ヘリポートの塗装色、、、、

 

 
 

 
 

 
 
 法律的にヘリポートと言えば、飛行場と同じ扱いで、航空法上さまざまな規制をクリアーした飛行場の一種で、滑走路のマーキングが決められていて、四角の着陸帯(滑走路)の真ん中に丸にHのマークが着きます。
 
 マーキングの色は白か確か黄色も良かったと思いますが、下地は色を塗ることは規定がなく、はっきりとは決まっていないようです。
 
 私が勤務していた病院の屋上へリポートが、いわゆる正式はヘリポートで、薄い青色の下地に白のラインで出来ていましたが、下地の塗装が劣化して塗り替えようと言うことになりました。
 
 薄い青は強い太陽光線で反射して、ハーレーションを起こして、高さの判定にししょうが出ることがあり、反射しにくくてしかも遠くから良く見えるように赤地にするようにと決まり、航空局に相談した所、赤字は止めるようにとの指導を受けました。
 
 仕方なく緑色の下地に白のマーキングと言うことで妥協し、工事を完了しました。
 
 本来なら病院ヘリポートの国際標準規格である、赤地に白十字にしたかったのですが、日本の航空法にはそのような規定がなく、実現しませんでした。
 
 日本に数多くあるこのような赤地に白十字の国際標準に塗装した病院ヘリポートはすべて、航空法上正式のヘリポートではなく、臨時に着陸するためにそのつど、特別な許可を得て使用する、臨時へリポート、飛行場外離着陸場と言うことになります。
 
 そしてこのような臨時へリポートにはどのようなマーキングをせよと言う規定はまったくなく、国際標準のマーキングを入れようが、何もしないままで着陸しようが自由と言うことになります。
 
 しかし 道路にセンターラインや外側のライン、横断歩道 停止線が安全上必須のこととして描かれているのと同様に、ヘリコプターが着陸する場所に一定の標識をマーキングすることは安全上の基本中の基本でしょう。
 
 四角に囲った着陸帯を描くと言うことは、そのラインを基準としてどの程度、退避するかの基準となり、少なくとも着陸帯の中はまっ平らにする基準にもなります。
 
 着陸帯の中がまっ平らにするのは、ヘリが安全に着陸すると言う意味も、もちろん重要ですが、もうひとつは離着陸前後にローターが回ったままヘリへ乗り降りする医療関係者やほかの方が、ヘリのそばで転んだらどのような危険があるか、考えても恐ろしくなります。
 
 まさかでこぼこの着陸帯に塗装しようとする馬鹿はいないでしょう、まずはまっ平らにすることでしょうから、色を塗ると言うことは大変重要な安全対策の一歩となります。
 
 その次には、安全を考えて塗った塗装で雨の日に滑って転んだでは話になりませんから、やはり良く考える管理者は滑らない塗装にしようと言う所に思いがめぐります。
 
 色は何色にしようか、マーキングはどうしようか、などなどいろいろと考えてより良い使いやすい、遠くから視認しやすい、強い太陽光が反射しにくい、雪の日でも良く見えるなど、あるいは融雪の熱線を入れようとか、どんどんよいものが出来てきますが、ただの地べたにドラム缶を転がしただけのものも残ります。
 
 そしてその差がドクターヘリの有効性をどの程度認めるかの良い指針となり、安全に多くの患者さんを救うかの熱意の現われともなります。
 
 そういえば屋上へリポートで着陸帯のまわりに幅50センチ、深さ50センチの燃料流出受けの溝が落とし穴のように、掘ってあるところがありましたが、あれはいつか人が死ぬことでしょう。
 
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御嶽山噴火(2)、、、、

 

 
 

 
 

  
 
 
 
 
 
  御嶽山噴火災害の犠牲者はどうやら40人近くになる恐れが出て来ました。
 
  当初助かった人たちが写した動画などで大変緊迫した様子が流れていましたので、心配していましたが大きな被害は現実となりそうです。
 
 ヘリの動きを流れてくるテレビ映像で見ていましたが、やはり3000メートルの標高で、硫化ガスがある可能性があり、しかも降り積もった火山灰がホバリングで大きく舞い上がる恐れがあるとなるとベル412やさらに小さいBK117 程度では何も出来ないと言うのが現実でしょう。
 
 2000馬力級の412でも岐阜防災機が標高3000メートルで全備重量ぎりぎりであったと言うことから、舞い上がる火山灰を自由自在に避けてホバリングするなどとても無理と言うものでしょう。
 
 やはり3000馬力級のSH60なら。必要最小限の乗り組み員で燃料を調整すれば、ある程度は余裕を持ってホバリングできるでしょう。
 
 やはり本当の大災害となれば、自衛隊機にお任せするしかないと言うことが良くわかります。
 
 防災機や県警ヘリ、ドクターヘリなどは本当に危険な所へはあまり近寄らずに、装備や性能が十分な自衛隊機に任せて、ふもとの中継へリポートから病院へ搬送するなり、得意の中継カメラを使って、指揮部門へ映像を送るなど、適切に分業をすれば良いようです。
 
 硫化ガスには酸素マスクが欠かせませんし、一度にある程度多人数を救助するには余裕のある性能が必要となります。
 
 こうなってしまっては2次被害を出すことなく、慎重な救助に当たるしかないでしょう。
 
 昨日は急なことで確か御嶽山の写真があったと思いながら、ついに見つかりませんでしたが、今日は出て来ましたのでアップします。
 
 高空を飛ぶことが好きな自分は北陸への行き帰りなどには、白山や御嶽山をまじかに見下ろして飛んだり、御母衣ダムや南木曽、上松付近の送電線工事では見上げながらよく飛んだものでした。
 
 真冬の豪雪時期に、御母衣ダムへの作業員輸送で飛んでいたとき、自衛隊のヘリが白山の頂上で、離着陸やホバリングを繰り返して訓練しているのを目撃したことがありました。
 
 そのような地道な訓練の繰り返しが災害時などには大いに役に立つことでしょう。
 
 ダイナミックな風景もひとつ間違えば地獄のような景色に変わり、多くの方が犠牲になるとは本当に災害日本ですが、それにしても観測網のデータの異常を認識しているのなら何らかの警告は出して欲しかったものです。

御嶽山噴火、、、、、

 

 やはり 富士山は大丈夫かなと思ってしまいます
 
 
 
 木曽の御嶽山が噴火し、多くの方が山小屋などに取り残されているほか、1名の方が死亡、多くの方が重症を負っているようです。
 
 やはり火山地震大国日本です。
 
 火山噴火ではヘリコプターは偵察などはできるのですが、噴火中の救出はみずから墜落する恐れがあってなかなか出来ません。
 
 普賢岳のときは自衛隊のバートルが不時着し、大島の噴火では確か、毎日新聞社のベル206ジェットレンジャーが夜間飛行中、噴火した火山弾が風防に当たって破れ、不時着することがあったと思います。
 
 インドネシアでは雲中飛行の747が噴煙に突っ込んで、同時に4つともエンジンが止まり、あわやのところで、うまくエンジンスタートできて無事に着陸した例があります。
 
 直接噴火に突っ込まなくても長時間、硫化水素やごく細かい火山灰のような空気の中を飛ぶと、点検間隔まえにエンジンが大きくダメージを受けて故障し、修理したこともありました。
 
 私が火山噴火の時に飛んだのは、東京の三宅島の噴火の時ぐらいですが、確か次日の早朝、火山灰が10センチも積もった三宅空港にした経験があります。
 
 積もった火山灰は地元消防が除去したり水を撒いてくれていたのですが、ヘリが1機着陸すると又元のように火山灰が降り積もる状態で、新雪の上の着陸するより前が見えなくなってしまいました。
 
 火山噴火の場合、風で噴火が流れる方向だけに被害が集中し、ヘリはその火山灰が降っている所は飛行できないので救助や隊員、被害者の輸送に使えないと言うことが泣き所です。
 
 と言うことで他の災害と違って、県警ヘリや、防災ヘリが大活躍といかないところがヘリ関係者にとってはつらい所です。
 
 もうひとつ危険なのは三宅島で体験したのですが、無風状態に近くなると、噴火のときに放出される、猛毒の硫化水素が谷間に溜まり、うっかり飛んでいくと中毒死するそうで、機内に入ってきた硫黄の匂いと、谷間の空気がうっすらと茶色く見え、同乗された方のアドバイスで事なきを得たことがありました。
 
 今回の噴火は水蒸気爆発らしくて、噴火前には地殻変動や小地震などが観測されず、いきなり噴火となったと気象庁は発表しています。
 
 地震、津波の予想と言い、台風の予報と言い、広島の土砂崩れ災害と言い、気象関係予報
の精度や確実性をもう少しは何とかならないものかとつい思ってしまいます。

 エアードゥ 整備記録改ざん、、、

 

 
 
 
 
 
 
 
 点検間隔の超過を見落として規定された整備をしないまま飛ばしてしまい、後に整備記録を改ざんし超過したことを隠蔽したことがバレ、航空局はエアードゥに対して厳重注意の処分をしたそうです。
 
 厳重注意されただけでは運航会社に直接の損害は出ないのですが、抜けていた点検整備をすぐにしないことには飛べないという事情があり、ばれた時点で欠航が出て直接の損害となります。
 
 ただ大手などでは代わりの機体が準備できれば、欠航になることはなく、ダメージは少ないのですが、エアードゥのような弱小会社にとっては機体繰りに余裕が無いでしょうから、直接大きなダメージとなります。
 
 今回のような整備管理上のミスで点検間隔の入力設定や、日々の飛行時間管理上の計算ミスなどがあると、時間や期日をミスってしまって整備上の違法と言うことになるのですが、安全上、重要で大事な点検項目は普通ミスが起こることは少なくて、どちらかと言えばどうでもいいような点検間隔が長く、あまり安全上問題が少ないような項目を見逃してしまうことはありえるでしょう。
 
 ただしミスによって見落として点検を魅することはそれほど悪質ではありませんが、故意に運航上の効率や機体繰りのために同じようなことが起こると、大変なことになるでしょう。
 
 まさか今回わざとやって後で改ざんしたと言うことはなさそうですが、書類上の点検しか出来ない監督官庁の航空局がこのような不始末を発見できることはかなり限られていて、故意にされたらお手上げと言えるかもしれません。
 
 このようなことを発見できるのは、臨時に立ち入り検査をするとか、耐空検査時や修理改造、事故やインシデントなどの場合など限られたときしかなく、万一発見したら厳しい処分を課し、すべてのことを調べまくりますので、芋ずる式に出てきて今回のように4件不正があったということがばれてしまいます。
 
 処分される航空会社は大変ですが、発見した航空局はある意味お手柄で、このような事例があると各運航会社もこのような不祥事が起きないように良く注意するようになり、航空の安全性は保たれると言う良い循環となります。
 
 時間や期限を守っているかと言うことが不十分と言うことになると、次はそのような点検内容が厳正に守られているかなどより深い検査が行われることになり、ミスがあるとどんどん厳しくされると言う行政の動きとなります。
 
 

3件の航空事故調査発表、、、


 
 
 
 昨日は3件の航空インシデントに対する、安全運輸委員会の調査結果の報道発表がありました。
 
 このうち副操縦士がラダートリムとドアロックセレクターのノブを間違って操作し、異常姿勢に入ってしまった件と、787のバッテリー加熱インシデント、この2件はブログで何回も取り上げましたので、今日はこの事故調査員会の報告内容について感想を書いてみます。
 
 この両方の報告内容を見ると、大変出来の悪い受験生が、入試で、答えが簡単にわかるやさしい問題について、3年以上も時間をかけすぎて、やっと正解に近い答えを出し、正しい答えを見つけることが非常に難しい難問には、1年半くらいで、早くギブアップして投げてしまって、志望校には見事落ちたと言うようなレベルでしょう。
 
 同じような事故が起きないようにするために、ノブの誤操作の問題の答えは、このように回答するべきでしょう。
 
 事故調は判別しやすいようなスイッチにするようにとボーイングに指導するようにNTSB(アメリカの事故調)に求めるといっていますが、過去に世界中で、同じような、間抜けたトラブルが複数回起こっているなら、その求めに応じることでしょうが事例がたったの1回、ANAでしか起こっていないなら、改善はしないでしょう。
 
 しかし、ラダートリムはラダーのコントロールをするので、左右に動かすことが当然ですが、ドアロックセレクターは左右で操作する合理性があるわけではなく、上下に押し込むタイプか前後に操作するタイプとすれば、物理的に間違う可能性が限りなくゼロとなります。
 
 と言うような答えがほぼ正解で、異常姿勢からの回復訓練を徹底しろとか、パイロットが独りになったときの基本を守れとかは2の次、3の次となります。
 
 これが正解が殆どわかっているノブの誤操作の正解では無いかと思うのですがいかがでしょうか。
 
 次は答えが大変難しい、バッテリーの熱暴走によるインシデントの原因と対策が明解になっていない中、熱暴走の原因を100%打ち消す対策が無いまま運航を続けていると言う現状があるのは事故調査委員会の限界を示しています。
 
 この受験生の解答を見るとき、どうも合格には届かない実力を感じてしまうのですが、これで果たして航空の安全装置としての運輸安全委員会の機能は十分と言えるのでしょうか。
 
 メインの旅客機の事故調査ですらこの程度ですので、ヘリコプターは押して知るべし、人を落としても、降下したクルーが崖から落ちて死んでも調査すらしない事故調、本当に大丈夫なのでしょうか。

 ドクターヘリブログ数々あれど、、、

 

 
 
 全国ですでに40機を超えたドクターヘリ、多くの拠点で日々救命にあたり、連日実績を重ねていて、多くの国民の皆様に良い評価を受けています。
 
 一般にドクターヘリが救命医療の決め手であるとか、過疎地医療に大いに役立っていると言うような認識をもっているマスコミや一般の市民が多いようです。
 
 私が実際に5年ほど現場でヘリのパイロットとして従事しましたが、ドクターヘリが一番有効としてその存在意義を感じたのはやはり、ヘリ以外の手段では救命できなかったと思われる患者さんが、無事に死線を乗り越えて元気に退院されていくと言う事実でしょう。
 
 この世の中で命ほど大切なものは無いということは一般的によく言われますが、これを如実に実現するドクターヘリの活動は何にもまして評価に値することだと思います。
 
 過疎地の救急搬送や、重症患者さんへの早期治療、重症患者さんの転院搬送などドクターヘリが大いに有効利用されている例は数多くありますが、何より評価すべきは、死んでしまう運命の患者さんを救うことです。
 
 40機以上あるドクターヘリの現場では必ずこのような救命が起こっていて、元従事者としても、一ドクターヘリファンとしてもそのような情報があれば是非とも知りたいと思いますし、又そのような情報が世に向けて発信して欲しいものです。
 
 患者さんの個人情報や、守秘義務など多くの制約はあるとは思いますが、日々激務に精励されている従事者ならではの情報をうまくブログなどで発信していただければ、日々読み漁っている元従事者としてはこれに勝る喜びはありません。
 
 多くの情報を発信しておられる、現場へのひとつのお願いとして一度は書いてみたかったことでした。
 

 昨日は秋分の日、、

 

 
 
 秋分の日と春分の日は一日のお昼と夜の長さが確か同じだったように記憶していますが、間違っていないでしょうか。
 
 ヘリコプターはほぼ原則的に昼間しか飛ばなかったのですが、20年ほど前からは、結構夜間飛行が普通に行われるようになりました。
 
 ヘリコプターの存在する空港やヘリポートが殆どが夕方5時くらいで運用時間が終る所が多かったことと、テレビの事件の取材などは、夜間の空撮は殆どうまく写らなかったこともひとつの理由だったのでしょう。
 
 大事件、大事故などでは特別に夜間の飛行を許可する空港などが増えてきて、殆ど自由に飛べるようになってきているようですが、15年ほどオウムのああいえばの上裕受刑者が広島刑務所から確か早朝6時に出所する取材で、地元の広島西飛行場は早朝の離陸を許可しませんでした。
 
 そこで24時間運航の福岡空港までわざわざ前日に移動し、はるか日の出前の4時40分ごろ離陸して、いまだ夜が明けない真っ暗な広島刑務所の上空から取材をしたことがありました。
 
 夜遅く飛行した経験では、確か「 きむたく 」の航空ドラマ、グッドラックに使用する夜間の着陸の旅客機のコクピットからの絵を取るために、10時50分対岸の浦安ヘリポートから飛んだ経験がありました。
 
 これも東京へリポートから日中に移動し、羽田の運用時間の終了に合わせて離陸し、日が変わってから着陸することになり、日をまたいでとんだ唯一の経験となりました。
 
 秋分の日 春分の日が昼夜の長さが同じ日で、ヘリコプターは年間を通すとほぼ半分の時間は飛べない飛ばないということが長く続いています。
 
 ドクターヘリの要員はこの秋分の日、そして春分の日を境にどんどん勤務時間が長くなり、又短くなることを実感し、冬至と夏至の日までどんどん長くなり又短くなると言う体制での勤務をしています。
 
 いずれ一定の将来には24時間運航となることでしょうが、今現在、殆どのドクターヘリの始業時間が朝8時から8時半ごろとなっています。
 
 この始業時間の設定は、いわゆる世間の会社などの始業時間に沿っていることと、もうひとつの理由は夏季、日没時間の遅くなる時期に、要員の勤務時間が12時間近くなってしまい、航空法に反する恐れが出てくるため、どうしても2交代にする必要が出てくることを避けたいという読みがあります。
 
 2交代にすると、パイロットが2倍必要で今でも足りない所が大変なことになる恐れがあるからです。
 
 本来 早朝の事故や急病の多い時間帯は、夜が明けて人々が起きだして、活動を始める時間帯が結構多く、ドクターヘリは6時くらいから運航することがひとつの考え方であると思うのですが、2交代制に出来ない要員不足で話題に上がることもあまりありません。
 
 夜間飛行の導入の前に早朝の時間延長が優先課題であると思いますがそのためにはやはり、要員の養成育成の制度を早急に確立し、自衛隊OBや他からの引抜などを当てにしないまともな制度が必要となるでしょう。
 
 このまま行くと日中の運航すら要員が足りないなどと言うことも起こってくるかもしれませんが、誰かがどこかで責任を持って対策を考える部署があるのでしょうか。

ヘリパイロットの技量 マネイジメントとコントロール、、、

 

 
 
 
 
 読者の方から、ラマがガスがかかったアルプスの頂上へ着陸する場面のユーチューブの動画を紹介していただいています。
 
 このパイロットは日本一かどうかは別にして、一流の技量であることは間違いないでしょう。
 
 ヘリのパイロットを評価する上で、経験が豊富だとか、着陸がうまいとかいろいろ言われますが、ヘリのパイロットの技量の評価はマネイジメントとコントロールであるということに尽きます。
 
 マネイジメントとはどこをどう飛ぶかということを事前に決めると言うことになります。
 
 定期便の航空機はパイロットが選択できる飛行経路や、高度、速度、などマネイジメントする範囲が大変少なくて、殆ど運航管理や管制官によって決められてしまい、パイロットが選択できるものは前に積乱雲が立ったとき、どちらにどの程度避けるか、突っ込むかくらいしかありません。
 
 その点ヘリは離陸から着陸まで、どのような経路を飛ぶか、高度をどう選択するか、離陸はまっすぐ上昇して加速するか、地面を張って加速して高度を取るか、着陸は深い角度で入いるか、障害物をぎりぎり避けてはいるか、背風ではいるか、横風ではいるかなどなど、パイロットがすべてを決めるマネイジメントということをします。
 
 このマネイジメントという作業で飛行方法をすべて決めるのですが、この決定が安全性、効率性、騒音の影響、あらゆることを決定してしまい、下手をすれば則、墜落と言うことにもなったり、任務が達成できなかったりしますし、逆に安全効率的に任務がうまく行くと言うことになります。
 
 そしてこのマネイジメントという作業は飛行前にすべて終るのではなく、飛行前から着陸完了まで、そのときの状況に応じてどんどん対応をするべく、前を読んで変えていくことも重要です。
 
 もうひとつは、ヘリパイロットだけでなく定期便のパイロットにも同じように評価されることで重要なのは、いわゆるコントロールと言うことで、飛行機をいかに操るかと言う技術で、着陸がノーショックだったとか、旋回しても高度を少しも狂わすことなく出来るとか言う、一般に操縦技術がうまいとか下手とか言われる要素です。
 
 幾分重なる所はありますが、普通、マネイジメントは経験と頭、操縦技術コントロールは体、感、反応速度など動物的な能力と言える面があります。
 
 つまり航空機の操縦はあほでもうまく操れる面があり、着陸の接地がうまく出来るのは動物的な感覚で、あほでもうまいパイロットはいますが、一般的にマネイジメントはあほではうまく出来ないと言うことは確かでしょう。
 
 ヘリのパイロットが超人的に難しいフライトをいとも簡単にやってしまうのは、難しい操縦をマネイジメントによって、難しい場面を出来るだけ短く、またコントロールを単純化したり、そしてそのことに集中できるような飛行方法を長い期間にわたって研究して繰り返してきて、最終的にいとも簡単に難しいことをやってしまうと言う技量を身につけたということになります。
 
 またもうひとついえることは、コントロールと言うものはそれほど奥行きは深くなくて、普通なら1000時間程度飛べば殆ど身に着くのですが、マネイジメントと言う面は奥が深く、10000時間飛んでもでも身につかないパイロットも普通に存在し、しかもこれは初心者レベルはとにかく、高度になればなるほど、教えて身につくものではないという難しい面があります。
 
 ドクターヘリが障害物に囲まれた場所へ着陸する場合、どのパターンをどの高度、どのようなパス角度、そしてそのときどのような速度で飛んで着陸場所に入るか、もっとも良いマネイジメントが出来れば、一般に操縦技量と呼ばれるコントロールなどは相当下手でも、殆ど問題ないといえるでしょう。
 
 アルプスの山頂へガスを縫って、下方から上がってきて、そのまま着陸出来るパイロットはこのようなヘリパイロットが求められるマネイジメント能力に優れていると言うことになります。
 
 逆に救助の警官がヘリから降下し、直後にがけを転落して亡くなった事例は、このようなマネイジメント能力に何らかの欠陥があった疑いは残るでしょう。

ロストポジション、、、、


 
 

 
 ロストポジションと言う言葉を直訳するなら、場所を失うと言うことになりますが、普通は迷子になる、または迷子と言うことになるでしょうか。
 
 空を飛ぶパイロットが迷子とは聞き捨てならない言葉ですが、これは普通に起こります。
 
 最新のGPSは数センチ以内の誤差で自分の位置を正確に指示するので、ロストポジションと言うことはありえないのですが、GPSの電波が止まればロストポジションが起こる可能性があります。
 
 航空機はGPSの電波のほかには、VOR DME などによって自分の位置がその特定の無線標識からの方向と距離がGPSほどの精度ではありませんが、計器に指示されるので、この両方の電波が同時に止まらない限り、ロストポジションと言うことは起こらないことになります。
 
 ただしVOR DMEなどは超短波の周波数を地上の局から発射していますので、低高度で飛ぶヘリなどはちょっとした山の陰に入ると受信できませんので、殆どその効果は期待できないことになり、GPSが普及するまでは、パイロットが地形地物目標を目視で見て自分の位置を判断することしかありませんでした。
 
 と言うことでパイロットは自分が飛ぶ地域の地形地物目標物に精通していることは大変有利で、なおかつきわめて安全に飛ぶことが出来たと言うことになります。
 
 逆に知らないとすぐにロストポジション 迷子になるということが日常茶飯事と言うことになります。
 
 定期便の航空機など山岳などからはるかに高い高度を巡航し、障害物から十分離れたコースを離着陸する航空機には、GPSやVOR DMEなどで、空港などからの距離と方角を知ることが出来れば、どのような地点地形を通過して飛んでもまったく問題は無いのですが、ドクターヘリなど、低い高度を飛ぶ航空機はそうは行きません。
 
 なぜならば目的地からの方向と距離だけは正確にわかっても、自分がが注意するべき障害物の送電線や、峠や稜線などと、どの程度の距離にありどちらへ回避するかなど、自分の位置と自分の進む方向の地形、目標なども知っている必要があります。
 
 天候がいつも良くて、雲が十分高く、視程もいつも10キロも見えていれば問題は無いのですが、雲が稜線にかかったり、雪が振り出して500メートルも見えないことは常に起こりますので、正確な自分の位置がGPSなどでわかったとしても、その位置での地形や障害物を理解していなければ、ロストポジションとなんら変わらないということになります。
 
 雪が急に振り出して視程が100メートルになって、低い雲で上に上がれないようなことは長く飛ぶパイロットにとっては年に一度くらいは起こりますが、そのときにGPSが10メートルの精度で自分の位置を教えてくれることには、殆ど何の意味も無いことで、それを切り抜けるのはパイロットが体と頭で記憶しているその場所の地形や障害物の情報しかありえないといえるでしょう。
 
 日本の航空当局のヘリのパイロットたちはこのような状況からうまく切り抜ける技術は、VORやGPSなどを使って雲を突っ切って安全な所へ飛ぶ、計器飛行能力であると主張し、ヘリのパイロットたちに計器飛行能力を要求したり、計器飛行の資格を取るような指導をしましたが、それはこのような飛行を実際に体験し、いかに飛ぶかと言う基本のところを知らない考えでしょう。
 
 低高度飛行でGPSやVOR DMEがいかに正確にパイロットに位置を教えてくれたとしても、パイロットが周りの地形を知らなければいくらでもロストポジションが起こると言うことを忘れてはなりません。
 
 と言うことでGPSばかりに依存してぼっさと飛んでいるヘリのパイロットはいずれ痛い目に遭うかもしれないと思うべきでしょう。

トミカ ドクターヘリ発売、、、、


 
 
 
 長い歴史を持つおもちゃのトミカが昨日 9月20日についにドクターヘリを売り出したそうです。
 
 いまや40歳以上になる息子も小さいころはずいぶんとミニカーを集めて遊んでいて、物置には当時のものは100台以上もありました。
 
 時代が過ぎて2人孫もそれで少し遊んでいたようですが、彼らもそのような時代は過ぎました。
 
 トミカのミニカーシリーズは50年近い歴史があるのでしょうか、そのトミカがついにドクターヘリを売り出し、その機種はBK117だそうですが、機会があれば一機、買ってきて飾ることしたいと思います。
 
 ドクターヘリの基地病院の運航司令室にはどこも飾ることになるのでしょうし、マニアも多く買いそうですし、もしかしたら品薄になるかも知れません。
 
 関係者としては、EC135 BK117 ベル429 アグスタ109 各機種売り出して欲しい所ですが、一機種でも売り出されたと言うことは広く一般社会にドクターヘリが認知されたと言うことで大変喜ばしく、今は1機種で我慢するとしましょうか。
 
 この上は、昔のトミカパーキングよろしく、格納庫つきのヘリポートにドクターカーと救急車、そして給油車などをセットにして売り出して、設備の整備が進まないドクターヘリ後進県に対して、このように整備するんだよと見本を示してあげて欲しいものです(笑)。
 
プロフィール

bell214b1989

Author:bell214b1989
35年間のヘリパイロット生活 
最終5年間はドクターヘリでした。

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