屋上へリポートの重量制限(2)
航空自衛隊で訓練を受けていたとき、着陸の操作がうまくいかなくて、目測がまずくて、着陸帯の手前に着いてしまったり、ノーフラップ着陸や、無風や若干の追い風のときなどは、思ったように沈まないでどんどん伸びて着いてしまうときがありました。
そのときよく教官から聞かされたことには、滑走路は正規の接地帯は、それなりに強度を高めてあるけれども、それ以外の場所は舗装も薄く、強度の余裕が少ないのだから、割れるぞとお叱りを受けたものです。
つまり滑走路の強度が運航重量の2.5倍などと設定してあるのは、航空機が着陸時、一定の衝撃を持って接地することを想定して強度を決めてあり、滑走路の中央部や誘導路。エプロンなどの強度とは違うとそうです。
韓国のアシアナ航空機が秋田空港で、滑走路と、誘導路を間違って着陸してしまったことがありましたが、うまく降りたのか、あるいは誘導路の強度に余裕があったのか無事、事故になることなくすんだようです。
このような空港の滑走路の強度にかかわることはほぼ常識なことなのですが、これを屋上へリポートに準用することが果たして、必要なことなのか、あるいは過剰なことなのか今日は少し考えて見ます。
ヘリコプターが着陸する場合、固定翼機と同じように、へったくそな着陸をして最大重量の2、5倍の加重を着陸帯に及ぼすようなことがあるのでしょうか。
私はありえないと思うのですがどんなに下手なパイロットが、着陸するにしても、通常は着陸場所の直上で1.5メートルくらいの高度でホバリングしてからゆっくり降りるのでありえないと断言できるでしょう。
100万分の一でも可能性がないかといえば、在ると言わざるをいえないでしょうが、その可能性は過去にヘリの事故例を解析すればわかることで、旅客機の下手なパイロットが着陸帯を行き過ぎて、舗装の弱いところへ着ける可能性よりはるかに低いでしょう。
通常の運航では殆どありえないけれども、緊急状態になって着陸してくるヘリは、ハードランデイングする可能性があるという主張が出てくるのですが、これがまったくの机上の空論であることは一回でも屋上へリポートに着陸した経験のあるパイロットなら理解しているでしょう。
屋上へリポートに緊急着陸することなど、殆ど自殺行為であると言うことは、正規の着陸場所を10メートル行き過ぎたら、柵もフェンスもまったくない高所から、まっさかさまに落ちて全員即死することは間違いありませんので、わざわざそんな自殺行為をするパイロットはいないでしょう。
緊急状態が、着陸最終のホバリング状態になっていても、自分なら着陸復興し、付近の河川敷や広場など、地上の不時着上へ飛び続けることでしょうし、屋上ですから高度もある程度余裕があり、とにかく屋上へリポートから離れるでしょう。
どのように考えても、離陸中 着陸中のヘリが最大重量の2.5倍の大きな衝撃を与えてまで、屋上へリポートに激突してまで着陸しようと言うことなど絶対に起こりえないでしょう。
まずはヘリポートを避けるのが命を守る第一番の手段です。
どのような状態なら2,5倍の衝撃がヘリポート面にかかるのか、ぜひとも例示して欲しいものです。いいところ1,5倍も取れば十分で、普通 屋上へリポートに着陸しようと言うようなパイロットで、ノーショックで着陸出来ないような者はいないでしょうし、1,5倍もかければヘリがハードランデイングの特別点検になりかねない大変な衝撃です。
と言うことで、全国の屋上へリポートは過剰強度規制で余分な建設費を使い、大型ヘリの導入でビルを建替するか、小型機で我慢するか、どちらにしても大変な事態が待っています。
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