ヘリパイロット 技術進度の官民格差、、、、
ドクターヘリや防災ヘリは通常なら禁止される、危険性の高いフライトを特別に法で人命救助の場合、許されると言う特別な取り計らいがあるので、高い技術を持ったパイロットが運航する必要性があります。
たぶん、この点は殆ど誰もが納得すると思いますが、ではその高い技術とはと言うことになると、殆ど掴みようがなく、何が出来たらよいとか、何時間の飛行経験があれば良いとはっきりとは区別できないと思われます。
最近 育ってきているヘリのパイロットたちは一般に、団塊の世代に比べて技量が落ちると言われているのは、民間のパイロットだけで、自衛隊はじめ警察消防などで育ってきているパイロットたちは以前と大きく変わることはありません。
官庁は予算で仕事をしているので、何十年も変わらず同じ体制で仕事をしている関係上、1機のヘリを導入すると、25年耐用年数で、6000時間使用したら廃棄するという長い計画で飛ばしています。
6000時間で25年ですから年間では年間240時間になり、これが30%も変わることは殆どありえないでしょう。
1時間あたりの燃料代が5万円、整備関連費用は3万円 パイロットの飛行手当てが2万円、管理経費が1万円などとすべてが積算されて1時間飛ばせば10万円とか決まり、パイロットを1機当たり正副2名、整備士2名 管理要員2名 計6名の人件費が6000万円 運航実費が2400万円 そうするとたとえば防災ヘリ1機の年間必要経費が8400万円と決まってきます。
と言うことで、公的ヘリのパイロットたちは、25年で6000時間飛ぶと言うことが予算執行の面から決めれてしまっていますので、運よく全部を機長として飛べば定年で8000時間くらいの経験が積めると言うことになりますが、実態は半分がいいいいところでしょう。
片や民間のパイロットには予算と言うものは一切なく、どの仕事に就けるか、又、時の景気動向がどうなるか、あるいは国策で飛ぶまくった、農薬散布や原発からみの送電線建設など集中的に多く飛ぶような仕事から、最近始ったドクターヘリなど年間、下手をすると1機100時間も飛ばないような仕事を2.3人で分ける悲惨なパイロットまで千差万別です。
しかも最近まともに多く飛べるような仕事は殆どなくなってしまい、おおむね民間のヘリパイロットは多難時代で、飛べる機会がガタヘリし、すでに技術を伸ばす環境では官庁パイロットに大きく水をあけられています。
一昔前なら自衛隊ヘリパイロットの技量など鼻にもかけなかった民間ヘリ業界ですが、いまや自らのレベルをどんどん落としていて、横並びと言うところでしょうか、少し時間がたてば追い抜かれることは間違いないでしょう。
ここまでは飛行時間という基準で比較してみましたが、殆ど同じような飛び方しかしない固定翼定期便のパイロットならそれでほぼ十分なのですが、ヘリの場合はその飛び方、仕事の内容が大きく違い、飛行時間とともに重要なのは一時間当たり、何回着陸するか、しかも広い空港へではなく、油断したらローターが木や障害物に当たるかもしれない狭いところでの離直陸です。
さらに離着陸より数段難しいのが、重い荷物を吊って狭い場所への上げ下ろしなのですが、これを一時間に何回したか、あるいは累積で何回したかが狭いところへの離着陸、物資を長く吊り下げての低空飛行の経験がどうなのか、へりのパイロットの技量と経験値を計る重要なポイントとなります。
自衛隊や防災ヘリなど多くの官庁のヘリは、どんなに困難で忙しい任務で飛ぶとしても、平均すると1時間に2,3回の着陸や吊り卸しがせいぜいで、民間のヘリが一時間に30回も生コンや、木材を上げ下ろしして技量を磨くようなことはありえないでしょう。
ところが民間のヘリのパイロットでこのような仕事に就けるものは殆どいなくなり、低空飛行と狭いところの離着陸を繰り返す農薬散布は殆どなくなり、取材飛行はテレビ局が貧乏になって極端に減り、飛べないパイロットばかりになってしまいました。
つまり民間ヘリ優勢の時代はむかしのこととなり、相対的に官庁ヘリパイロットが優位になっては来ていますが、残念なことに官庁ヘリパイロットの技量が上がってきたと言うことでないのが実情で、このまま放置していたらどうなるのか大変気にかかるところです。
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