難しいことをいかにも簡単そうに、、、
本当のプロは非常に難しいことをいかにも簡単そうにやる技術を持っていると言えそうです。
ちょうどこの真反対のことを駆け出しのパイロットであった20代半ばに、送電線パトロールの飛行が終って着陸直後に年配の電力会社の社員の方から言われて愕然としました。
送電線のパトロール飛行はごく小さなヘリで、乱気流の影響を一番受ける、低高度をしかも山中を低速度で飛行します。
そのため送電線からの距離を正確に保つには、気流の影響に反応して、細かく早く修正する必要があります。
その操作は風の状況が悪いほど早く、細かく、場合によって大きく姿勢を変えて修正する必要があるため、機体は常に、がくがくとした動きになるのですが、送電線からの距離は正確にトレースすることが出来ます。
同乗して送電線の点検を目視でなされている電力会社社員の方は、ヘリが一定の距離を正確に飛んでいるのになぜがくがく揺れるのか、わざと揺らしてしているのかと言うように言われ、愕然としました。
なぜもっとスムースに飛べないのかといわれたのでしょうが自分としては気流の悪い中、必死で修正操作をしていたことを理解してもらえなかった、ただの駆け出しであったと言うことでした。
そして20年 強風、気流の悪いなか、険しい山中を、重い生コンを吊り下げて、ヘリがあばれるわけでもなく、殆ど風がないときと同じようにホッパーの上にぴたりと降ろす。
今日は風が強いからとか、乱気流があるからとか、一切言い訳めいたことを発することなく、淡々と飛び、限界が着たらスパッと中止する。
どの程度風が悪ければどうなるかなど、素人にはまったく理解できないような微妙な操舵の機微を自分と同乗の相棒整備士のみが理解し、いかにも簡単そうに飛び回ること、これが理想であったのですが、自分を含めて10人中8,9人はああでもないこうでもないと言い訳して自分はへたくそではありませんと言い回るのが普通です。
プロは難しいことをいかにも簡単にこなし、素人にそれが難しいことであることすら気がつかないうちに飛び回ります。
私はそんなパイロットになりたかった、、、、、、
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