使えないような状況はまだまだ多くあります。
 
 ぶっつけ本番取り直しなしの報道動画でさえ、オンエアーするものはずいぶんと厳しい評価がされていて、素人がアイフォンで取った火事の場面などよほど臨場感がなければ使われることはかぎられてきます。
 
 この点マルチコプターの絵が本当に使い物になるにはいまひとつ大きな進歩がいるように思います。
 
 この良い例はNHKの今の大河ドラマでタイトルバックで使用されている超低空の絵は、CGの馬を合成して後でフレームに合わせる絵になっているのですが、これが実物の馬ならマルチコプターはとても対応できませんが、実機なら低空で簡単に馬を入れ込んだ稜線の絵は取れることでしょう。
 
 依然私が過去にお世話になった報道テレビで、マルチコプターの報道目的での売込みがあって飛ばしてみたがとても使える絵は取れなかったというような評価を聞いたことがあり、その後機材が進歩して使えるようになるかどうかは、かなり微妙な問題で、あるレベル以上は実現不可能という評価もあるといえます。
 
 しかし技術の進歩は無限で、いずれマルチコプターが殆どのことを実現することはほぼ間違いはないでしょうけれども、そう簡単に実機も負けることはないでしょう。

空撮 マルチコプターVS実機へり、、


 

 
 最近 テレビドラマなどにマルチコプターの空撮映像が多く使われているようで、実機ヘリの分野がどんどん侵食されて来ています。
 
 農薬散布ヘリが実機からラジコンへと一気に変り、ヘリパイロットが育つ職場がなくなってしまい、実機ヘリの業界が将来的に熟練したパイロットの供給の面で危ないことになってきています。
 
 実機を空撮に使用すればどんなに安いヘリを使っても一時間当たり10万円はかかり、ちょっとした絵を取ろうとすれば100万円程度はすぐに飛んでしまいますので、同じ絵がカメラを含めてもでも100万円もしないマルチコプターで取れれば、実機ヘリは誰も使わなくなりそうです。
 
 マルチヘリが驚異的な発展をした素地はやはり、もともとは実機に積んだジャイロを使用した防振架台とカメラの進化で、小型軽量化が一挙に進み、マルチコプターのような小型で不安定なものでも高画質の安定した絵が撮れるようになったことがその理由でしょう。
 
 マルチコプターはラジコン電波の出力に制限があって、遠距離からのコントロールが出来ないので、ニュース映像には不向きですが、小型で危険性も少ないので超低空飛行の絵を取るにはもってこいという特性があり、十分 実機とマルチの住み分けは出来るとはいうものの、実機による空撮のマーケットは半減することでしょう。
 
 価格の安いマルチコプターは火山噴火やコンビナート爆発など、空撮の危険性が高くて実機が近寄れない場所などでは、使い捨てを覚悟で実機からコントロールするなどの使い方もありえることでしょう。
 
 ニュースの空撮では実機が圧倒的に有利なのは、事件事故が発生してから、実機ヘリが現場へ到着できる時間は圧倒的に早く、ドクターヘリと同じように100キロ30分で到着し、殆どの場所でも到着撮影と同時にマイクロ回線を通じて、生放送できる特徴があるので、この分野でのマルチコプターの導入は殆ど無理でしょう。
 
 NHK大河ドラマのタイトルバックはこれでもかというほど毎回マルチコプターか、以前の無人ヘリの絵を使っていて、いい加減ほかのいい絵はないのかと、文句の一言も言いたくなるほどですが、ドラマやバラエティ番組でも鳥の眼で見たような絵は大変インパクトがあり今後このような場面では実機ヘリは殆ど生き残れないと思われ、いよいよ、初心者のヘリパイロットが飛べる仕事はなくなってしまいそうです。
 
 それにしても実機ヘリ以外のものの、進歩が早いのは驚くほかはなく、それについていけないヘリの世界はパイロット養成すらまともに出来ず、遅れるばかりです。
 

わあー大地震?!長野北部で震度6弱、、、

 
 
 22日よる10時過ぎ、長野北部で震度6弱の間一髪の地震がありました。
 
 重傷者7人を含む40人程度のけが人で死者が出なかったことは、報道されている住宅の壊れ方から見れば奇跡的というほかありません。
 
 もう少し強ければ多くの死者が出る大震災となった可能性があるほど、危機一髪でした。
 
 幸いというほかないでしょう。
 
 真夜中に近い時間は大震災なら給与活動が闇で阻まれ、大災害となり、救助のヘリやドクターヘリも十分活動できない大惨事となる所でした。
 
 ドクターのファイスブックによると地震発生直後から厚生労働省からDMATの出動待機要請の緊急メールが入ったそうですので、被害が大きければ、夜中に移動をはじめて、早朝からの救急体制へと進んだことでしょう。
 
 地震後、気象庁からは今回の震源地域の断層の様子や、過去の履歴などを詳しく解説してはいますが、地震の起こる予想地域の注意喚起が、東京直下、東南海とあおる割にはすべてその他の地域で起こっていますので、その辺の予想は何とか正確にならないものなのでしょうか。
 
 そして火山噴火の見通しの誤り、広島土石流の警報の出し方の不始末、沖縄通過の台風の過大な警報の誤りと見苦しいほどの気象庁の権威の低下があると思うのは私ひとりでしょうか。
 
 温暖化の予想も今年もはずれ、アメリカではハワイでも氷点下などという極端に寒い今年のようですがいったいどうなっているのでしょうか。
 
 

富山県警 AW139導入、、、


 
 
 
 以前、富山県警のアグスタの稼働率が落ちて、機種更新を求めているらしいというような記事を書きました。
 
 
 通常20年は使うヘリの寿命ですが、すでに11月20日に新しいAW139が導入されたようです。
 
 標高の高い地域の山岳救助に備えてアグスタ109の単発型の、高空性能の良い機種を使うとい宇野が狙い眼だったのでしょうが、世界中での使用奇数が少なすぎて、故障が起きたときの復旧の部品供給に時間がかかったり、10年や12年ごとに来る、大規模な点検で稼働率が極端に落ちて困っていた所に、岐阜県防災機のアルプスでの事故で、より高性能の着たい導入に道が開けたのでしょうか。
 
 飛ばすほうにしてみれば、搭載量に十分余裕のある、より大型のヘリで、軽くして飛ぶことはずいぶんと安全で、より高空での救助も安心して飛べますし、3トンと7トンのヘリでは強風乱気流での安定性はずいぶんと違います。
 
 このぶんでは長野 岐阜 富山の3県の県警、防災機は近い将来、すべてAW139に取り替えられるでしょう。
 
 ベル社がオスプレイに集中するあまり、ベル412以降、30年近くも新型の中型ヘリを売り出せなかった隙を突いて、イタリアが世界中の中型機市場をAW139で席巻してしまった感があります。
 
 富山県の県議会でも取り上げられていたようですが、県警ヘリが救助した山岳遭難者を降ろす富山市民病院の屋上へリポートが、ベル412を想定して、5.4トンが重量制限になっていて、通常なら6トン以上ある139は着陸出来ないという規則があって、どうなったのでしょうか。
 
 簡単に言えば重量制限の規定は、離着陸する種類のヘリの最大重量の2,5倍の重量に耐える設計ということになっていて、実際に着陸するときの重量ではないので、燃料を減らして軽くして飛んできてもだめということになります。
 
 現実的に建物上のヘリポートの強度を増すという工事は大変なことで、下手をすると一階から屋上まですべて柱や梁の強度を強化する必要があったりして現実的には工事できないというような事態も考えられるそうです。
 
 もし規定を離着陸するときの重量でよいということに変更すると、もちろん今までなんだったのかということにもあり、又そのときの重量は誰がどのように確認するのかという新たも問題もありえます。
 
 このような重量オーバーの問題は今後139を導入するたびに起こる問題で、さてどう解決するのでしょうか。
 
 当初の設定 最大重量の2.5倍という数値は、航空機設計の場合良く用いられる数値で、それを屋上へリポートの加重制限の安全係数に流用したようですが、飛行機と違って、静かにしか着陸しないヘリに2.5倍の安全係数は大きすぎると思うのですが、しかしそれを2倍や1,5倍に変えればすべての屋上へリポートは追加工事なしに使えますが、それも今までなんだったのかという議論とともにそう簡単には改正できないでしょう。
 
 山岳救助でどのような働きが出来るか、今まであまり実績のないAW139はどのような実績を残せるか大変興味深い所です。

ヘリコプター バックオーライ、、、、、


 
 ヘリコプターの特徴は何と言っても、前後左右、上下どちらにも進むことが出来るということでしょう。
 
 以前ネットでオスプレイは後ろ向きに飛べるかどうかというような話題が取り上げられて、結論としてローターがヘリと同じような構造になっていて後ろにも十分飛べるという結論を出していたようでした。
 
 これを自由自在に出来るにはやはり、かなりの飛行経験と技量が必要で、免許取立てのパイロットにはかなりリスクがあることです。
 
 ヘリコプターのマニュアルでは横方向のへ飛行の速度制限がある機種が多く、ほぼ20ノット程度が限界である機種が多く、キロで言うと35キロ程度で結構速度を出せます。
 
 ホバリング離着陸の横風の制限値と同じで、無風のときに横方向へ飛ぶのと、横風20ノットでホバリングするのとは空力的には同じことになります。
 
 そもそも ヘリコプターがこのような動きが出来るといっても、果たしてその必要性があるかどうかということが疑問としてあると思いますが結構その場面はありました。
 
 今の時代はジャィロで制御される防振架台に着いたカメラが球体に入れられてヘリの真下や横についていてほぼ360度 どちらにも向くようになっていますので、ヘリを横方向へ飛ばす必要などありませんでしたが、大昔は横向きについていて前後70度くらいがカメラの可動範囲でしたので大変でした。
 
 中には性能上の横方向の限界を超えて、くるくる回されて墜落する例までありました。
 
 さて 後ろへ飛ぶというか移動する必要があるかということですが、物資輸送では結構真後ろへ移動する場面は頻繁にあり、後ろ向きに加速しながら180度、ターンをして前進飛行に移るのは良くやるパターンです。
 
 木材や生コンを運んできて、に卸すと同時に後ろ上方向へ離脱しながら、元の方向へ飛ぶ手法ですが、これを吊り荷用の長いワイヤーを振らないようにやることがひとつの熟練の見せ所でもありました。
 
 もっとシビアーな例では、すでに出来上がった送電線の下、前方向は山というような現場へ荷物を運んでいったり、逆に回収する場合など、ホバリングで線の下を這ずりながら入って行き、帰りは来た道をまっすぐに後ずさりして出てくるような飛び方をよくしました。
 
 そのような場所では荷物を吊ったり降ろしたりする場所で、ホバリングターンをするだけの空間に余裕がなく、しかも上は送電線があったりで、横に乗ってくれている整備士が窓から大きく体を出して後方と上を確認して、それこそ、バックオーライで出てきたものでした。
 
 このような飛び方の基本は免許試験の科目にもあって、20メートルほどの四方形 スクエアーパターン上をホバリングで機種方向を変えないで前進、左横進 後進、右横進でもとに戻ってくる科目です。
 
 防災ヘリが救助のため、V字形の狭い谷でホバリングしながら微妙に位置を変えて、救助者をつり上げる技術は、このような基本の科目の延長上にあるのですが、これをうまく出来ないとテールローターを山に突っ込むという悲惨なことが起きるということでしょう。
 
 前後左右 上下 どちらにでも動くヘリの操縦はそれなりにリスクが高く、ただ動かせれば良いというレベルではたちまち墜落となります。
 

エアバッグリコールとヘリコプター、、、


 
 
 
 滋賀県にある自動車部品メーカーの製造したエアバッグが作動したときに、金属製の部品が飛び散って運転者に当たって死亡事故が何件か発生し、世界中でリコールが数百万台以上と大変なことになりそうです。
 
 なにしろ製造した車 すべてのうち事故が起こってエアバッグが開く確率は1万台に一台程度のロットでしょうから、1000万台クルマを製造しても1000件 そのうち部品が飛び散って運転者を傷つける確率は10分の一としても100件程度でしょうか。
 
 このようにいつも使うシステムと違って、緊急用のシステムの欠陥というものはなかなか見つけにくいものですが、一旦見つかったらすべてを良品と変えるには大変な費用と手間がかかり、製造会社は下手をすると一挙に倒産となりかねませんし、ライバル会社は一挙に売り上げ倍増となる幸運に恵まれます。
 
 ヘリコプターにもエアバッグと良く似たシステムのものをつけることがあり、エマフロートと呼ばれるもので、民間のヘリが陸上から一定以上の距離の洋上を飛行する場合、緊急着水に備えて、胴体やスキッドに装備します。
 
 固定翼機の場合、不時着水すれば、ハドソン川の例のように、救命ボートなどに乗り移る時間程度は飛行機が浮いているのですが、羽のないヘリは沈みやすいということで、このような重い100キロ以上もあるような装置をつけることが義務化されています。
を、
 このように実際に展張して作動状態や空気の漏れをチェックたぶん、数年以上の間隔だったと思いますが、点検をします。
 
 もともと搭載力の少ないヘリにとっては大変な重装備で、出来ればこのようなものは積みたくはないのですが、1時間の燃料分にも当たる重量です。
 
 波のある外海ではこのようなものがあっても、着水後すぐに横転となるでしょうが、沈むことは防げそうで、乗り組み員や重症の患者さんの保命には役に立ちそうです。
 
 このような装備を持ったヘリが墜落してうまく作動して、浮いていたという事例はいまだ、日本ではなさそうで、海上保安庁のS76は墜落時この装置の展張に失敗したようでしたので、タカタ社せいのエアバッグのように欠陥がまだ問われる事態は起きていません。
 
 ヘリコプターの世界で、緊急装備がうまく作動しなくて、悲惨なことになった例では、ベル412でエンジンの緊急消火装置の配線が逆につながっていて、飛行中片側のエンジンが火災になり、消火装置を作動させたら反対側の正常なエンジンに消火剤が広がって墜落した悲惨な例がありました。
 
 事故や緊急時に人命を守るための装置が人の命を奪うという悲惨な例は空も陸も海もあってはならないものです。
プロフィール

bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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